移行ツールを使用してオンプレミスの VMware Cloud Director から VMware Cloud Director service に移行する方法

VMware Cloud Director service 移行ツールを使用して、オンプレミスの VMware Cloud Director インストールを VMware Cloud Director service に移行できます。

移行ツールを使用すると、SDDC リソースをオンプレミスに維持しながら、VMware Cloud Director service にシームレスに移行できます。移行が正常に完了したら、VMware Cloud Director service を使用してオンプレミス SDDC リソースを管理します。

移行を容易にするために、ホストの /tmp ディレクトリの下に migration.properties ファイルを作成し、オンプレミスインスタンスのホスト名、展開を移行する VMware Cloud 組織の組織 ID など、再利用可能なパラメータとその値を次の形式で指定できます。

SITE_NAME=migration.eng.example.com
SITE_ADMIN_USERNAME=administrator
IS_APPLIANCE=true/false
CSP_ORG_ID=xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx
CSP_ORG_REFRESH_TOKEN=API Token
CELL_USERNAME=root
DBHOST_USERNAME=root

移行中、移行ツールにより、ファイルの値を使用するか、各パラメータのカスタム値を入力するかを選択するように求められます。移行前に migration.properties ファイルを作成しないことを選択すると、移行ツールによってファイルが作成され、移行中に指定した値が入力されます。ファイルは、後続の移行に再利用できます。

注： VMware Cloud Director データベースのサイズとインターネットバンド幅に応じて、移行には 10 分から数時間かかる場合があります。

表 1. サポートされている移行パス
ソースオンプレミス環境バージョン	VMware Cloud Director service 移行のサポート
VMware Cloud Director 10.3.3	VMware Cloud Director service (10.3.3)
VMware Cloud Director 10.4	VMware Cloud Director service (10.4)
VMware Cloud Director 10.4.1	VMware Cloud Director service (10.4.1)

前提条件

オンプレミスの VMware Cloud Director 環境と VMware Cloud Director service 間の互換性を確認するには、オンプレミスインストールの前にあるロードバランサがパブリックにアクセス可能であることを確認します。
VMware のサポートに連絡して、VMware Cloud 組織が移行に対応していることを確認してください。移行サポートリクエストの提出方法を参照してください。
移行を実行するホストに、curl、jq、zip、ssh、scp、sshpass、および md5sum サポートパッケージがインストールされていることを確認します。
VMware Cloud Director ホスト名、管理者ユーザー名、および管理者パスワードを取得します。
オンプレミスの VMware Cloud Director 展開タイプ（アプライアンスまたは Linux ベース）を書き留めます。
アプライアンスの展開を使用している場合は、プライマリおよびセル OS の認証情報を書き留めます。
Linux 展開を使用している場合は、アクティブなセルの OS 認証情報と外部データベースのホスト OS 認証情報を書き留めます。
VMware Cloud API トークンを生成し、トークンの認証情報を保存します。トークンのスコープには、管理者と NSX Cloud 管理者のサービスロールの他に、開発者または組織所有者の組織ロールが含まれている必要があります。API トークンを生成する方法を参照してください。
使用している VMware Cloud Director 構成で移行がサポートされていることを確認します。VMware Cloud Director から VMware Cloud Director Service への移行に対する制限事項を参照してください。
オンプレミス構成が、VMware Cloud Director service でサポートされているスケールの上限と一致していることを確認します。VMware Cloud Director Service における構成の上限を参照してください。
移行スクリプトを実行する予定のホストに https://github.com/vmware-samples/cloud-director-service-migration から移行スクリプトをダウンロードします。

手順

コマンドを実行して移行ツールを開始します。
sh migrate.sh
migration.properties ファイルを作成した場合は、ファイルのコンテンツを再利用することを確認し、手順 5 に進みます。
1. プロンプトが表示されたら、y と入力して、migration.properties ファイルの再利用を確認します。
2. プロンプトが表示されたら、y と入力して、オンプレミスの VMware Cloud Director インスタンスのホスト名を再利用します。
3. プロンプトが表示されたら、y と入力して、管理者ユーザー名を再利用します。
プロンプトが表示されたら、オンプレミスの VMware Cloud Director インスタンスのホスト名を入力します。
プロンプトが表示されたら、管理者ユーザー名またはオンプレミスの VMware Cloud Director インスタンスを入力します。
プロンプトが表示されたら、管理者パスワードまたはオンプレミスの VMware Cloud Director インスタンスを入力します。
プロンプトが表示されたら、オンプレミスの展開がアプライアンスベースであることを確認または拒否します。
アプライアンスの展開を使用している場合は、プライマリ VMware Cloud Director アプライアンスセルの認証情報を入力します。
1. プロンプトが表示されたら、セルの root ユーザー名を入力するか、migration.properties ファイルからの値を再利用することを確認します。
2. プロンプトが表示されたら、root パスワードを入力します。
Linux インストールを使用している場合は、プロンプトが表示されたら、データベースホストの認証情報を入力します。
1. プロンプトが表示されたら、ホスト名を入力するか、migration.properties ファイルからの値を再利用することを確認します。
2. プロンプトが表示されたら、データベースのユーザー名を入力するか、migration.properties ファイルからの値を再利用することを確認します。
3. プロンプトが表示されたら、データベースパスワードを入力します。
プロンプトが表示されたら、VMware Cloud Director service インスタンスを展開する VMware Cloud 組織の長い組織 ID を入力するか、ファイルから ID を再利用することを確認します。
プロンプトが表示されたら、生成した VMware Cloud 組織の VMware Cloud API アクセストークンを入力します。
複数の VMware Cloud Director service 環境がある場合は、プロンプトが表示されたら、VMware Cloud Director を移行する環境を選択し、環境の番号を入力します。
プロンプトが表示されたら、オンプレミスの展開の移行先となる VMware Cloud Director service インスタンスの名前を入力します。
オンプレミスの VMware Cloud Director インスタンスが VMware Cloud Director service に正常に移行されました。
新しく作成した VMware Cloud Director インスタンスを VMware リバースプロキシ経由で SDDC に関連付けます。

例: VMware Cloud Director service への移行

この例では、移行ツールと migration.properties ファイルを使用して、Linux 展開の VMware Cloud Director service への移行を実行するために必要な手順を示します。

SITE_NAME=migration.eng.example.com
SITE_ADMIN_USERNAME=administrator
IS_APPLIANCE=false
CSP_ORG_ID=11111111-2222-3333-4444-555555555555
CSP_ORG_REFRESH_TOKEN=Ab4XdNsdMeNFVSHA8q3ze8ebR0t4Hik7lSs6DZJTFoF_wcQaTWw7U6O8ZLk6j4IM
CELL_USERNAME=root
DBHOST_USERNAME=root

コマンドを実行して移行ツールを開始します。

sh migrate.sh

ツールによって、migration.properties ファイルを使用するかどうかを選択するように求められ、また、いくつかの手順で追加の入力を指定するように求められます。

正常に移行された場合の出力は次のようになります。

Migration Input properties file present, wish to reuse [y/n]: y
Script will reuse the input values located in /tmp/migration.properties
Site FQDN name (found: migration.eng.example.com), wish to reuse [y/n]: y
Site admin user name (found: administrator), wish to reuse [y/n]: y
Enter admin password for on-prem VCD site migration.eng.example.com: xxxxx
Successfully collected administrator credentials for migration.eng.example.com
Is migration.eng.example.com appliance based (found: false), wish to reuse [y/n]: y
Found active Cell: migration-vcd1.eng.example.com
Username for cell migration-vcd1.eng.example.com  (found: root), wish to reuse [y/n]: y
Enter password for cell migration-vcd1.eng.example.com: xxxxxx
Successfully collected root credentials for migration-vcd1.eng.example.com
Successfully downloaded responses.properties from migration-vcd1.eng.example.com
Found Database HOSTNAME: migration-db.eng.example.com
Found Database Name: vcloud
Username for DB Host migration-db.eng.example.com (found: root), wish to reuse [y/n]: y
Enter password for DB Host migration-db.eng.example.com: xxxxx
Successfully collected root credentials for migration-db.eng.example.com
CSP ORG ID (found: 11111111-2222-3333-4444-555555555555), wish to reuse [y/n]: y
CSP ORG refresh Token (found: Ab4XdNsdMeNFVSHA8q3ze8ebR0t4Hik7lSs6DZJTFoF_wcQaTWw7U6O8ZLk6j4IM), wish to reuse [y/n]: y
Retrieving list of environments associated for org: 11111111-2222-3333-4444-555555555555
Found following 4 environments in org: 11111111-2222-3333-4444-555555555555
US West - Oregon (66666)
Australia - Sydney (77777)
Europe - Germany (88888)
Asia - Japan (99999)
Select environment for CDI migration: values (1-5)] : 1
Selected Environment: US West - Oregon (66666)
Compatibility Check Succeeded, found upgrade category: release-10.3:production
Successfully collected all required resources from migration.eng.example.com for migration
Enter CDI Name to migrate: MigratedInstance
Uploading collected resources from migration.eng.example.com for migration
Upload Resource Task URN: urn:vcdc:task:99999999-8888-7777-6666-555555555555
Setting up maintenance mode on all cloud cells
Entering maintenance mode on migration-vcd1.eng.example.com
Successfully entered maintenance mode.
Successfully entered maintenance mode on migration-vcd1.eng.example.com
Entering maintenance mode on migration-vcd2.eng.example.com
Successfully entered maintenance mode.
Successfully entered maintenance mode on migration-vcd2.eng.example.com
Entering maintenance mode on migration-vcd3.eng.example.com
Successfully entered maintenance mode.
Successfully entered maintenance mode on migration-vcd3.eng.example.com
Successfully entered maintenance mode on all cloud cells
Migrate to CDI Task ID: urn:vcdc:task:888888888-7777-6666-5555-4444444444444
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Deploying instance
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Waiting for service to be available
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Backup VMware Cloud Director database schema
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Waiting for all cells to be ready
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Creating groups in system org
Migrate to CDI task run status: IN_PROGRESS - Integrating VCD micrometer metrics with Wavefront
Migrate to CDI task run status: SUCCESS -
Migrate to CDI status SUCCESS for task urn:vcdc:task:888888888-7777-6666-5555-4444444444444