Horizon Client for Linux には、VMware Blast 表示リモート プロトコルに関連するオプションを構成できる [VMware Blast の構成] メニュー項目があります。これらのオプションのほとんどは、VMware Blast でのビデオ圧縮方法(デコード方法やコーデックなど)の使用を制御するものです。
VMware Blast のコーデック サポート
VMware Blast では、Horizon Agent から Horizon Client にリモート画面のコンテンツを送信するときに、H.264、HEVC、AV1 などの業界標準のコーデックを使用できます。その結果、Horizon Agent と Horizon Client の両方で、さまざまなシステム ハードウェアによる GPU ハードウェア アクセラレーションを使用できます。
Horizon Agent は、次の表に示すコーデックをサポートしています。
[ハードウェア エンコードのコーデック] |
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[ソフトウェア エンコードのコーデック] |
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Horizon Client は、次の表に示すコーデックをサポートしています。
[ハードウェア デコードのコーデック] |
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[ソフトウェア デコードのコーデック] |
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コーデック オプションのサマリ
- [BlastCodec] はバンド幅効率に優れた汎用コーデックで、特にオフィス ワークロードに適しています。設計上、このコーデックは高解像度カラーに対応しています。
- [H.264] は、マルチメディア コンテンツの再生機能を最適化し、ほとんどのクライアント ハードウェアでサポートされています。低パワーのシン クライアントの場合、このコーデックでフレーム レートが改善される場合があります。また、テキストやグラフィックスの色をより鮮明に表示するために、高解像度カラー オプションを有効にすることもできます。ただし、このオプションではソフトウェア デコーダーの使用が必要になる場合があり、その結果、クライアント マシンの CPU 使用率が増加します。
- [HEVC (High Efficiency Video Coding)] は、マルチメディア コンテンツ用にも最適化されており、より特殊なハードウェア要件があります。このコーデックには、高解像度カラーを許可するオプションがあります。
- [AV1 (AOMedia Video 1)] は、ビデオ伝送用に設計されたロイヤリティフリーのコーデックです。Horizon Client は現在、このコーデックの高解像度カラーをサポートしていません。
- [Adaptive] は、VMware Blast でサポートされていたオリジナルのソフトウェア コーデックで、その後 BlastCodec に置き換わりました。Horizon Client は、他のコーデック(BlastCodec や H.264 など)がサポートされていない場合のフォールバックとして Adaptive を使用します。
ARM プロセッサでは高解像度カラーはサポートされていません。
サポートされている最大解像度は、クライアントの画像処理装置 (GPU) の処理能力によって異なります。JPEG/PNG の 4K 解像度をサポートしている GPU で、H.264 の 4K 解像度がサポートされない可能性があります。
環境でネットワーク プロキシ サーバが使用されている場合、オペレーティング システムで構成されているデフォルトのプロキシ サーバ経由での VMware Blast 接続を許可するかどうか指定できます。
SSL プロキシ サーバの場合は、SSL プロキシ サーバを介したセカンダリ接続の証明書確認も設定する必要があります。詳細については、「Horizon Client の証明書確認モードの設定」を参照してください。
前提条件
エージェント マシンが次の要件を満たしていることを確認します。
- H.264 または HEVC の高解像度カラーをサポートするには、Horizon Agent 2203 以降をインストールする必要があります。高解像度カラーは、YUV 4:4:4 カラー マトリックスを使用しており、標準定義の YUV 4:2:0 マトリックスの 4 倍の色解像度を提供します。
- インストールされている Horizon Agent のバージョンに応じて、Horizon 管理者はエージェント側のグループ ポリシー設定を使用して、VMware Blast 機能(H.264 および HEVC の高解像度カラーを含む)を有効または無効にすることができます。詳細については、『Horizon リモート デスクトップの機能と GPO』ドキュメントの「VMware Blast ポリシー設定」を参照してください。
- H.264 デコードは、AMD、NVIDIA、および Intel GPU でサポートされます。
- AMD または NVIDIA GPU で H.264 デコードを使用するには、グラフィック ライブラリ OpenGL 3.2 以降をインストールします。
- NVIDIA GPU で H.264 デコードを使用する場合は、VDPAU (Video Decode and Presentation API for UNIX) をインストールします。VDPAU は、最新の NVIDIA ドライバには含まれなくなり、別途インストールする必要があります。
- Intel GPU で H.264 を使用するには、Intel VA-API ドライバと GLX VA-API ライブラリが必要です。コマンド vainfo を実行すると、H.264 プロファイルが表示されます。
- Intel GPU で HEVC 4:4:4 デコードを使用するには、第 10 世代 (Ice Lake) 以降の CPU が必要です。
- AV1 デコードは、NVIDIA と Intel GPU でサポートされます。
手順
VMware Blast オプションは、サーバに接続する前または後で設定できます。
- Horizon Client を開始します。
- メニュー バーから
の順に選択します。
- BlastCodec ソフトウェア デコードを許可するには、[BlastCodec デコードを許可する] チェック ボックスを選択します。
このオプションを選択すると、Horizon Client は Horizon Agent に BlastCodec の使用を許可します。このオプションはデフォルトで選択されています。
注: BlastCodec は、 Horizon Agent バージョン 2006 以降でのみサポートされます。 Horizon Agent バージョン 7.13 以前の場合は、別のコーデックが使用されます。詳細については、「 コーデックの優先順位」を参照してください。 - H.264 デコード オプションを構成します。
- H.264 デコードを許可するには、[H.264 デコードを許可する] チェック ボックスを選択します。
このオプションを選択すると、Horizon Client は Horizon Agent に H.264 の使用を許可します。このオプションはデフォルトで選択されています。
ほとんどのクライアント ハードウェアは、標準カラーで H.264 の GPU アクセラレーション デコードをサポートしています。
- H.264 デコードが許可されている場合にカラー テキストとグラフィックの鮮明さを向上させるには、[HD カラーを許可する(バッテリの寿命が短くなり、パフォーマンスが低下する可能性があります)] チェック ボックスをオンにします。
このオプションを選択すると、Horizon Client は H.264 4.4.4 デコードの使用を許可します。このオプションを選択すると、バッテリの消耗が早くなったり、パフォーマンスが低下する場合があります。このオプションはデフォルトで選択されていません。
- H.264 デコードを許可するには、[H.264 デコードを許可する] チェック ボックスを選択します。
- HEVC デコード オプションを構成します。
- HEVC デコードを許可するには、[HEVC デコードを許可] チェック ボックスをオンにします。
このオプションを選択すると、Horizon Client は Horizon Agent に HEVC の使用を許可します。HEVC を使用するには、クライアント マシンとエージェント マシンの両方で HEVC の GPU ハードウェア サポートが必要です。
このオプションはデフォルトで選択されています。
- HEVC デコードが許可されている場合にカラー テキストとグラフィックの鮮明さを向上させるには、[HD カラーを許可(パフォーマンスが低下する可能性があります)] チェック ボックスをオンにします。
このオプションを選択すると、Horizon Client は HEVC 4.4.4 デコードの使用を許可します。このオプションはデフォルトで選択されていません。
注: 高解像度カラーは、カラー テキストとグラフィックのより鮮明な表示を提供します(一般的に使用される YUV 4:2:0 の代わりに YUV 4:4:4 カラー マトリックスを使用)。ただし、一部の GPU では、高解像度カラーが有効になっている HEVC のエンコード/デコード パフォーマンスが低下します。フレーム レートの大幅な低下などのパフォーマンスの問題が発生した場合は、このオプションを選択解除して、高解像度カラーを許可しないようにします。 - HEVC デコードを許可するには、[HEVC デコードを許可] チェック ボックスをオンにします。
- AV1 デコードを許可するには、[AV1 デコードを許可する] チェック ボックスを選択します。
AV1 を使用するには、クライアント マシンとエージェント マシンの両方で AV1 の GPU ハードウェア サポートが必要です。
- プロキシ サーバ経由での VMware Blast 接続を許可するには、[Blast 接続でオペレーティング システムのプロキシ設定を使用することを許可] チェック ボックスを選択します。
- ネットワークが不安定な場合の警告メッセージを表示しないようにするには、[ネットワーク状態の表示を無効にする] チェック ボックスを選択します。
- [OK] をクリックして変更を保存します。
変更内容は、ユーザーが次にリモート デスクトップまたは公開アプリケーションに接続するか、VMware Blast 表示プロトコルを選択したときに有効になります。変更内容は、既存の VMware Blast セッションには影響しません。
コーデックの優先順位
VMware Blast 接続を開始するときに、Horizon Client と Horizon Agent がネゴシエートし、使用するコーデックを特定します。このネゴシエーション プロセスでは次の処理が実行されます。
- Horizon Client が、クライアント マシンのハードウェアを介してサポートし、[VMware Blast の構成] の設定で許可しているコーデックのリストを提示します。
- Horizon Agent がクライアント リストを受信し、エージェントがエージェント マシン ハードウェアを介してサポートし、エージェント構成の設定で許可しているコーデックのリストに適用します。エージェント リストは、クライアント リストにあるコーデックのみが含まれるようにフィルタされます。
- フィルタされたエージェント リストに基づいて、Horizon Agent がハードウェア コーデックの優先順位を設定します。ハードウェア コーデックが使用できない場合は、ソフトウェア コーデックにフォールバックします。優先順位については、このページの後半で概要を説明します。
注: エージェント仮想マシンは通常、H.264、HEVC、および AV1 ハードウェア コーデックをサポートしていません。これらのコーデックを使用するには、ハイパーバイザー ホストに専用の GPU ハードウェアが必要になります。このため、 Horizon Agentは通常、BlastCodec をデフォルトとして使用するソフトウェア エンコードを使用します。
システム環境が次のすべての基準を満たしている場合、Horizon Agent はハードウェア コーデックを使用します。
- [エージェント] マシンでハードウェア コーデックがサポートされている。
- HEVC および AV1 の場合、[クライアント] マシンにハードウェア コーデックをサポートする GPU が搭載されている。
- [クライアント]側の VMware Blast オプションが、デコード方法を使用できるように構成されている。
Horizon Agent は、次の優先順位に従ってハードウェア コーデックを選択します。
- HEVC 4:4:4(高解像度カラー)
- H.264 4:4:4(高解像度カラー)
- AV1 4:2:0(標準カラー)
- HEVC 4:2:0(標準カラー)
- H.264 4:2:0(標準カラー)
ハードウェア コーデックがクライアント マシンとエージェント マシンの両方でサポートされていない場合、Horizon Agentは、次の優先順位とクライアントで許可されているデコード方法に従ってソフトウェア コーデックを選択します。
- BlastCodec(高解像度カラー)
- H.264 4:4:4(高解像度カラー)
- H.264 4:2:0(標準カラー)
- Adaptive(高解像度カラー)