このセクションでは、AWS のマルチ アベイラビリティ ゾーンのサポートについて説明します。

複数のアベイラビリティ ゾーン機能は、AWS で、各 AZ に VIP を割り当てて、複数の AZ に分散配置されたアプリケーション(仮想サービス)のバックエンド サーバのロード バランシングに対処します。この機能を使用できない場合、ユーザーは AZ ごとに 1 つずつ個別の仮想サービスを構成しなければなりません。NSX Advanced Load Balancer は、マルチ AZ VS の構成を一元管理し、同じ VS の複数の VIP の分析とログをアプリケーション用の単一の統合ビューにまとめて表示します。

以降の図を参照してください。アプリケーションの仮想サービスで、3 つのアベイラビリティ ゾーン(AZ-1、AZ-2、AZ-3)にまたがる単一のプール内にある 9 台のサーバ(SRV1 ~ SRV9)の共通プールを共有します。サーバには、AZ ごとに 1 つずつ割り当てられる 3 つの VIP(VIP1、VIP2、VIP3)を使用してアクセスします。

マルチ AZ 展開では、各 AZ 内の VIP のアクティブ/アクティブ HA を構成する必要はありません。SE インスタンスを AZ 全体に分散させることで、高可用性が自動的に提供されます。また、NSX Advanced Load Balancer は無停止のアップグレードをサポートしています(各 AZ の SE が 1 つずつアップグレードされ、アップグレード中に VS は常に稼動状態に維持されます)。そのため、推奨 HA モードは、バッファ 0 の N+M です。

DNS

マルチ AZ 機能のため、FQDN を使用して仮想サービスを構成する必要があります。NSX Advanced Load Balancer は、DNS だけでなく、AWS の Route 53 とも連携します。これらのどちらかを使用することがマルチ AZ 機能の前提条件となります。どちらを使用する場合も、VS のすべての VIP が DNS に自動的に入力されます。AZ 間のトラフィックを最小限に抑えるため(AWS は AZ 間のトラフィックを追加で課金)、一貫性のあるハッシュ アルゴリズムを使用して DNS を構成することをお勧めします。

サーバの選択

サーバの選択には、NSX Advanced Load Balancer の任意のロード バランシング アルゴリズムを使用することができます。現在のリリースでは、VIP 上のトラフィックが同じ AZ 内のプール サーバに自動的にローカライズされません。これに関しては、今後のリリースで機能強化が行われる予定です。

運用状態

各 VIP では UP/DOWN 時にイベントが生成され、この情報は VIP の健全性を判断するために使用することができます。VIP がダウンすると、NSX Advanced Load Balancer によってその VIP が DNS(DNS や Route 53 など)から自動的に削除されます。VIP が再びアップ状態になると、それに伴って DNS が自動的に更新されます。

VS oper_status

VIP oper_status

ダウン

どの VIP もアップではない場合

アップ

いずれかの VIP がアップの場合

次に示す仮想サービス リストには、メンバー VIP の IP アドレスが記載されています。

VIP ごとの仮想サービスの健全性は、次のようにして、仮想サービスのサブメニューで確認できます。

上記のディスプレイに表示される [スケールアウト][スケールイン]、または [移行] ボタンをクリックすると、ウィンドウにドロップダウン メニューが表示され、特定の VIP を選択してスケーリングまたは移行することができます。

ユーザー インターフェイスによるマルチ VIP 仮想サービスの作成

ユーザーは、VS エディタの [設定] タブの [VIP アドレス] セクション内のリストに複数の VIP を指定することで、マルチ AZ 機能を使用できます。次の例では、自動割り当てに使用する 2 つのネットワークを指定して、2 つの VIP が選択されています。さらに、その FQDN を Route 53 で登録する必要があります。