この手順では、2 つのアベイラビリティ ゾーンにまたがって VxRail クラスタをストレッチする方法について説明します。

例として、オフィスの敷地内にある 2 棟の建物に AZ1 と AZ2 という 2 つのアベイラビリティ ゾーンがあるユースケースについて考えます。各アベイラビリティ ゾーンには、専用の電源とネットワークがあります。管理ドメインは、AZ1 にあり、デフォルトのクラスタ SDDC-Cluster1 を含んでいます。このクラスタには 4 台の ESXi ホストが含まれています。
vSAN ネットワーク VLAN ID = 1623
MTU = 9000
ネットワーク = 172.16.234.0
ネットマスク 255.255.255.0
ゲートウェイ 172.16.23.253
IP アドレス範囲 = 172.16.23.11~172.16.234.59
vMotion ネットワーク VLAN ID = 1622
MTU = 9000
ネットワーク = 172.16.22.0
ネットマスク 255.255.255.0
ゲートウェイ 172.16.22.253
IP アドレス範囲 = 172.16.22.11~172.16.22.59

AZ2 には 4 台の ESXi ホストがありますが、まだ VMware Cloud Foundation インベントリには含まれていません。

管理ドメイン内のデフォルトのクラスタ SDDC-Cluster1 を AZ1 から AZ2 にストレッチします。

図 1. クラスタのストレッチの例

VMware Cloud Foundation on Dell EMC VxRail のクラスタをストレッチするには、次の手順を実行します。

前提条件

  • 環境が、管理ドメインでアベイラビリティ ゾーン 2 を実装する場合の前提条件を満たしていることを確認します。管理ドメインにアベイラビリティ ゾーン 2 を実装する場合の前提条件を参照してください。
  • vSAN Witness(監視)ホストが展開および構成されている必要があります。vSAN Witness(監視)ホストの展開および構成を参照してください。
  • アベイラビリティ ゾーン 2 のデータセンター インフラストラクチャへのルーティングを構成し、障害が発生した場合にインフラストラクチャ仮想マシンを再起動する順序を設定します。VMware Validated Design のドキュメントで、リージョン A の管理ドメインにおけるアベイラビリティ ゾーン 2 の NSX-T Data Center の構成を参照してください。このドキュメントは、事前設定されたオブジェクト命名規則に従っています。これを例として、独自の命名規則に従ってください。
  • 外部ネットワーク上のすべての仮想マシンは、オーバーレイでバッキングされたセグメントに配置する必要があります。VLAN 上にある場合は、その VLAN もストレッチする必要があります。
  • 各アベイラビリティ ゾーンのホストが同数になるように、十分な数のホストがあることを確認します。これは、1 つのアベイラビリティ ゾーンが完全に停止した場合に十分なリソースが確保されるようにするためです。
  • vSAN ネットワークに必要な TCP ポートおよび UDP ポートが、アベイラビリティ ゾーン間の通信と、Witness(監視)ホストと 2 つのアベイラビリティ ゾーン間の通信用に開いていることを確認します。ナレッジベースの記事 KB52959 を参照してください。
  • VI ワークロード ドメイン内のクラスタをストレッチする場合は、デフォルトの管理ドメイン クラスタがストレッチされている必要があります。
  • initiate_stretch_cluster_vxpail.py をダウンロードします。

手順

  1. SSH ファイル転送ツールを使用して initiate_stretch_cluster_vxrail.py を SDDC Manager 仮想マシンの /home/vcf/ ディレクトリにコピーします。
  2. SSH で SDDC Manager 仮想マシンに接続し、展開パラメータ ワークブックで指定したユーザー名 vcf とパスワードを入力してログインします。
  3. スクリプト オプションの詳細については、-h オプションを指定してスクリプトを実行してください。
    python initiate_stretch_cluster_vxrail.py -h 
  4. 次のコマンドを実行して、ストレッチするクラスタを準備します。コマンドは、優先サイトで実行する仮想マシンのアフィニティ ルールを作成します。
    python initiate_stretch_cluster_vxrail.py --workflow prepare-stretch --sc-domain <SDDC-valid-domain-name> --sc-cluster <valid-cluster-name> 
    <SDDC-valid-domain-name> および <valid-cluster-name> をご使用の環境の正しい値に置き換えます。例:
    python initiate_stretch_cluster_vxrail.py --workflow prepare-stretch --sc-domain wdc1-workflowspec-vxrail --sc-cluster VxRail-Virtual-SAN-Cluster-8d2c9f37-e230-4238-ab35-cafd5033a59e 
    プロンプトが表示されたら、SSO のユーザー名とパスワードを入力します。
    ワークフローがトリガされたら、SDDC Manager ユーザー インターフェイスでタスクのステータスを追跡します。タスクが失敗した場合は、問題をデバッグして修正し、SDDC Manager ユーザー インターフェイスからタスクを再試行します。もう一度スクリプトを実行しないでください。
  5. VxRail vCenter Server プラグインを使用して、VxRail Manager クラスタ拡張ワークフローを実行することにより、アベイラビリティ ゾーン 2 のホストをクラスタに追加します。
  6. 次のコマンドを実行して、クラスタをストレッチします。
    python initiate_stretch_cluster_vxrail.py --workflow stretch-vsan --sc-domain <SDDC-valid-domain-name> --sc-cluster <ストレッチされるドメインの一部である有効なクラスタ名> --sc-hosts <有効なホスト名> --witness-host-fqdn <Witness(監視)ホスト/アプライアンスの IP アドレスまたは FQDN> --witness-vsan-ip <監視 vSAN の IP アドレス> --witness-vsan-cidr <witness-vsan-network-IP-address-with-mask> 
    <SDDC-valid-domain-name><ストレッチされるドメインの一部である有効なクラスタ名><有効なホスト名><監視 vSAN の IP アドレス><Witness(監視)ホスト/アプライアンスの IP アドレスまたは FQDN><監視 vSAN の IP アドレス>、および <witness-vsan-network-IP-address-with-mask> をご使用の環境の正しい値に置き換えます。例:
    python initiate_stretch_cluster_vxrail.py --workflow stretch-vsan --sc-domain wdc1-workflowspec-vxrail --sc-cluster VxRail-Virtual-SAN-Cluster-8d2c9f37-e230-4238-ab35-cafd5033a59e --sc-hosts wdc3-005-proxy.vxrail.local --witness-host-fqdn 172.16.10.235 --witness-vsan-ip 172.16.20.235 --witness-vsan-cidr 172.16.20.0/24 
  7. プロンプトが表示されたら、次の情報を入力します。
    • SSO ユーザー名とパスワード
    • ESXi ホストの IP アドレスとパスワード
    • 優先(プライマリ)サイトと非優先(セカンダリ)サイトの vSAN ゲートウェイ IP アドレス
    • 優先(プライマリ)サイトと非優先(セカンダリ)サイトの vSAN CIDR
    • 優先サイトのオーバーレイ VLAN の VLAN ID
    ワークフローがトリガされると、タスクは SDDC Manager ユーザー インターフェイスで追跡されます。タスクが失敗した場合は、問題をデバッグして修正し、SDDC Manager ユーザー インターフェイスから再試行します。もう一度スクリプトを実行しないでください。
  8. クラスタに追加されている AZ2 ホストの進行状況を監視します。
    1. SDDC Manager ダッシュボードで、[すべてのタスクを表示] をクリックします。
    2. ウィンドウを更新して、ステータスを監視します。
  9. vSphere Client にログインして、ストレッチ クラスタの操作が正常に機能していることを確認します。
    1. vSAN の健全性を確認します。
      1. ホーム画面で、[ホストおよびクラスタ] をクリックしてから、ストレッチ クラスタを選択します。
      2. [監視] > [vSAN] > [Skyline の健全性] の順にクリックします。
      3. [再テスト] をクリックします。
      4. エラーがある場合は修正します。
    2. vSAN ストレージ ポリシーを検証します。
      1. ホーム画面で、[ポリシーおよびプロファイル] > [仮想マシン ストレージ ポリシー] > [vSAN デフォルト ストレージ ポリシー] の順にクリックします。
      2. ストレッチ クラスタについて vCenter Server に関連付けられているポリシーを選択し、[コンプライアンスの確認] をクリックします。
      3. [仮想マシンのコンプライアンス] をクリックして、各仮想マシンの [コンプライアンス ステータス] 列を確認します。
      4. エラーがある場合は修正します。