分散論理ルーターと ESG は分散仮想スイッチを使用して、dvPortgroup(VXLAN ベースおよび VLAN ベースの両方)の L2 フォワーディング サービスを提供し、End-to-End の接続を可能にします。
つまり、分散論理ルーターまたは ESG に接続される L2 フォワーディング サービスが設定され、動作している必要があります。NSX のインストール プロセスでは、これらのサービスは [ホストの準備] および [論理ネットワークの準備] を使用して提供されます。
マルチクラスタ分散仮想スイッチ設定でトランスポート ゾーンを作成する場合、選択した分散仮想スイッチ内のすべてのクラスタがトランスポート ゾーンに含まれていることを確認します。これにより、分散仮想スイッチの dvPortgroup が使用可能なすべてのクラスタで、分散論理ルーターを使用できるようになります。
すべてのトランスポート ゾーンが分散仮想スイッチの境界に一致していれば、分散論理ルーター インスタンスが正しく作成されます。
トランスポート ゾーンが分散仮想スイッチの境界と一致していないと、論理スイッチ(5001、5002、5003)とそれらの論理スイッチが接続される分散論理ルーター インスタンスの範囲の結合が解除されて、クラスタ Comp A 内の仮想マシンが分散論理ルーターの LIF にアクセスできなくなります。
上記の図では、Compute_DVS という分散仮想スイッチの範囲に Comp A と Comp B の 2 つのクラスタが含まれます。Global-Transport-Zone には、Comp A と Comp B の両方が含まれます。
したがって、論理スイッチ(5001、5002、5003)と、これらの論理スイッチが存在するすべてのクラスタのすべてのホストで作成された分散論理ルーター インスタンスの範囲が正しく一致します。
次の例では、トランスポート ゾーンの設定にクラスタ Comp A が含まれていません。
この例では、クラスタ Comp A で実行される仮想マシンには、すべての論理スイッチへの完全なアクセス権限があります。これは、論理スイッチがホストの dvPortgoup により示され、dvProtgroup が分散仮想スイッチ全体で構築されているためです。サンプルの環境では、Compute_DVS の範囲には Comp A と Comp B の両方が含まれます。
しかし、分散論理ルーター インスタンスはトランスポート ゾーンの範囲に厳密に一致するように作成されています。つまり、分散論理ルーター インスタンスは Comp A のホストでは作成されません。
このため、仮想マシン web1 は、同じ論理スイッチ上の仮想マシン web2 と仮想マシン LB にアクセスできますが、仮想マシン app1 と 仮想マシン db1 は通信できません。
ESG と異なり、分散論理ルーターはコントローラ クラスタを使用することによって機能します。分散論理ルーター設定を作成または変更する前に、コントローラ クラスタが稼動していて、使用可能であることを確認します。
分散論理ルーターを VLAN dvPortgroup に接続する場合は、分散論理ルーター VLAN ベースの ARP プロキシが機能するよう、分散論理ルーターが設定されている ESXi ホストが UDP/6999 で相互にアクセスできるようにします。
- 分散論理ルーター インスタンスは、異なるトランスポート ゾーンにある論理スイッチには接続できません。これは、すべての論理スイッチと分散論理ルーター インスタンスを確実に一致させるためです。
- 分散論理ルーターが複数の分散仮想スイッチにわたる論理スイッチに接続されている場合、VLAN がバッキングするポートグループにその分散論理ルーターを接続することはできません。これはホスト全体で、論理スイッチと dvPortgroup に分散論理ルーター インスタンスを正確に一致させるためです。
- 分散論理ルーター制御仮想マシンの配置場所を選択する際、アップストリーム ESG が同じクラスタに存在する場合は、DRS の非アフィニティ ルールを使用して、1 つ以上のアップストリーム ESG と同じホストに配置しないようにします。これによって、ホストの分散論理ルーター フォワーディングで障害が発生した場合の影響を低減できます。
- OSPF を有効にできるアップリンクは 1 つだけです(ただし、複数の隣接関係はサポートされます)。逆に、BGP は必要に応じて複数のアップリンク インターフェイスで有効にすることができます。