詳細なトラブルシューティングと診断の目的で、NSX のサポート バンドル機能を使用して、Antrea Kubernetes クラスタ ノードからログ ファイルを収集できます。

NSX では、サポート バンドルの収集要求をトリガした NSX Manager ノードにサポート バンドルをアップロードできます。また、要求で指定したリモート ファイル サーバにサポート バンドルをアップロードすることもできます。NSX Manager ノードにアップロードされているサポート バンドルは、ローカル コンピュータにダウンロードできます。

注: このドキュメントでは、 Antrea CNI を含む Kubernetes クラスタを「Antrea Kubernetes クラスタ」という用語で表しています。「Kubernetes クラスタ」という用語は一般的な用語で、 Antrea CNI を含む Tanzu Kubernetes Grid (TKG) クラスタ、 Antrea CNI を含む OpenShift クラスタ、または Antrea CNI を含むユーザー独自の (DIY) Kubernetes クラスタを表します。

ユーザー インターフェイスでは、いくつかのユーザー インターフェイス フィールドまたはラベルで「Antrea コンテナ クラスタ」という用語が使用されています。このドキュメントの 手順 セクションでは、これらのユーザー インターフェイス フィールドまたはラベルには「Antrea コンテナ クラスタ」という用語をそのまま使用しています。すべての自由形式のテキストでは、「Antrea Kubernetes クラスタ」という用語を使用しています。

Antrea Kubernetes クラスタのサポート バンドルには、次のコンポーネントのログ ファイルが含まれています。
  • Antrea Controller
  • Antrea Agent
  • 管理プレーン アダプタ
  • 中央制御プレーン アダプタ
  • Open vSwitch
サポート対象とサポート対象外の機能
  • 1 つの NSX Manager ノードから開始できるサポート バンドル収集要求は 1 つだけです。ただし、1 回の収集要求で複数の Antrea Kubernetes クラスタのサポート バンドルを収集できます。
  • 3 つの管理ノードのある NSX Manager クラスタを使用している場合、各 NSX Manager ノードから 1 つのサポート バンドル収集要求を同時に開始できます。ただし、各収集要求で異なる Antrea Kubernetes クラスタを選択する必要があります。

    たとえば、NSX Manager ノード A でサポート バンドル収集要求を開始したとします。この収集要求で、Antrea Kubernetes クラスタ X のクラスタ ノード 1 と 2 を選択しています。このとき、Antrea Kubernetes クラスタ X 内のクラスタ ノード 3 と 4 に対する収集要求を NSX Manager ノード B で開始すると、いずれかのサポート バンドル収集要求が失敗します。同じ Antrea Kubernetes クラスタに 2 番目の要求をトリガする場合は、最初の収集要求が完了してから行う必要があります。

  • 現在、Antrea Kubernetes クラスタでは、NSX Manager Central CLI からのサポート バンドルの収集はサポートされていません。

前提条件

Antrea Kubernetes クラスタが NSX に登録されている。

手順

  1. ブラウザから、NSX Manager (https://nsx-manager-ip-address) にログインします。
  2. [システム] > [サポート バンドル] の順に移動します。
    [バンドルを要求] ページが開きます。
    重要: ブラウザで NSX Manager アプリケーションを起動すると、登録済みの Antrea Kubernetes クラスタに関する情報が NSX Manager ユーザー インターフェイスに取得されます。アプリケーションのユーザー インターフェイスがすでに開いている場合、 Antrea Kubernetes クラスタの登録情報は自動的に取得されません。この動作は、現在のユーザー インターフェイスのデザインで想定されている動作です。 NSX Manager アプリケーションを開いた後に最初の Antrea Kubernetes クラスタを登録した場合は、 [バンドルを要求] ページに移動した後にブラウザを更新してください。手動で更新すると、この操作の次の手順で、ターゲット ノードとして Antrea Kubernetes クラスタを選択できるようになります。

    ブラウザの手動更新は 1 回だけ必要になります。新しい Antrea Kubernetes クラスタが NSX に登録されるたびに行う必要はありません。

  3. サポート バンドル要求に含めるターゲット ノードを選択します。
    使用可能なノードのタイプは次のとおりです。
    • Antrea コンテナ クラスタ
    • 管理ノード
    • Edge
    • ホスト

    単一のサポート バンドル要求には、NSX 環境内のさまざまなタイプのノードを混在させることができます。たとえば、同じ収集要求で、Antrea Kubernetes クラスタのノード、NSX Manager ノード、NSX Edge ノードを選択できます。ただし、この手順では、Antrea Kubernetes クラスタに対してのみサポート バンドル収集要求を作成するワークフローについて説明します。

  4. [タイプ] ドロップダウン メニューで [Antrea コンテナ クラスタ] を選択します。
  5. [コンテナ クラスタ] リストからクラスタの名前を選択します。
    複数のクラスタがリストに表示されている場合は、クラスタ名の最初の数文字を入力します。リストがフィルタリングされ、入力文字と一致するクラスタ名のみが表示されます。
    選択したクラスタ内のすべてのノードが [使用可能] リストに表示されます。
  6. クラスタから 1 つ以上のノードを選択し、右矢印をクリックして [選択済み] リストに移動します。
    単一の収集要求で複数のクラスタからノードを選択するには、クラスタごとに手順 4 と 5 を繰り返します。
  7. (オプション) [ログ収集期間 (日)] テキスト ボックスで、デフォルト値をそのまま使用するか、サポート バンドルに含めるログの日数を指定します。ログの有効期間を日数で指定します。
  8. (オプション) サポート バンドルをリモート ファイル サーバにアップロードする場合は、ファイル サーバの設定を指定します。
    1. リモート ファイル サーバの IP アドレスまたはホスト名を入力します。
    2. ファイル転送プロトコルとポート番号を入力します。デフォルトのポート番号は 22 です。
    3. リモート ファイル サーバのユーザー名とパスワードを入力します。
    4. サポート バンドル ファイルをアップロードする宛先フォルダのパスを入力します。
    リモート ファイル サーバの設定が指定されていない場合は、サポート バンドルの収集要求をトリガした NSX Manager ノードにサポート バンドルがアップロードされます。
  9. [バンドル収集を開始] をクリックします。
    収集要求のランタイムの詳細が、 [状態] ページに表示されます。収集プロセスには数分かかります。サポート バンドルの作成にかかる時間は、コンテナ クラスタの各ノードから収集するログ ファイルの数によって異なります。
  10. 収集プロセスが完了したら、[ダウンロード] をクリックします。
    サポート バンドル ファイルがローカル コンピュータに保存されます。リモート ファイル サーバの設定を指定した場合、ユーザー インターフェイスに [ダウンロード] ボタンは表示されません。

結果

サポート バンドル収集要求により、nsx_support_archive_datestamp_timestamp.tar という形式の名前で単一のテープ アーカイブ (TAR) ファイルが生成されます。

次の状況では、サポート バンドル収集要求が失敗する可能性があります。
  • サポート バンドル要求の処理中に Kubernetes クラスタの Antrea NSX Adapter が失敗すると、その Kubernetes クラスタのログの収集に失敗します。
  • サポート バンドル要求の処理中に NSX Manager アプライアンスに障害が発生するか、到達不能になると、ログの収集に失敗します。NSX Manager との接続の問題が解決されるまでは、Antrea (antctl) のネイティブ コマンドライン ツールを使用して、Antrea Kubernetes クラスタからログ ファイルを収集できます。
部分的成功のシナリオ
サポート バンドルの収集用として、単一の Antrea Kubernetes クラスタから 10 個のノードを選択したとします。収集プロセスで、 Antrea Kubernetes クラスタ内の 5 個のノードからログ ファイルが正常に収集されましたが、残りの 5 個では収集されませんでした。つまり、収集要求は部分的に成功しました。この状況では、収集要求の状態は Successful になり、成功した 5 つのノードのログがサポート バンドル ファイル (TAR) に含まれます。

次のタスク

  1. TAR ファイルを抽出します。次のファイルが表示されます。
    ファイル名 説明
    manifest.json

    このファイルには、収集要求の結果のサマリと収集要求のプロパティが含まれます。

    たとえば、次の情報が含まれます。
    • 収集に成功したノード。
    • 収集に失敗したノード。
    • 収集要求で使用されたクラスタ ID とノード ID。
    nsx_antrea_cluster-id.tgz

    サポート バンドル内の各 Antrea Kubernetes クラスタに 1 つの .tgz アーカイブ ファイルが作成されます。

  2. nsx_antrea_cluster-id.tgz ファイルを展開します。次のファイルが表示されます。
    ファイル名 説明
    adapters.tar.gz

    このアーカイブ ファイルには、管理プレーン アダプタ中央制御プレーン アダプタ のログ ファイルが含まれます。

    agent_node_name.tar.gz

    このアーカイブ ファイルには、Antrea Agent と Open vSwitch のログ ファイルが含まれます。収集要求により、Antrea Kubernetes クラスタ ノードごとに 1 つのアーカイブ ファイルが生成されます。

    このアーカイブ ファイルを抽出すると、次のファイルが生成されます。
    • agentinfo ファイル
    • エージェント ログ (/logs/agent)
    • Open vSwitch ログ (/logs/ovs)
    • OpenFlow ダンプ
    • IPtables
    • ルート ダンプ
    clusterinfo
    このファイルは、サポート バンドル要求の各 Antrea Kubernetes クラスタに対して生成されます。このファイルには、Kubernetes API サーバから収集される次の Kubernetes リソースに関する情報が含まれています。
    • ポッド
    • ノード
    • 展開
    • ReplicaSets
    • DaemonSets
    controller.tar.gz

    このアーカイブ ファイルには、Antrea Controller のログ ファイルが含まれます。

    このアーカイブ ファイルを抽出すると、次のファイルが生成されます。
    • controllerinfo ファイル
    • コントローラのログ (/logs/controller)