vCenter Server 環境をバックアップまたはリストアするときは、以下の考慮事項と制限に注意してください。

プロトコル

ファイルベースのバックアップとリストアのプロトコルには、以下の考慮事項があります。

  • FTP と HTTP は安全なプロトコルではありません。
  • バックアップ サーバは、vCenter Server Appliance ごとに 10 以上の同時接続数をサポートしている必要があります。
  • アップロードには書き込み権限が、ダウンロードには読み取り権限が必要です。
  • FTPS でサポートされるのは明示モードだけです。
  • HTTP または HTTPS を使用する場合、バックアップ Web サーバで WebDAV を有効にする必要があります。
  • HTTP プロキシ サーバ経由でのデータ転送に使用できるのは FTP、FTPS、HTTP、HTTPS だけです。
  • vCenter Server Appliance のファイルベースのバックアップとリストアには、IPv4 と IPv6 の URL を使用できます。バックアップ サーバと vCenter Server Appliance 間の IP バージョンの混合モードはサポートされません。
  • SCP プロトコルを使用する場合は、Linux バックアップ サーバを使用する必要があります

構成

リストア後、以下の構成は、バックアップが作成されたときの状態に戻ります。

  • 仮想マシンのリソース設定
  • リソース プールの階層と設定
  • クラスタとホスト間のメンバーシップ
  • DRS 構成およびルール

Storage DRS

構成が変わっている場合、リストア後に以下の構成が変化することがあります。

  • データストア クラスタ構成
  • データストア クラスタのメンバーシップ
  • データストア I/O リソース管理 (Storage I/O Control) の設定
  • データストアとデータセンター間のメンバーシップ
  • ホストとデータストア間のメンバーシップ

Distributed Power Management

バックアップ後にホストをスタンバイ モードにすると、バックアップへのリストア時に vCenter Server がホストのスタンバイ モードを強制終了する場合があります。

Distributed Switch

Distributed Switch を使用する場合は、バックアップにリストアする前に、Distributed Switch の設定を別々にエクスポートすることをお勧めします。リストア後に設定をインポートすることができます。この考慮事項を省略した場合は、バックアップ後に、Distributed Switch に加えられた変更を失う可能性があります。手順の詳細については、VMware ナレッジベースの記事http://kb.vmware.com/kb/2034602を参照してください。

コンテンツ ライブラリ

バックアップ後にライブラリまたはアイテムを削除した場合、リストア後にそれらのライブラリやアイテムにアクセスしたりそれらを使用したりすることはできません。このようなライブラリとアイテムは削除のみが可能です。ストレージ バックアップ内に見つからないファイルまたはフォルダがあることを示す警告メッセージが通知されます。

バックアップ後に新しいアイテムやアイテム ファイルを作成しても、リストア操作後の Content Library Service に新しいアイテムやファイルの記録はありません。ストレージ バックアップ上に余分なフォルダまたはファイルが見つかったことを示す警告が通知されます。

バックアップ後に新しいライブラリを作成しても、リストア後の Content Library Service には、新しいライブラリの記録はありません。ライブラリのコンテンツはストレージ バッキングに存在しますが、警告は表示されません。新しいライブラリは手動で消去する必要があります。

仮想マシンのライフサイクルの操作

  • vCenter Server インスタンスでインフライト再配置処理中に作成されたバックアップから vCenter Server をリストアする。

    vCenter Server のリストア後、vCenter Server における仮想マシンの表示と ESXi における仮想マシンの表示とが一致しない場合があります。これは、vCenter Server 上でインフライト処理中にバックアップを実行した場合にも当てはまります。vCenter Server のリストア後に仮想マシンが表示されなくなった場合は、次の各ケースを参照してください。

    1. 表示されなくなった仮想マシンがターゲットの ESXi ホスト上に配置され、ターゲットの ESXi ホストに登録されているが、親がないか vCenter Server インベントリ内にはない場合。仮想マシンを手動で vCenter Server インベントリに追加する必要があります。
    2. 表示されなくなった仮想マシンがターゲット ESXi ホスト上に配置されているが、ターゲット ESXi ホストに登録されておらず、vCenter Server インベントリ内にもない場合。仮想マシンを ESXi ホストに手動で登録し、vCenter Server インベントリに仮想マシンを追加し直す必要があります。
    3. 表示されなくなった仮想マシンがターゲット ESXi ホスト上に配置されているが、ターゲット ESXi ホストに登録されていない場合。vCenter Server インスタンスでは、見つからない仮想マシンが実体なしとしてマークされます。仮想マシンを vCenter Server インベントリから削除して再度追加する必要があります。
  • 古いリンク クローン仮想マシン レイアウトを持つバックアップから vCenter Server リストアする。

    バックアップ後にリンク クローン仮想マシンを作成し、古いバックアップから vCenter Server をリストアした場合、リストア後、その新しいリンク クローン仮想マシンを vCenter Server が検出するまで、新しいリンク クローン仮想マシンは vCenter Server に検出されません。新しいリンク クローン仮想マシンが検出される前に既存の仮想マシンをすべて削除した場合、既存の仮想マシンが削除されたことでディスクの欠損が生じ、新しいリンク クローンが破損します。これを避けるためには、すべてのリンク クローン仮想マシンが vCenter Server よって検出されるのを待って、仮想マシンを削除してください。

  • 仮想マシンの登録中に取得されたバックアップからの vCenter Server のリストア。

    バックアップ中に仮想マシンを登録し、古いバックアップから vCenter Server をリストアした場合、リストア後、その仮想マシンは vCenter Server インスタンスで実体なしとしてマークされます。仮想マシンを手動で vCenter Server インベントリに追加する必要があります。

vSphere High Availability

バックアップから vCenter Server をリストアした結果、vSphere HA クラスタ状態(HostList、ClusterConfiguration、仮想マシンの保護状態)が古いバージョンにロールバックされる一方、そのクラスタ内のホストでは、クラスタ状態が最新バージョンになるという食い違いが生じることがあります。vSphere HA クラスタの状態は、リストアおよびバックアップ操作の前後で変化しないようにする必要があります。そうしないと、以下の問題が生じる可能性があります。

  • バックアップ後や vCenter Server のリストア前に vSphere HA クラスタにホストを追加した場合または vSphere HA クラスタからホストを削除した場合、HA クラスタには属しているものの vCenter Server の管理下にないホストに仮想マシンがフェイルオーバーされる可能性があります。
  • vSphere HA クラスタに属しているホスト上の vSphere HA エージェントで、新しい仮想マシンの保護状態が更新されません。その結果、仮想マシンが保護されなかったり、保護が解除されたりします。
  • vSphere HA クラスタに属しているホスト上の vSphere HA エージェントで、新しいクラスタ構成状態が更新されません。

vCenter High Availability

vCenter Server をリストアするには、vCenter HA の再構成が必要です。

ストレージ ポリシー ベースの管理

バックアップから vCenter Server をリストアすると、ストレージ ポリシーやストレージ プロバイダ、仮想マシンに関連して次の不整合が生じることがあります。

  • バックアップ後に登録されたストレージ プロバイダが失われます。
  • バックアップ後に登録解除されたストレージ プロバイダが再度表示され、場合によっては異なるプロバイダ ステータスが表示されます。
  • バックアップ後にストレージ ポリシーに対して行われた作成、削除、更新などの変更が失われます。
  • バックアップ後にストレージ ポリシー コンポーネントに対して行われた作成、削除、更新などの変更が失われます。
  • バックアップ後にデータストアに対して行われたデフォルトのポリシー構成の変更が失われます。
  • 仮想マシンとそのディスクのストレージ ポリシーについての関連付け、およびそれらのポリシーのコンプライアンスに変更が発生する場合があります。

vSAN (Virtual Storage Area Network)

バックアップから vCenter Server をリストアすると、vSAN に不整合が生じる場合があります。vSAN の健全性をチェックする方法については、『VMware vSAN の管理』を参照してください。

パッチ適用

バックアップから vCenter Server をリストアすると、セキュリティ パッチが失われることがあります。リストアの完了後にセキュリティ パッチを再度適用する必要があります。vCenter Server Appliance のパッチ適用については、『vSphere のアップグレード』を参照してください。