このセクションでは、自動スケーリングと手動スケーリングの違いを示します。

移行

スケーリングに加えて、仮想サービスを別の SE に移行することもできます。たとえば、使用率の低い複数の SE を 1 つの SE に統合することも、1 つの SE にビジー状態の仮想サービスが 2 つあれば一方の仮想サービスをその SE に移行することもできます。さらにキャパシティが必要な場合は、仮想サービスをさらに追加の SE にスケール アウトできます。移行プロセスは、スケーリングと同様に動作します。新しい SE がセカンダリとして既存の仮想サービスに追加されます。まもなく、NSX Advanced Load Balancer Controller はセカンダリをプライマリに昇格します。新しい SE は、すべての新しい接続を処理し、古い接続を現在のセカンダリ SE に転送します。30 秒後、古い SE は残りの接続を終了し、仮想サービス構成から削除されます。

手動スケーリング



手動スケーリングがデフォルトのモードです。スケール アウトは、仮想サービスの [分析] ページから開始されます。クイック情報ポップアップ(左上隅の仮想サービス名)をポイントすると、[スケール アウト]、[スケール イン]、および [移行] のオプションが表示されます。目的のオプションを選択してスケーリングまたは移行します。NSX Advanced Load Balancer がフル アクセス モードで構成されている場合は、スケール アウトが開始されます。既存の SE に使用可能なリソース キャパシティがあり、VS に追加できる場合は数秒、新しい SE をインスタンス化する必要がある場合は数分かかる場合があります。読み取りモードまたはアクセス権なしモードの場合、NSX Advanced Load Balancer Controller は新しい SE をインストールしたり、既存の SE のネットワーク設定を変更したりすることはできません。そのため、場合によっては、スケール アウト コマンドを開始する前に管理者は新しい SE を手動で作成し、ネットワーク設定を適切に構成する必要があります。スケール アウトするときに対象となる SE が使用できない場合は、エラー メッセージに詳細情報が表示されます。SE の CPU 使用率が継続的に 80% を超える場合、SE のメモリ使用率が 90% を超える場合、または 1 秒あたりのパケット数が仮想マシンのハイパーバイザーの上限に達した場合は、スケール アウトを検討してください。

自動スケーリング



スケーリングのデフォルト モードは手動です。これは、SE グループごとに自動スケーリング(自動リバランス)に変更できるので、コントローラでは仮想サービスをスケーリングまたは移行するタイミングを決定できます。デフォルトでは、SE の平均 CPU 使用率が 80% を超えると、NSX Advanced Load Balancer Controller が仮想サービスをスケール アウトまたは移行する場合があります。SE の CPU 使用率が 30% 未満の場合は、仮想サービスを移行またはスケール インします。コントローラは 5 分間隔で SE グループを検査します。その 5 分間隔の最後の 30 秒で、最大設定を超えるか、最小設定を下回っている場合、コントローラでは複数の SE にわたって仮想サービスをリバランスするアクションを実行する場合があります。コントローラは、5 分間に 1 回のみ、保留中の変更を開始または許可します。これには、スケール イン、スケール アウト、または仮想サービスの移行があります。



スケーリングと移行を自動化するシナリオの例:

  • SE に単一の仮想サービスが存在し、その SE の使用率がしきい値 80% を超えている場合、仮想サービスはスケール アウトされます。

  • 仮想サービスによる SE の使用量の比率は、5 分間隔で PPS(1 秒あたりのパケット数)を比較することによって決定されます。SE が CPU のしきい値 80% を超え、1 つの仮想サービスが生成する SE の PPS が 70% を超えている場合、この仮想サービスはスケール アウトされます。ただし、SE の CPU 使用率が 80% のマークを超え、単一の仮想サービスで消費される SE の PPS が 70% を超えていない場合は、コントローラは仮想サービスを別の SE に移行することを選択します。リソースを最も多く消費している仮想サービスは、移行の対象として選択される可能性が高くなります。

  • SE に 2 つの仮想サービスがあり、各サービスが SE の CPU の 45% を消費している場合、つまりどちらも 70% PPS のルールに違反していない場合は、1 つの仮想サービスが新しい SE に移行されます。

詳細については、「NSX Advanced Load Balancer の CLI を使用して自動リバランスを構成する方法」を参照してください。