vSphere のコンピューティング リソース、メモリ リソース、およびストレージ リソースを VMware Cloud Director で使用できるようにするには、プロバイダ仮想データセンター (VDC) を作成します。

組織が仮想マシンのデプロイを開始するか、カタログの作成を開始する前に、システム管理者はプロバイダ仮想データセンターと、そのリソースを使用する組織仮想データセンターを作成する必要があります。プロバイダ仮想データセンターと、サポートされる組織仮想データセンターとの関係は、管理上の決定事項です。決定は、サービス提供の範囲、vSphere インフラストラクチャのキャパシティと地理的分布、および同様の考慮事項に基づいて行うことができます。プロバイダ仮想データセンターによって、テナントが使用できる vSphere の容量とサービスが制限されるため、システム管理者は一般的に、パフォーマンス、容量、機能に基づいて測定された異なるクラスのサービスを備えたプロバイダ仮想データセンターを作成します。その後、テナントには、バッキング プロバイダ仮想データセンターの設定で定義された、特定のサービス クラスを提供する組織仮想データセンターをプロビジョニングできます。

プロバイダ仮想データセンターを作成する際は、テナントに提供する vSphere 機能セットについて考慮します。これらの機能の一部は、プロバイダ仮想データセンターのプライマリ リソース プールに実装できます。また、特別に構成された vSphere クラスタに基づいて追加のリソース プールを作成し、VMware Cloud Director プロバイダ仮想データセンターへのリソース プールの追加で説明されているように仮想データセンターへの追加が必要となる場合もあります。

プロバイダ仮想データセンターによってバッキングされている組織仮想データセンターにデプロイされた仮想マシンでは、使用可能なゲスト OS と仮想ハードウェア バージョンの組み合わせは、リソース プールをバッキングしているクラスタ内のホストにインストールされた ESXi リリースの範囲に基づいて決まります。

前提条件

  • Service Provider Admin Portalシステム管理者としてログインします。
  • 自動化された DRS を使用するように構成されたクラスタ内に、使用可能な容量のあるターゲット プライマリ リソース プールが作成していることを確認します。リソース プールは、1 つのプロバイダ仮想データセンターに対してのみ使用できます。リソース プールを作成するには、vSphere Client を使用します。
  • vSphere High Availability (HA) を使用するクラスタの一部になっているリソース プールを使用する場合は、vSphere HA でのスロット サイズの計算方法をよく理解していることを確認します。スロット サイズおよび vSphere HA の動作のカスタマイズの詳細については、『vSphere 可用性』ドキュメントを参照してください。
  • VMware Cloud DirectorvSphere with Tanzu を使用する場合は、スーパーバイザー クラスタが構成された vCenter Server 7.0 以降のインスタンスが使用可能であることを確認します。vSphere ドキュメントの『vSphere with Kubernetes の構成および管理』ガイドを参照してください。
  • 構成済みのスーパーバイザー クラスタで vCenter Server 7.0 Update 3 インスタンスを使用している場合に、VMware Cloud DirectorvSphere with Tanzu を使用するには、スーパーバイザー クラスタの名前空間に NAT なしのルールを構成しないでください。
  • プロバイダ仮想データセンターのネットワーク リソースに NSX Data Center for vSphere を使用する場合:
    • ターゲット プライマリ リソース プールを含む vCenter Server インスタンスが接続されていて、NSX Data Center for vSphere ライセンス キーを持っていることを確認します。
    • NSX Manager で VXLAN インフラストラクチャを設定します。関連する『NSX 管理ガイド』を参照してください。

      このプロバイダ仮想データセンターで、デフォルトの VXLAN ネットワーク プールの代わりに、カスタム VXLAN ネットワーク プールを使用する場合は、この段階でネットワーク プールを作成します。VMware Cloud Director での NSX Data Center for vSphere トランスポート ゾーンによってバッキングされるネットワーク プールの作成を参照してください。

  • プロバイダ仮想データセンターのネットワーク リソースに NSX を使用する場合:

手順

  1. 上部ナビゲーション バーで [リソース] を選択し、[クラウド リソース] をクリックします。
  2. 左側のパネルで [プロバイダ VDC] を選択します。
  3. [新規] をクリックします。
  4. マルチサイト VMware Cloud Director デプロイを使用している場合は、[サイト] ドロップダウン メニューから、このプロバイダ仮想データセンター インスタンスを追加するサイトを選択し、[次へ] をクリックします。
  5. プロバイダ仮想データセンターの名前と、オプションで説明を入力します。
    これらのテキスト ボックスを使用して、このプロバイダ仮想データセンターでバッキングされている組織仮想データセンターで利用可能な vSphere 機能を説明できます。たとえば、「 vSphere HA」や「 IOPS サポートのあるストレージ ポリシー」と入力します。
  6. (オプション) 作成時にプロバイダ VDC を無効にするには、[状態] トグルをオフにします。
    組織 VDC の作成に、無効な VDC のコンピューティング リソースとストレージ リソースを使用することはできません。
  7. [次へ] をクリックします。
  8. プロバイダ仮想データセンターのリソース プールを提供するには、vCenter Server インスタンスを選択して、[次へ] をクリックします。

    このページには、VMware Cloud Director に登録されている vCenter Server インスタンスが一覧表示されます。vCenter Server インスタンスをクリックすると、使用可能なリソース プールが表示されます。

    VMware Cloud DirectorvSphere with Tanzu を使用する場合は、スーパーバイザー クラスタが構成された vCenter Server 7.0 以降のインスタンスを選択する必要があります。

  9. このプロバイダ仮想データセンターのプライマリ リソース プールとして機能するリソース プールを選択します。

    1 つのプロバイダ仮想データセンターに対して 1 つのリソース プールを使用できます。リソース プールをプロバイダ仮想データセンターに追加すると、このリソース プールとその親チェーンは、その他のプロバイダ仮想データセンターでは選択できなくなります。

    vSphere with Tanzu を使用する場合は、スーパーバイザー クラスタを選択します。VMware Cloud Director では、スーパーバイザー クラスタによってバッキングされているリソース プールの横に、Kubernetes アイコンが表示されます。

  10. スーパーバイザー クラスタによってバッキングされているリソース プールまたはクラスタを選択する場合に、Kubernetes 制御プレーンとの信頼関係を確立するには、Kubernetes 制御プレーン証明書を信頼する必要があります。
  11. プロバイダ仮想データセンターでサポートする最新の仮想ハードウェア バージョンを選択して、[次へ] をクリックします。
    システムは、リソース プールをバッキングするクラスタに含まれる、すべてのホストでサポートされている仮想ハードウェアの最も高いバージョンを判断し、これを [サポートされるハードウェアの最も高いバージョン] ドロップダウン メニューにデフォルトとして表示します。このデフォルトを使用することも、これより低いハードウェア バージョンをメニューから選択することもできます。指定したバージョンが、このプロバイダ仮想データセンターでバッキングされる組織仮想データセンターにおいて、デプロイされている仮想マシンで利用できる最新の仮想ハードウェア バージョンになります。低い仮想ハードウェア バージョンを選択すると、これらの仮想マシンで一部のゲスト OS を使用できなくなる場合があります。選択したハードウェア バージョンでプロバイダ仮想データセンターを作成すると、そのバージョンはアップグレードのみ可能で、ダウングレードすることはできません。
    プロバイダ仮想データセンターで使用可能なハードウェア バージョンは、ターゲット クラスタ内の ESXi ホストで使用可能な最新バージョンによって異なります。 ESXi ホストでサポートされている最新のハードウェア バージョンを選択できない場合は、 vSphere Client で、データセンターに仮想マシンを作成する場合のデフォルトの互換性が [ データセンター設定およびホスト バージョンを使用する] に設定されていることを確認します。また、デフォルトの互換性設定を、クラスタに使用する最新のハードウェア バージョンに設定することもできます。

    VMware Cloud Director 9.7 以降では、バッキングする vSphere インフラストラクチャがサポートする最新のハードウェア バージョンがサポートされます。VMware Cloud Director 10.2.2 以降では、vCenter Server インスタンスでデフォルトのハードウェア バージョンを手動で構成せずにハードウェア バージョンを設定することができます。

  12. プロバイダ仮想データセンターのストレージ プロファイルを 1 つ以上選択し、[次へ] をクリックします。
    選択したリソース プールでサポートされている、すべての vSphere ストレージ ポリシーが一覧表示されます。
  13. このプロバイダ仮想データセンターのネットワーク プールを構成します。
    デフォルトの範囲を使用して VXLAN ネットワーク プールを作成することも、特定の NSX Data Center for vSphere に基づいたカスタム VXLAN または NSX トランスポート ゾーンに基づいた Geneve プールを使用することもできます。 vSphere ネットワーク リソースを使用している場合、VXLAN ネットワーク プールを使用せずにプロバイダ VDC を作成できます。
    VMware Cloud DirectorvSphere with Tanzu を使用する場合は、 [NSX Manager および Geneve ネットワーク プール] オプションを選択する必要があります。
    オプション 説明
    デフォルトの VXLAN ネットワーク プールを作成します このプロバイダ仮想データセンターの VXLAN プールが作成されます。
    リストから VXLAN ネットワーク プールを選択します 特定の NSX トランスポート ゾーンに基づいてカスタム VXLAN プールを使用できるように、リストからネットワーク プールを選択します。
    NSX Manager および Geneve ネットワーク プールを選択 NSX トランスポート ゾーンによってバッキングされたカスタム VXLAN プールを使用できるように、リストからネットワーク プールを選択します。
    ネットワーク プールがありません vSphere ネットワーク リソースを使用している場合、ネットワーク プールを使用せずにプロバイダ VDC を作成できます。
  14. 選択内容を確認し、[完了] をクリックすると、プロバイダ仮想データセンターが作成されます。

結果

プロバイダ仮想データセンターの作成時に選択したリソース プールの ESXi ホストに NVIDIA GRID GPU グラフィック デバイスがあると、新しいプロバイダ仮想データセンターには NVIDIA アイコンが表示されて、仮想 GPU がサポートされることが示されます。

次のタスク

セカンダリ リソース プールを追加することで、Edge クラスタ、アフィニティ グループ、特別な設定のホストなど、一部の組織で必要となる特別な機能をプロバイダ仮想データセンターが提供するようにできます。VMware Cloud Director プロバイダ仮想データセンターへのリソース プールの追加を参照してください。