DHCP サーバは、NSX Edge クラスタの Edge ノードでサービス(サービス ルーター)として実行されます。

ゲートウェイに接続していないスタンドアローン セグメントは、DHCP ローカル サーバのみを使用できます。ゲートウェイに接続しているセグメントは、DHCP ローカルサーバ、DHCP リレーまたはゲートウェイ DHCP サーバのいずれかを使用できます。

セグメントが DHCP ローカル サーバ またはゲートウェイ DHCP サーバを使用しているかどうかに関係なく、DHCP サーバは常に Edge クラスタの Edge トランスポート ノードでサービス ルーターとして実行されます。セグメントが DHCP ローカル サーバを使用している場合、DHCP プロファイルで指定した Edge クラスタに DHCP サービスが作成されます。ただし、セグメントがゲートウェイ DHCP サーバを使用している場合、いくつかの要素の組み合わせによって、DHCP サービスが作成される Edge クラスタが決まります。
  • Edge クラスタがゲートウェイで指定されているか
  • Edge クラスタがゲートウェイの DHCP プロファイルで指定されているか
  • ゲートウェイと DHCP プロファイルの Edge クラスタが同じかどうか。
  • Tier-1 のルーティングされたセグメントが Tier-0 ゲートウェイに接続しているか。

以下のシナリオでは、DHCP サービスの作成で使用される Edge クラスタがどのように選択されるのかについて説明します。

シナリオ 1:スタンドアローン セグメントが DHCP ローカル サーバを使用する場合

シナリオの説明:
  • 4 つの Edge ノード(N1、N2、N3、N4)を含む Edge クラスタ (Cluster1) が作成されています。
  • オーバーレイ トランスポート ゾーンに、接続なしのセグメントが追加されています。
  • セグメントはデフォルトで DHCP ローカル サーバを使用します。
DHCP サーバ プロファイルの構成は次のようになります。
  • プロファイル タイプ:DHCP Server
  • Edge クラスタ:Cluster1
  • 優先 Edge:None

このシナリオでは、DHCP サービスを作成するために Cluster1 の任意の 2 つの Edge ノードが自動的に割り当てられ、DHCP 高可用性 (HA) が自動的に構成されます。Cluster1 で選択された Edge ノードの 1 つがアクティブ モードで実行され、もう 1 つの Edge がパッシブ モードで実行されます。

注:
  • DHCP プロファイルで 2 つの優先 Edge ノードを選択すると、最初に追加された Edge ノードがアクティブ Edge になります。2 番目の Edge ノードはパッシブ ロールを取得します。
  • DHCP プロファイルで優先 Edge ノードを 1 つだけ選択した場合、DHCP HA は構成されません。

シナリオ 2:Tier-1 のルーティングされたセグメントがゲートウェイ DHCP を使用し、ゲートウェイと DHCP プロファイルで異なる Edge クラスタが設定されている場合

ネットワーク内に 2 つの Edge クラスタ(Cluster1 と Cluster2)があります。どちらのクラスタにも 4 つの Edge ノードがあります。
  • Cluster1 の Edge ノード:N1、N2、N3、N4
  • Cluster2 の Edge ノード:N5、N6、N7、N8
シナリオの説明:
  • セグメントは、Tier-1 ゲートウェイに接続しています。
  • Tier-1 ゲートウェイは Tier-0 ゲートウェイに接続していません。
  • Tier-1 ゲートウェイの DHCP サーバ プロファイルでは、Cluster1 が使用されています。
  • Tier-1 ゲートウェイでは Cluster2 が使用されています。
  • セグメントは、ゲートウェイ DHCP サーバを使用するように構成されています。
Tier-1 ゲートウェイの DHCP サーバ プロファイルは、次のように構成されています。
  • プロファイル タイプ:DHCP Server
  • Edge クラスタ:Cluster1
  • 優先 Edge:N1、N2(特定の順番で追加)
Tier-1 ゲートウェイの構成は次のとおりです。
  • Edge クラスタ:Cluster2
  • 優先 Edge:N5、N6(特定の順番で追加)

このシナリオでは、DHCP サービスは Cluster2 の Edge ノードで実行されます。Cluster2 には複数の Edge ノードが含まれているため、DHCP HA が自動的に構成されます。ただし、DHCP HA でゲートウェイの優先 Edge N5 と N6 は無視されます。DHCP HA 用に Cluster2 の 2 つのノードがランダムに選択され、自動的に割り当てられます。

このシナリオは、セグメントが Tier-0 ゲートウェイに直接接続し、ネットワーク トポロジに Tier-1 ゲートウェイが存在しない場合にも当てはまります。

注意: NSX-T Data Center 3.0.2 以降では、DHCP サーバの作成後に、ゲートウェイ DHCP サーバの Edge クラスタを変更できます。ただし、この操作を行うと、DHCP クライアントに割り当てられているすべての DHCP リースが失われます。
まとめると、このシナリオの主なポイントは次のようになります。
  • ゲートウェイ DHCP サーバを使用しているときに、ゲートウェイ DHCP プロファイルと Tier-1 ゲートウェイで異なる Edge クラスタを設定すると、DHCP サービスは常にゲートウェイの Edge クラスタに作成されます。
  • DHCP HA 構成の Edge ノードが Tier-1 ゲートウェイの Edge クラスタからランダムに割り当てられます。
  • Tier-1 ゲートウェイに Edge クラスタが指定されていない場合、Tier-1 ゲートウェイ (Cluster1) の DHCP プロファイルに設定された Edge クラスタが DHCP サービスの作成に使用されます。

シナリオ 3:Tier-1 のルーティングされたセグメントがローカル DHCP サーバを使用し、ゲートウェイと DHCP プロファイルで異なる Edge クラスタが設定されている場合

このシナリオでは、セグメントが Tier-1 ゲートウェイに接続していますが、セグメントでローカル DHCP サーバを使用しています。ネットワーク内に 3 つの Edge クラスタ(Cluster1、Cluster2、Cluster3)があります。各クラスタに 2 つの Edge ノードがあります。
  • Cluster1 の Edge ノード:N1、N2
  • Cluster2 の Edge ノード:N3、N4
  • Cluster3 の Edge ノード:N5、N6
シナリオの説明:
  • セグメントは、Tier-1 ゲートウェイに接続しています。
  • Tier-1 ゲートウェイは Tier-0 ゲートウェイに接続しています(オプション)。
  • ゲートウェイの DHCP プロファイルでは、Cluster1 が使用されています。
  • ゲートウェイでは Cluster2 が使用されています。
  • セグメントは、DHCP ローカル サーバを使用するように構成されています。
  • ローカル DHCP サーバ プロファイルでは Cluster3 が使用されています。
ゲートウェイの DHCP サーバ プロファイルは次のようになります。
  • プロファイル名:ProfileX
  • プロファイル タイプ:DHCP Server
  • Edge クラスタ:Cluster1
  • 優先 Edge:N1、N2(特定の順番で追加)
Tier-1 ゲートウェイの構成は次のとおりです。
  • Edge クラスタ:Cluster2
  • 優先 Edge:N3、N4(特定の順番で追加)
ローカル DHCP サーバのプロファイルは次のとおりです。
  • プロファイル名:ProfileY
  • プロファイル タイプ:DHCP Server
  • Edge クラスタ:Cluster3
  • 優先 Edge:N5、N6(特定の順番で追加)

このシナリオでは、セグメントがローカル DHCP サーバを使用するように構成されているため、接続している Tier-1 ゲートウェイの Edge クラスタ (Cluster2) は、DHCP サービスの作成で無視されます。DHCP サービスは、Cluster3(N5、N6)の Edge ノードで実行されます。DHCP HA も構成されています。N5 がアクティブ Edge ノードになり、N6 がスタンバイ Edge になります。

Cluster3 に優先ノードが設定されていない場合、このクラスタの任意の 2 つのノードが自動的に割り当てられ、DHCP サービスの作成と DHCP HA の構成に使用されます。Edge ノードの 1 つがアクティブ Edge になり、もう 1 つのノードがスタンバイ Edge になります。Cluster3 で設定されている優先 Edge ノードが 1 つの場合、DHCP HA は構成されません。

このシナリオは、セグメントが Tier-0 ゲートウェイに直接接続し、ネットワーク トポロジに Tier-1 ゲートウェイが存在しない場合にも当てはまります。

シナリオ 4:Tier-1 のルーティングされたセグメントがゲートウェイ DHCP を使用し、ゲートウェイと DHCP プロファイルで同じ Edge クラスタが設定されている場合

ネットワークに 4 つの Edge ノード(N1、N2、N3、N4)を含む Edge クラスタ (Cluster1) があります。

シナリオの説明:
  • セグメントは、Tier-1 ゲートウェイに接続しています。
  • Tier-1 ゲートウェイは Tier-0 ゲートウェイに接続しています(オプション)。
  • ゲートウェイとゲートウェイの DHCP プロファイルで同じ Edge クラスタ (Cluster1) が使用されています。
  • セグメントは、ゲートウェイ DHCP サーバを使用するように構成されています。
ゲートウェイの DHCP サーバ プロファイルは次のようになります。
  • プロファイル タイプ:DHCP Server
  • Edge クラスタ:Cluster1
  • 優先 Edge:N1、N2(特定の順番で追加)
Tier-1 ゲートウェイの構成は次のとおりです。
  • Edge クラスタ:Cluster1
  • 優先 Edge:N3、N4(特定の順番で追加)

このシナリオでは、ゲートウェイ DHCP プロファイルとゲートウェイが類似した Edge クラスタ (Cluster1) を使用しているため、ゲートウェイ DHCP プロファイルの優先 Edge ノード(N1 と N2)に DHCP サービスが作成されます。接続している Tier-1 ゲートウェイで指定されている優先 Edge ノード(N3 と N4)は、DHCP サービスの作成で無視されます。

DHCP プロファイルに優先 Edge が設定されていない場合、Cluster1 の任意の 2 つのノードが自動的に割り当てられ、DHCP サービスの作成と DHCP HA の構成に使用されます。Edge ノードの 1 つがアクティブ Edge になり、もう 1 つの Edge がスタンバイ Edge になります。

まとめると、このシナリオの主なポイントは次のようになります。
  • ゲートウェイ DHCP サーバを使用しているときに、接続しているゲートウェイと DHCP プロファイルに類似した Edge クラスタを指定すると、DHCP プロファイルの優先 Edge ノードに DHCP サービスが作成されます。
  • 接続しているゲートウェイで指定された Edge ノードは無視されます。

シナリオ 5:Tier-1 のルーティングされたセグメントが Tier-0 ゲートウェイに接続され、Tier-1 ゲートウェイに Edge クラスタが設定されていない場合

このシナリオでは、セグメントが Tier-1 ゲートウェイに接続し、Tier-1 ゲートウェイが Tier-0 ゲートウェイに接続しています。ネットワーク内に 3 つの Edge クラスタ(Cluster1、Cluster2、Cluster3)があります。各クラスタに 2 つの Edge ノードがあります。
  • Cluster1 の Edge ノード:N1、N2
  • Cluster2 の Edge ノード:N3、N4
  • Cluster3 の Edge ノード:N5、N6
シナリオの説明:
  • セグメントは、Tier-1 ゲートウェイに直接接続しています。
  • Tier-1 ゲートウェイは Tier-0 ゲートウェイに接続しています。
  • DHCP サーバ プロファイルが Tier-1 と Tier-0 ゲートウェイの両方で指定されています。
  • Tier-1 ゲートウェイの DHCP プロファイルでは、Cluster1 が使用されています。
  • Tier-0 ゲートウェイの DHCP プロファイルでは、Cluster2 が使用されています。
  • Tier-1 ゲートウェイで Edge クラスタが選択されていません。
  • Tier-0 ゲートウェイでは Cluster3 が使用されています。
  • セグメントは、ゲートウェイ DHCP サーバを使用するように構成されています。

このシナリオでは、Tier-1 ゲートウェイに Edge クラスタが指定されていないため、NSX-T Data Center は接続している Tier-0 ゲートウェイの Edge クラスタにフォールバックします。DHCP サービスは、Tier-0 ゲートウェイの Edge クラスタ (Cluster3) 内に作成されます。この Edge クラスタの 2 つの Edge ノードが自動的に割り当てられ、DHCP サービスの作成と DHCP HA の構成に使用されます。

まとめると、このシナリオの主なポイントは次のようになります。
  • Tier-1 ゲートウェイに Edge クラスタが指定されていない場合は、NSX-T Data Center は接続している Tier-0 ゲートウェイの Edge クラスタにフォールバックし、DHCP サービスを作成します。
  • Edge クラスタが Tier-0 ゲートウェイで検出されない場合は、Tier-1 ゲートウェイの DHCP プロファイルの Edge クラスタに DHCP サービスが作成されます。