この設計と各製品の原則に従って、NSX Edge ノードを展開、構成、および接続して、VMware Cloud Foundation 展開の NSX インスタンス内のネットワークをサポートします。

VMware Cloud Foundation の NSX Edge ノードの展開モデル

NSX Edge ノードの場合は、VMware Cloud Foundation ワークロード ドメイン内のネットワーク サービスの要件に応じて、フォーム ファクタ、ノードの数、配置を決定します。

NSX Edge ノードは、ロード バランシング、NAT、VPN、物理ネットワーク アップリンクなど、ハイパーバイザーに分散できない、一元化されたネットワーク サービスを提供するアプライアンスです。Tier-0 ゲートウェイなどの一部のサービスは、NSX Edge ノードあたり 1 つのインスタンスに制限されます。ただし、ほとんどのサービスはこれらのノードに共存できます。

NSX Edge ノードは 1 つ以上の Edge クラスタにグループ化され、NSX Services のキャパシティ プールを表します。

NSX Edge ノードは、仮想アプライアンスとして展開することも、ベアメタル ハードウェアにインストールすることもできます。ベアメタル ハードウェア上の Edge ノードは、優れたパフォーマンス能力を発揮しますが、それと引き換えに、展開が難しく、デプロイ トポロジの使用事例も限られます。仮想またはベアメタルの NSX Edge を使用する際のトレードオフの詳細については、NSX のドキュメントを参照してください。

表 1. NSX Edge の展開モデルの考慮事項

展開モデル

メリット

デメリット

SDDC Manager を使用して展開された NSX Edge 仮想アプライアンス

  • NSX Manager を呼び出す SDDC Manager ワークフローを使用した展開とライフサイクル管理

  • SDDC Manager を使用したパスワード管理の自動化

  • vSphere HA リカバリのメリット

  • アベイラビリティ ゾーン間で使用可能

  • 仮想アプライアンスの仕様を変更することによりスケール アップが容易

  • ほとんどのシナリオに対して十分なパフォーマンスを提供

  • パケット サイズが小さいワークロードでは、最適なパフォーマンスが得られない可能性があります。

NSX Manager を使用して展開された NSX Edge 仮想アプライアンス

  • vSphere HA リカバリのメリット

  • アベイラビリティ ゾーン間で使用可能

  • 仮想アプライアンスの仕様を変更することによりスケールアップが容易

  • パケット サイズが小さいワークロードでは、最適なパフォーマンスが得られない可能性があります。

  • NSX Manager を使用して手動で展開します。

  • NSX Manager を使用した手動によるパスワード管理。

  • 管理ドメインのアプリケーション仮想ネットワーク (AVN) をサポートするためには使用できない。

ベアメタル NSX Edge アプライアンス

  • パケット サイズが小さいワークロードのパフォーマンスが向上する可能性があります。

  • ハードウェア互換性の要件あり

  • 個々のハードウェア ライフサイクルの管理、および障害、ファームウェア、ドライバの監視が必要

  • 手動によるパスワード管理

  • 手動で展開し、環境に接続する必要あり

  • ハードウェア障害後に手動リカバリが必要

  • ネットワーク フェイルオーバーを行うには、各アベイラビリティ ゾーンへのベアメタル NSX Edge アプライアンスの展開が必要

  • 各アベイラビリティ ゾーンにベアメタル Edge を展開するには、非対称ルーティングの検討が必要
  • アクティブ/スタンバイ Tier-0 または Tier-1 ゲートウェイの各アベイラビリティ ゾーンに複数の Edge が展開されている場合は、Edge フォルト ドメインが必要
  • スケールアップの実現には、新しいホストへの再展開が必要

  • 管理ドメインの AVN をサポートするためには使用できない

VMware Cloud Foundation の NSX Edge のサイジングに関する考慮事項

NSX Edge アプライアンスを展開する場合は、環境の規模に応じてサイズを選択します。選択したオプションによって、アプライアンスの CPU の数とメモリ容量が決まります。

展開する VMware Cloud Foundation インスタンスの全体的なプロファイルに応じたサイジングの詳細については、「VMware Cloud Foundation プランニングおよび準備ワークブック」を参照してください。

表 2. NSX Edge のサイジングに関する考慮事項

NSX Edge アプライアンスのサイズ

スケーリング

概念実証

NAT、ルーティング、レイヤー 4 ファイアウォール、レイヤー 4 ロード バランサなどのレイヤー 2 からレイヤー 4 の機能のみが必要な場合や、スループットの合計要件が 2 Gbps 未満の場合に適しています。

NAT、ルーティング、レイヤー 4 ファイアウォール、レイヤー 4 ロード バランサなどのレイヤー 2 からレイヤー 4 機能のみが必要な場合や、合計スループットが 2 ~ 10 Gbps の場合に適しています。また、SSL オフロードなど、レイヤー 7 ロード バランサが必要な場合にも適しています。

Extra Large

レイヤー 7 ロード バランサと VPN に必要な合計スループットが、複数 Gbps である場合に適しています。

VMware Cloud Foundation の NSX Edge ノードのネットワーク設計

VMware Cloud Foundation インスタンスでは、単一の N-VDS を使用して NSX Edge 構成を実装します。Edge アプライアンスのアップリンク ネットワーク インターフェイスを、ホスト上の特定の物理 NIC に接続されている VLAN トランク ポート グループに接続します。

NSX Edge のネットワーク構成

NSX Edge ノードには、NSX によって管理される仮想スイッチ (N-VDS) が含まれています。この内部 N-VDS は、Edge ノードのインターフェイスを通過するトラフィック フローを定義するために使用されます。N-VDS は、1 つ以上のインターフェイスに接続できます。N-VDS インスタンス間でインターフェイスを共有することはできません。

複数の VMware Cloud Foundation インスタンスを展開する場合は、2 番目および他の VMware Cloud Foundation インスタンスの NSX Edge クラスタに同じネットワーク設計を適用します。

図 1. NSX Edge のネットワーク構成

NSX Edge アプライアンスに、単一の N-VDS が含まれています。eth0 は管理トラフィック用で、管理ポート グループに接続されています。fp-eth0 と fp-eth1 はアップリンク トラフィックとオーバーレイ トラフィック用で、アップリンク ポート グループに接続されています。

VMware Cloud Foundation での NSX Edge ノードのアップリンク ポリシー設計

トランスポート ノードは、オーバーレイおよび VLAN ネットワークに参加できます。アップリンク プロファイルは、NSX Edge トランスポート ノードからトップオブラック スイッチへのリンクのポリシーを定義します。アップリンク プロファイルは、ネットワーク アダプタのプロパティまたは機能のためのコンテナです。アップリンク プロファイルは、Edge ノードの N-VDS に適用されます。

アップリンク プロファイルでは、ロード バランシング ソースまたはフェイルオーバーの順序チーミングを使用できます。ロード バランシング ソースを使用している場合は、複数のアップリンクをアクティブにできます。フェイルオーバーの順序を使用している場合、アクティブにできるのは 1 つのアップリンクのみです。

チーミングは、デフォルトのチーミング ポリシーまたはユーザー定義の名前付きチーミング ポリシーを使用して構成できます。名前付きチーミング ポリシーを使用して、トラフィック セグメントを、指定した Edge アップリンクに固定できます。

VMware Cloud Foundation の NSX Edge ノードの要件と推奨事項

VMware Cloud Foundation で NSX Edge を使用する場合のネットワーク、N-VDS 構成、およびアップリンク ポリシーの要件、および NSX Edge ノードを、標準またはストレッチ クラスタで最適な方法で運用するためのベスト プラクティス(ノードの数やサイズ、高可用性、N-VDS アーキテクチャなど)を検討してください。

NSX Edge 設計の要件

VMware Cloud Foundation の NSX Edge 設計では、標準クラスタとストレッチ クラスタについて次の設計要件を満たす必要があります。

表 3. VMware Cloud Foundation の NSX Edge 設計の要件

要件 ID

設計の要件

理由

影響

VCF-NSX-EDGE-REQD-CFG-001

各 NSX Edge ノードの管理インターフェイスを仮想マシン管理ネットワークに接続します。

NSX Manager クラスタから NSX Edge への接続を実現します。

なし。

VCF-NSX-EDGE-REQD-CFG-002

  • vmnic0 と vmnic1 のように、NSX Edge アプライアンスのアップリンクとして 2 つの物理 NIC を使用します。

  • 各 NSX Edge アプライアンスの fp-eth0 インターフェイスを、ホストの 1 つの物理 NIC (vmnic0) に固定された VLAN トランク ポート グループに接続します(別の物理 NIC (vmnic1) にフェイルオーバー可能)。

  • 各 NSX Edge アプライアンスの fp-eth1 インターフェイスを、ホストの物理 NIC (vmnic1) に固定された VLAN トランク ポート グループに接続します(最初の物理 NIC (vmnic0) にフェイルオーバー可能)。

  • 各 NSX Edge アプライアンスの追加の fp-eth2 および fp-eth3 インターフェイスは使用しないままにします。

  • VLAN トランク ポート グループはすべての VLAN のトラフィックを渡すため、VLAN タギングが、デプロイ後の構成を容易にするために NSX Edge ノード自体で行われる場合があります。

  • 2 つの個別の VLAN トランク ポート グループを使用すると、必要に応じて Edge ノードから特定のホスト ネットワーク インターフェイスおよびトップオブラック スイッチにトラフィックを転送できます。

  • トップオブラック スイッチで障害が発生した場合、VLAN トランク ポート グループは他の物理 NIC にフェイルオーバーし、fp-eth0fp-eth1 の両方を使用できるようにします。

なし。

VCF-NSX-EDGE-REQD-CFG-003

ホスト オーバーレイ VLAN とは異なる Edge オーバーレイに専用 VLAN を使用します。

専用の Edge オーバーレイ ネットワークは、複数のアベイラビリティ ゾーンやマルチラック クラスタなどの高度な展開をサポートする Edge モビリティをサポートします。

  • Edge オーバーレイとホスト オーバーレイの VLAN 間のルーティングが必要です。

  • Edge オーバーレイ用に、データセンター インフラストラクチャに別の VLAN を割り当てる必要があります。

VCF-NSX-EDGE-REQD-CFG-004

3 つのチーミング ポリシーを使用して、Edge ノードに 1 つのアップリンク プロファイルを作成します。

  • アクティブ アップリンク uplink1uplink2 の両方を持つロード バランシング ソースのデフォルトのチーミング ポリシー。

  • 単一のアクティブ アップリンク uplink1 を持つ(スタンバイ アップリンクなし)、フェイルオーバーの順序の名前付きチーミング ポリシー。

  • 単一のアクティブ アップリンク uplink2 を持つ(スタンバイ アップリンクなし)、フェイルオーバーの順序の名前付きチーミング ポリシー。

  • 単一の N-VDS を使用する NSX Edge ノードに設定できるアップリンク プロファイルは 1 つのみです。

  • 回復性とパフォーマンスを向上するため、ESXi ホスト上の両方の物理 NIC を介した両方の Edge アップリンクの同時使用をサポートします。

  • デフォルトのチーミング ポリシーは、複数の TEP を使用し、オーバーレイ トラフィックのバランシングを行うことで、オーバーレイのパフォーマンスと可用性を向上します。

  • 名前付きチーミング ポリシーを使用すると、Edge アップリンクを特定のホスト アップリンクに接続し、そこからデータセンター内の特定のトップオブラック スイッチに接続できます。

  • NSX Edge ノードは、2 つの異なる VLAN を介して物理ネットワークにアップリンクできるため、ECMP を有効にします。

なし。

表 4. VMware Cloud Foundation の NSX マルチラック Edge の可用性設計の要件

要件 ID

設計の要件

理由

影響

VCF-NSX-MR-EDGE-REQD-ENV-001

Edge クラスタごとに少なくとも 1 台の Edge 仮想マシンを、別のラックにある各 vSphere クラスタに配置します。

ラックまたは vSphere クラスタで障害が発生した場合に可用性を提供します。

追加のコンピューティング リソースが必要です。

VCF-NSX-MR-EDGE-REQD-CFG-001

各ラック内の各 NSX Edge ノードの管理インターフェイスを、そのラックの仮想マシン管理ネットワークに接続します。

NSX Manager クラスタから NSX Edge への接続を実現します。

なし。

VCF-NSX-MR-EDGE-REQD-CFG-002

マルチラック NSX Edge クラスタの展開に使用される各ラックの Edge オーバーレイ ネットワークに専用の IP アドレス プールを使用します。

ラックごとの専用 Edge オーバーレイ ネットワークとサブネットは、リーフ ノードにレイヤー 2 境界を持つレイヤー 3 リーフ/スパイン物理ネットワーク設計をサポートします。

追加のラックごとに追加の IP アドレス プールを管理する必要があります。

VCF-NSX-MR-EDGE-REQD-CFG-003

ラックごとに Edge アップリンク プロファイルを作成します。

ラックごとに専用の Edge オーバーレイ VLAN を使用して、リーフ ノードにレイヤー 2 境界を持つレイヤー 3 リーフ/スパイン物理ネットワーク設計をサポートできるようにします。

なし。
表 5. VMware Cloud Foundation での NSX フェデレーションの NSX Edge 設計の要件

要件 ID

設計の要件

理由

影響

VCF-NSX-EDGE-REQD-CFG-005

Edge オーバーレイ VLAN とは異なる Edge RTEP オーバーレイに個別の VLAN を割り当てます。

RTEP ネットワークは、Edge オーバーレイ VLAN とは異なる VLAN 上にある必要があります。これは、ネットワークごとに異なる MTU サイズを構成するためのサポートを提供する NSX 要件です。

データセンター インフラストラクチャに別の VLAN を割り当てる必要があります。

NSX Edge 設計の推奨事項

VMware Cloud Foundation の NSX Edge 設計では、標準クラスタとストレッチ クラスタに特定のベスト プラクティスを適用できます。

表 6. VMware Cloud Foundation の NSX Edge 設計の推奨事項

推奨 ID

設計の推奨事項

理由

影響

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-001

適切なサイズに設定された NSX Edge 仮想アプライアンスを使用します。

ワークロード ドメインごとのリソースの可用性と使用効率を確実に実現します。

選択したアプライアンス サイズをサポートするのに十分なコンピューティング リソースを用意する必要があります。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-002

ワークロード ドメインのデフォルトの vSphere クラスタに NSX Edge 仮想アプライアンスを展開し、ワークロードと Edge アプライアンス間でクラスタを共有します。

構成を簡素化し、初期展開に必要な ESXi ホストの数を最小限に抑えます。

ワークロードと NSX Edge は同じコンピューティング リソースを共有します。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-003

ワークロード ドメインのデフォルトの vSphere クラスタ内の Edge クラスタに 2 台の NSX Edge アプライアンスをデプロイします。

可用性の要件を満たしながら、最小サイズの NSX Edge クラスタを作成します。

VI ワークロード ドメインの場合、帯域幅の増加要件を満たすために、追加の Edge アプライアンスが必要になる場合があります。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-004

NSX Edge クラスタの仮想マシンに、vSphere DRS の仮想マシン間の非アフィニティ ルールを適用します。

高可用性を実現するために、NSX Edge ノードを異なる ESXi ホストで実行し続けます。

なし。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-005

vSphere HA で、各 NSX Edge アプライアンスの再起動の優先順位ポリシーを高に設定します。

  • NSX Edge ノードは、オーバーレイ セグメントの North-South データ パスの一部です。vSphere HA は、Edge 仮想マシンがオフラインになる時間を最小限に抑えるために、最初に NSX Edge アプライアンスを再起動します。

  • 再起動の優先順位を高に設定すると、今後必要になったときに備えて、最も高い優先順位が予約されます。

クラスタ内の別の仮想マシンの再起動の優先度が最も高い場合、Edge アプライアンスの接続遅延が長くなります。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-006

クラスタ内の NSX Edge ノード間でのデフォルトの双方向の転送検出 (BFD) 構成を使用して、NSX Edge クラスタを作成します。

  • デフォルトで、可用性の要件を満たします。

  • NAT、物理ネットワークへのルーティング、ロード バランシングなどのサービスを作成するには、Edge ノードを引き続き使用できる必要があります。

なし。

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-007

NSX Edge ノードで単一の N-VDS を使用します。

  • Edge ノードの展開を簡素化します。

  • Edge フォーム ファクタに関係なく、同じ N-VDS スイッチ設計を使用できます。

  • Edge ノードで複数の TEP インターフェイスをサポートします。

  • Edge ノードでは、vSphere Distributed Switch はサポートされていません。

なし。

表 7. VMware Cloud Foundation のストレッチ クラスタに関する NSX Edge 設計の推奨事項

推奨 ID

設計の推奨事項

理由

影響

VCF-NSX-EDGE-RCMD-CFG-008

NSX Edge アプライアンスを最初のアベイラビリティ ゾーンの仮想マシン グループに追加します。

デフォルトで、NSX Edge アプライアンスがプライマリ アベイラビリティ ゾーンのホストでパワーオンされるようにします。

なし。