Enhanced vMotion Compatibility (EVC) は、クラスタ内のホスト間の CPU の互換性を確保して、仮想マシンを EVC クラスタ内でシームレスに移行するためのクラスタ機能です。vSphere 6.7 以降、EVC モードの有効/無効の切り替えや変更を、仮想マシン レベルでも実行できます。仮想マシンごとの EVC 機能は、仮想マシンの移行がクラスタを超えて実行される場合や、異なるプロセッサを持つ vCenter Server システムやデータセンターにまたがる場合に有用です。

仮想マシンの EVC モードは、クラスタ レベルで定義された EVC モードには依存しません。クラスタベースの EVC モードは、ホストが仮想マシンに公開している CPU 機能を制限します。仮想マシンごとの EVC モードは、仮想マシンがパワーオンと移行に必要とするホストの CPU 機能のセットを決定します。

デフォルトでは、新規作成した仮想マシンをパワーオンすると、仮想マシンは親 EVC クラスタまたはホストの機能セットを継承します。ただし、EVC モードは仮想マシンごとに変更できます。仮想マシンの EVC モードは上げることも下げることもできます。EVC モードを下げると、仮想マシンの CPU の互換性が向上します。API 呼び出しを使用して EVC モードをさらにカスタマイズすることもできます。

クラスタレベルの EVC と仮想マシンごとの EVC

EVC 機能には、ホスト クラスタ レベルでの動作と、仮想マシン レベルでの動作にいくつかの違いがあります。

  • 仮想マシンごとの EVC モードは、クラスタベースの EVC とは異なり、仮想マシンがパワーオフの場合にのみ変更が可能です。
  • クラスタベースの EVC の場合、EVC クラスタの外部に仮想マシンを移行すると、仮想マシンの EVC モードは電源の入れ直しによってリセットされます。仮想マシンごとの EVC の場合、EVC モードは仮想マシンの属性になります。電源を入れ直しても、異なるプロセッサのある仮想マシンの互換性には影響しません。
  • 仮想マシン レベルで EVC を設定すると、仮想マシンごとの EVC モードはクラスタ ベースの EVC をオーバーライドします。仮想マシンごとの EVC モードが設定されていない場合、仮想マシンをパワーオンすると、仮想マシンは親 EVC クラスタまたはホストの EVC モードを継承します。
  • 仮想マシンが EVC クラスタに配置されていて、仮想マシンごとの EVC が有効になっている場合でも、仮想マシンの EVC モードが、仮想マシンが稼動している EVC クラスタの EVC モードに優先することはありません。仮想マシンに設定したベースライン機能セットには、EVC クラスタ内のホストに適用されたベースライン機能セットよりも多くの CPU 機能を含めることはできません。たとえば、Intel Merom 世代の EVC モードを使用してクラスタを設定する場合は、Intel の他のベースライン機能セットを使用して仮想マシンを設定しないでください。他のすべてのセットには、Intel Merom 世代の機能セットよりも多くの CPU 機能が含まれるため、この構成では、結果的に仮想マシンがパワーオンに失敗します。

EVC クラスタの詳細については、『vCenter Server およびホスト管理』を参照してください。

互換性と要件

仮想マシンごとの EVC 機能には、次の要件があります。
互換性 要件
ホストの互換性

ESXi6.7 以降

vCenter Server の互換性

vCenter Server6.7 以降

仮想マシンの互換性 仮想ハードウェア バージョン 14 以降。

特定のプロセッサまたはサーバ モデルについて EVC サポートを確認するには、VMware 互換性ガイド (http://www.vmware.com/resources/compatibility/search.php) を参照してください。