ESXiで MSCS を設定するとき、このチェックリストを参考に、要件に従って環境を構成してください。また、テクニカル サポートが必要な場合に、これらのチェックリストを使用して、設定が要件を満たしていることを確認することもできます。

クラスタリングされたディスクの要件

クラスタリングされたディスクは、シングルホスト クラスタであるか、マルチホスト クラスタであるかによって要件が異なります。

表 1. クラスタリングされたディスクの要件
コンポーネント シングルホスト クラスタリング マルチホスト クラスタリング
クラスタリングされた仮想ディスク (.vmdk SCSI バスの共有モードを仮想に設定。 サポート対象外。
クラスタリングされたディスク、仮想互換モード (非パス スルー RDM)

デバイス タイプを仮想互換モードに設定。

SCSI バスの共有モードを仮想モードに設定。

クラスタリングされたディスクごとに 1 つの共有 RDM マッピング ファイルが必要。

筐体間クラスタではデバイス タイプを仮想互換モードに設定するが、スタンバイ ホスト クラスタ、Windows Server 2008 の筐体間クラスタではその必要はない。

SCSI バスの共有モードを物理に設定。

クラスタリングされたディスクごとに 1 つの共有 RDM マッピング ファイルが必要。

MSCS 仮想マシンで使用される RDM LUN でデバイスを永久予約としてマークする方法については、VMware ナレッジベースの記事 http://kb.vmware.com/kb/1016106 を参照してください。

この構成は Windows Server 2008 以降ではサポートされていません。この構成は Windows Server 2003 でのみ有効です。

クラスタリングされたディスク、物理互換モード (パススルー RDM) サポート対象外。

ハード ディスクの作成時にデバイス タイプを物理互換モードに設定。

SCSI バスの共有モードを物理に設定 (デフォルト)。

クラスタリングされたディスクごとに 1 つの共有 RDM マッピング ファイルが必要。

クラスタリングされたディスク、物理互換モード(共有 VVol ストレージ) サポートされません。 SCSI バスの共有モードを物理に設定。
すべてのタイプ

すべてのクラスタリングされたノードで、クラスタリングされた同じディスクに同じターゲット ID (仮想 SCSI アダプタ上) を使用。

クラスタリングされたディスクに個別の仮想アダプタを使用。

その他の要件と推奨事項

次の表に、オプションや設定について要件がある環境内のコンポーネントを示します。

表 2. クラスタリングのその他の要件と推奨事項
コンポーネント 要件
ディスク

起動ディスクを仮想ディスクに置いた場合は、ディスクのプロビジョニングを行う間、[シック プロビジョニング]を選択します。

Thick Provisionオプションを指定しないで作成するディスクは RDM ファイル (物理互換モードと仮想互換モードの両方) のみ。

Windows

使用可能

  • Windows Server 2003 SP1 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2003 SP2 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows 2003 R2 (32ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2003 R2 SP1 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2003 R2 SP2 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2008 SP1 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2008 SP2 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2008 R2 (64 ビット)
  • Windows Server 2008 R2 SP1 (32 ビットまたは 64 ビット)
  • Windows Server 2012
  • Windows Server 2012 R2

Windows Server 2003 SP1 と SP2 の場合は、2 クラスタ ノードのみを使用してください。

Windows Server 2008 SP2 以降の場合は、最大 5 クラスタ ノードまで使用できます。

ディスク I/O のタイムアウトは 60 秒以上 (HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\Disk\TimeOutValue)。

注: クラスタを再作成すると、この値がデフォルト値にリセットされる場合があるので、そのときはもう一度変更する必要があります。

障害が発生した場合、クラスタ サービスを自動的に再起動 (1 回目、2 回目、それ以降)。

ESXiの構成

メモリをオーバーコミットしない。[メモリ予約] (最小メモリ) オプションを仮想マシンに割り当てられたメモリ量と同じ値に設定。

メモリをオーバーコミットする必要がある場合は、スワップ ファイルを SAN 上ではなくローカルに配置。

ESXi 5.0は、MSCS クラスタのデバイスで RAW デバイス マッピング (RDM) LUN が使用されているかどうかを判別するために別の技術を使用します。そのために、MSCS クラスタに参加している各デバイスを「永久予約」としてマークする構成フラグが導入されています。RDM LUN を使用するパッシブ MSCS ノードをホストする ESXi ホストの場合は、次の esxcli コマンドを使用してデバイスを永久予約としてマークします: esxcli storage core device setconfig -d <naa.id> --perennially-reserved=true。詳細は、KB 1016106 を参照してください。

マルチパス vSphere 内の VMware 以外のマルチパス ソフトウェアに関する情報とサポートについては、マルチパス ソフトウェア ベンダーに確認。

テクニカル サポートに必要な情報

次の表に、テクニカル サポートが必要な場合に収集するファイルと設定を示します。テクニカル サポートでは、これらのファイルや設定を使用して、クラスタリングの問題を分析します。

注: テクニカル サポートに問い合わせる前に、構成が 表 1表 2 のチェックリストに従っていることを確認してください。
表 3. テクニカル サポートに必要な情報
ファイルまたは情報 説明または場所
vm-support tarball vmkernel のログ、仮想マシンの構成ファイルおよびログなど。
問題があるすべての仮想マシンのアプリケーションとシステムのイベント ログ
問題があるすべての仮想マシンのクラスタ ログ %ClusterLog%。通常は %SystemRoot%\cluster\cluster.log に設定。
ディスク I/O のタイムアウト HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\Disk\TimeOutValue
問題がある仮想マシンの vSphere Client 表示名と Windows NETBIOS 名
問題の発生日時
ESXiシステムの SAN 構成 LUN、パス、アダプタに関する詳細。
仮想マシンのメモリ ダンプ (任意) ゲスト仮想マシンで障害が発生した場合に必要 (ブルー スクリーンにエラー メッセージが表示される)。