複数のアベイラビリティ ゾーンがある環境では、物理インフラストラクチャによって、レイヤー 2 ネットワークをアベイラビリティ ゾーン間で拡張する必要があります。また、アベイラビリティ ゾーン間で可用性の高いレイヤー 3 ゲートウェイを提供する必要があります。これらのレイヤー 2 ネットワークを拡張し、可用性の高いレイヤー 3 ゲートウェイを提供する方法は、ベンダーによって異なります。

複数のアベイラビリティ ゾーンの VLAN とサブネット

このセクションでは、複数のアベイラビリティ ゾーンがある環境のサンプル構成を示します。アベイラビリティ ゾーン間での NSX Edge アプライアンスのフェイルオーバーを容易にするために、各アベイラビリティ ゾーンの管理、アップリンク 01、アップリンク 02、および Edge オーバーレイ ネットワークを拡張する必要があります。管理ネットワークと Edge オーバーレイ ネットワーク用のレイヤー 3 ゲートウェイは、アベイラビリティ ゾーン全体で高可用性を確保する必要があります。

注: VLAN が AZ1 と AZ2 との間で拡張されている場合、レイヤー 3 ネットワークも 2 つの AZ 間で拡張する必要があります。
表 1. ストレッチ クラスタ サブネットの要件

機能

アベイラビリティ ゾーン 1

アベイラビリティ ゾーン 2

可用性の高いレイヤー 3 ゲートウェイ

推奨される MTU

管理 VLAN (AZ1)

1500

vMotion VLAN

X

9000

vSAN VLAN (AZ1)

X

9000

NSX ホスト オーバーレイ VLAN

X

9000

NSX Edge Uplink01 VLAN

X

9000

NSX Edge Uplink02 VLAN

X

9000

NSX Edge オーバーレイ VLAN

9000

管理 VLAN (AZ2)

X

1500

vMotion VLAN (AZ2)

X

9000

vSAN VLAN (AZ2)

X

9000

NSX ホスト オーバーレイ VLAN (AZ2)

X

9000

複数のアベイラビリティ ゾーンのネットワーク

複数のアベイラビリティ ゾーンがあるトポロジには、特定の物理データセンター ネットワーク要件があります。

表 2. 複数のアベイラビリティ ゾーンの物理ネットワークの要件

コンポーネント

要件

MTU

アベイラビリティ ゾーン間で拡張されている VLAN は、MTU を含むゾーン内接続の VLAN と同じ要件を満たす必要があります。MTU の値は、ゾーン内ネットワーク パス上のコンポーネントを含む、End-to-End で一貫している必要があります。MTU の値を次のように設定します。
  • すべての VLAN およびスイッチ仮想インターフェイス(vMotion、Geneve、およびストレージ)の MTU をジャンボ フレームに設定します。
  • 管理 MTU を 1500 に設定します。
  • Geneve オーバーレイには、1600 以上の MTU が必要です。

レイヤー 3 ゲートウェイの可用性

アベイラビリティ ゾーン間で拡張された VLAN の場合、データセンター提供の方法を設定して、アベイラビリティ ゾーン間でレイヤー 3 ゲートウェイをフェイルオーバーします。たとえば、VRRP や HSRP などです。

DHCP の可用性

アベイラビリティ ゾーン間で拡張された VLAN の場合、DHCP サーバの高可用性を実現し、単一のアベイラビリティ ゾーンのフェイルオーバー操作が DHCP の可用性に影響を与えないようにします。

注: NSX ホスト オーバーレイ ネットワーク TEP に静的 IP アドレスを使用するクラスタを拡張することはできません。

BGP ルーティング

各アベイラビリティ ゾーンのデータセンターには、独自の自律システム番号 (ASN) が必要です。

入力方向と出力方向のトラフィック

  • 複数のアベイラビリティ ゾーン間で拡張された VLAN の場合、トラフィックは 1 つのゾーンに出入りします。Local Egress はサポートされていません。

  • アベイラビリティ ゾーン間で拡張されていない VLAN の場合、トラフィックは VLAN が配置されているゾーンに出入りします。

  • リージョン間で拡張されている NSX 仮想ネットワーク セグメントの場合、トラフィックは 1 つのアベイラビリティ ゾーンに出入りします。Local Egress はサポートされていません。

遅延

vSphere
  • vCenter Server 接続の遅延 RTT が 150 ミリ秒未満。
  • vMotion 接続の遅延 RTT が 150 ミリ秒未満。
  • VSAN ホスト接続の遅延 RTT が 5 ミリ秒未満。

vSAN

  • サイトあたりのホスト数が最大 10 台の場合、遅延 RTT が 200 ミリ秒未満。
  • サイトあたりのホスト数が 11 ~ 15 台の場合、遅延 RTT が 100 ミリ秒未満。

NSX Manager

  • NSX Manager 間の遅延 RTT が 10 ミリ秒未満
  • NSX Manager とトランスポート ノード間の遅延 RTT が 150 ミリ秒未満。