この要件と推奨事項のリストを、単一または複数の VMware Cloud Foundation インスタンスがある環境の共有ストレージ、vSAN プリンシパル ストレージ、および NFS 補助ストレージに関する参照資料として使用してください。この設計では、インスタンスに含まれるアベイラビリティ ゾーンが 1 つか複数かどうかも考慮されます。

物理ストレージ インフラストラクチャを設定すると、ほとんどの設計判断のための構成タスクが VMware Cloud Foundation で自動化されます。設計の影響に関する説明で示すように、構成を手動で実行する必要があるのは、一部の設計要素についてのみです。

設計の詳細については、「VMware Cloud Foundation の vSAN 設計」を参照してください。

表 1. VMware Cloud Foundation の vSAN 設計の要件

要件 ID

設計の要件

理由

影響

VCF-VSAN-REQD-CFG-001

ワークロード ドメイン クラスタの初期ニーズを満たすのに十分な Raw キャパシティを提供します。

ワークロード ドメイン クラスタを作成するのに十分なリソースがあることを確認します。

なし。

VCF-VSAN-REQD-CFG-002

クラスタ タイプに応じて、少なくとも必要最小数のホストを提供します。

ストレージの可用性の要件を満たします。

なし。

表 2. VMware Cloud Foundation を使用したストレッチ クラスタ用 vSAN 設計の要件

要件 ID

設計の要件

理由

影響

VCF-VSAN-REQD-CFG-003

デフォルトの vSAN ストレージ ポリシーに次の設定を追加します。

サイトの耐障害性 = サイト ミラーリング - ストレッチ クラスタ

アベイラビリティ ゾーンの停止から復旧する機能を備えた、各アベイラビリティ ゾーンの仮想マシンに必要な保護機能を提供します。

サードパーティの仮想マシンをこれらのクラスタでホストする場合は、追加のポリシーが必要になる場合があります。それらの仮想マシンには、デフォルトの VMware vSAN ポリシーがサポートするものとは別のパフォーマンスや可用性の要件があるためです。

VCF-VSAN-REQD-CFG-004

アベイラビリティ ゾーンごとに 1 つずつ、2 つのフォルト ドメインを構成します。各ホストをそれぞれのアベイラビリティ ゾーンのフォルト ドメインに割り当てます。

フォルト ドメインはアベイラビリティ ゾーンにマッピングされます。これにより、論理ホストが分離され、アベイラビリティ ゾーンがオフラインになっても常に vSAN データのコピーを使用できるようになります。

[サイト ミラーリング - ストレッチ クラスタ] オプションが選択され、フォルト ドメインが有効な場合は、追加の Raw ストレージを用意する必要があります。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-001

アベイラビリティ ゾーン内の、ESXi ホストに対してローカルではない場所に、vSAN 監視アプライアンスを展開します。

いずれかのアベイラビリティ ゾーンで障害が発生した場合でも、vSAN 監視コンポーネントの可用性を確保します。

vSphere 環境を実行する、物理的に分離された 3 つ目の場所を指定する必要があります。別の物理的な場所にある VMware Cloud Foundation インスタンスを使用できます。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-002

必要なクラスタのキャパシティに対応するサイズの監視アプライアンスを展開します。

監視アプライアンスが、予測されるワークロード ストレージ使用量に対応できるようにサイズ調整されていることを確認します。

監視場所にある vSphere 環境は、監視アプライアンスのリソース要件を満たす必要があります。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-003

vSAN 監視アプライアンスの最初の VMkernel アダプタを監視サイトの管理ネットワークに接続します。

監視アプライアンスをワークロード ドメイン vCenter Server に接続できるようにします。

両方のアベイラビリティ ゾーンの管理ネットワークは、監視サイトの管理ネットワークにルーティングされている必要があります。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-004

静的に割り当てられた IP アドレスとホスト名を、vSAN 監視アプライアンスの管理アダプタに割り当てます。

メンテナンスと追跡を簡素化し、DNS 構成を実装します。

正確な IP アドレス管理が必要です。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-005

VMware Cloud Foundation インスタンスの vSAN 監視アプライアンスについて、正引きと逆引きの DNS レコードを構成します。

vSAN 監視アプライアンスを、IP アドレスではなく FQDN でワークロード ドメイン vCenter Server に接続できるようにします。

vSAN 監視アプライアンスの DNS レコードを指定する必要があります。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-006

vSAN 監視アプライアンスの内部 NTP 時間を使用して、時刻同期を構成します。

vSAN 監視アプライアンス、およびアベイラビリティ ゾーンとワークロード ドメイン vCenter Server の両方にある ESXi ホストとの間の時間の不一致によって生じる、ストレッチ クラスタ構成の障害を防止します。

  • 環境内で、稼動中の NTP サービスが使用できる状態であることが必要です。

  • vSAN 監視アプライアンスと NTP サーバ間のすべてのファイアウォールは、必要なネットワーク ポートで NTP トラフィックを許可する必要があります。

VCF-VSAN-WTN-REQD-CFG-007

ストレッチ クラスタごとに個別の vSAN ストレージ ポリシーを構成します。

ストレッチ クラスタの vSAN ストレージ ポリシーを他のクラスタと共有することはできません。

追加の vSAN ストレージ ポリシーを構成する必要があります。

表 3. VMware Cloud Foundation の vSAN 設計の推奨事項

推奨 ID

設計の推奨事項

理由

影響

VCF-VSAN-RCMD-CFG-001

vSAN ディスク グループを実行しているストレージ I/O コントローラが使用可能で、キューの最小深度が 256 セットであることを確認します。

キュー深度が低いストレージ コントローラは、vSAN の実行時にパフォーマンスと安定性の問題を引き起こす可能性があります。

vSAN ReadyNode サーバは、vSAN にとって適切なキュー深度で構成されます。

ストレージに使用できる、互換性のある I/O コントローラの数を制限します。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-002

別の目的の vSAN ディスク グループを実行しているストレージ I/O コントローラは使用しないでください。

vSAN ディスク グループを実行しているストレージ I/O コントローラで、非 vSAN ディスク(VMFS など)を実行すると、vSAN のパフォーマンスに影響する可能性があります。

ESXi ホストで非 vSAN ディスクが必要な場合は、ホストに追加のストレージ I/O コントローラが必要です。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-003

デフォルトのワークロード ドメイン クラスタで、オールフラッシュ構成の vSAN を構成します。

デフォルトのワークロード ドメイン クラスタのパフォーマンス ニーズを満たします。

すべての vSAN ディスクはフラッシュ ディスクでなければなりませんが、磁気ディスクよりコストがかかる場合があります。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-004

ワークロード ドメイン クラスタについて計画されているニーズを満たすのに十分な Raw キャパシティを提供します。

ワークロード ドメイン クラスタに十分なリソースがあることを確認し、今後 vSAN データストアを拡張しなくて済むようにします。

なし。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-005

vSAN データストアで、少なくとも 30% の空き容量が常に使用可能であることを確認します。

スラック スペースと呼ばれるこの空き容量は、ホスト メンテナンス モードのデータ退避、コンポーネントの再構築、リバランス操作、および仮想マシンのスナップショットのために確保されます。

必要とされる使用可能なストレージの量を増やします。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-006

ESXi ホストごとに少なくとも 2 つのディスク グループを使用して vSAN を構成します。

フォルト ドメインのサイズを減らし、I/O 負荷をより多くのディスクに分散してパフォーマンスを向上します。

複数のディスク グループを使用するには、各 ESXi ホストにさらにディスクが必要です。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-007

各ディスク グループのキャッシュ層には、600 GB 以上のフラッシュベース ドライブを使用します。

ハイブリッド構成とオール フラッシュ vSAN 構成の両方に十分なキャッシュを用意して、I/O をバッファできるようにし、ディスク グループの確実なパフォーマンスを実現します。

キャッシュ層の容量を追加しても、パフォーマンスは向上しません。

大規模なフラッシュ ディスクを使用すると、初期ホスト コストが増加する可能性があります。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-008

デフォルトの VMware vSAN ストレージ ポリシーを使用します。

  • ワークロード ドメイン クラスタで必要な冗長性のレベルを提供します。

  • 個々のワークロードに十分なレベルのパフォーマンスを提供します。

サードパーティの仮想マシンをこれらのクラスタでホストする場合は、追加のポリシーが必要になる場合があります。それらの仮想マシンには、デフォルトの VMware vSAN ポリシーがサポートするものとは別のパフォーマンスや可用性の要件があるためです。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-009

デフォルトの仮想マシン スワップ ファイルは、スパース オブジェクトとして vSAN 上にそのまま置きます。

スパース仮想スワップ ファイルは、アクセスされる場合にのみ vSAN の容量を使用します。そのため、仮想スワップ ファイルの使用を必要とするメモリ オーバー コミットメントが仮想マシンで発生しない場合は、vSAN データストアの使用量を削減できます。

なし。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-010

ワークロード ドメイン クラスタ内の既存の vSphere Distributed Switch インスタンスを使用します。

既存のネットワーク コンポーネントを使用することで、接続不要のネットワークでの vSAN トラフィックのパフォーマンスを保証します。 

すべてのトラフィック パスは、共通のアップリンクを介して共有されます。

VCF-VSAN-RCMD-CFG-011

vSAN トラフィックの VLAN でジャンボ フレームを構成します。

  • ジャンボ フレームは、vSphere vMotion および NFS ストレージ トラフィックのパフォーマンス向上にも使用されるため、構成が簡素化されます。

  • CPU オーバーヘッドが減り、結果的にネットワーク使用率が高くなります。

ネットワーク内のすべてのデバイスがジャンボ フレームをサポートしている必要があります。

表 4. VMware Cloud Foundation を使用したストレッチ クラスタ用 vSAN 設計の推奨事項

推奨 ID

設計の推奨事項

理由

影響

VCF-VSAN-WTN-RCMD-CFG-001

vSAN 監視トラフィック用に最初の VMkernel アダプタ(管理インターフェイス)を使用するように、vSAN 監視アプライアンスを構成します。

監視トラフィックが管理ネットワーク経由でルーティングされるため、監視アプライアンスにスタティック ルートを設定する必要がなくなります。

両方のアベイラビリティ ゾーンの管理ネットワークは、監視サイトの管理ネットワークにルーティングされている必要があります。

VCF-VSAN-WTN-RCMD-CFG-002

ワークロード ドメイン内のすべての ESXi ホストの管理 VMkernel アダプタに監視トラフィックを配置します。

監視トラフィックを vSAN データ トラフィックから分離します。監視トラフィックの分離には、次の利点があります。

  • 両方のアベイラビリティ ゾーンの vSAN ネットワークから監視サイトへのスタティック ルートを設定する必要がなくなります。

  • 監視トラフィックは標準の MTU サイズ(1,500 バイト)を使用する可能性があるため、各アベイラビリティ ゾーンと監視サイト間のパスでジャンボ フレームを有効にする必要がなくなります。

両方のアベイラビリティ ゾーンの管理ネットワークは、監視サイトの管理ネットワークにルーティングされている必要があります。