インストールおよびアップグレードの事前チェック スクリプトでは、インストール、アップグレード、または移行の失敗につながる可能性のあるホスト マシン上の問題を特定するためのテストが実行されます。

対話型のインストール、アップグレード、および移行では、エラーまたは警告が GUI インストーラの最後の画面に表示され、インストールまたはアップグレードを続けるか取り消すかを尋ねるメッセージが表示されます。スクリプトを使用したインストール、アップグレード、または移行の場合は、エラーや警告がインストール ログ ファイルに書き込まれます。

vSphere Update Managerには、これらのエラーや警告用のカスタム メッセージが用意されています。Update Managerによるホストのアップグレード スキャン中に事前チェック スクリプトによって返された元のエラーおよび警告を確認するには、Update Manager のログ ファイル (vmware-vum-server-log4cpp.log) を参照してください。

表 1. インストールおよびアップグレードの事前チェック スクリプトで返されるエラーコードおよび警告コード
エラーまたは警告 説明
64BIT_LONGMODESTATUS ホスト プロセッサは 64 ビットである必要があります。
COS_NETWORKING 警告。有効なサービス コンソールの仮想 NIC で IPv4 アドレスが見つかりましたが、VMkernel の同じサブネット内に対応するアドレスがありません。警告は、そのような問題が検出されるたびに表示されます。
CPU_CORES ホストには少なくとも 2 つのコアが必要です。
DISTRIBUTED_VIRTUAL_SWITCH ホストで Cisco Virtual Ethernet Module (VEM) が検出された場合は、このテストにより、アップグレードに VEM ソフトウェアも含まれているかどうかチェックされます。またこのテストにより、そのアップグレードで、ホスト上の既存のバージョンと同じバージョンの Cisco Virtual Supervisor Module (VSM) がサポートされるかどうかも判別されます。ソフトウェアが欠落しているか、別のバージョンの VSM と互換性がある場合は、テストにより警告が返されます。結果には、アップグレード ISO で必要な VEM ソフトウェアのバージョンと、検出されたバージョン(検出された場合)が示されます。適切なバージョンの VEM ソフトウェアを含むカスタム インストール ISO を作成するには、ESXi Image Builder CLIを使用できます。
HARDWARE_VIRTUALIZATION 警告。ホストのプロセッサにハードウェア仮想化機能がないか、ハードウェア仮想化がホストの BIOS でオンになっていないと、ホストのパフォーマンスに影響します。ハードウェア仮想化は、ホスト マシンの起動オプション パネルで有効にすることができます。ハードウェア ベンダーのマニュアルを参照してください。
MD5_ROOT_PASSWORD このテストでは、root パスワードが MD5 形式でエンコードされているかどうかがチェックされます。パスワードが MD5 形式でエンコードされていない場合、有効と見なされるのは 8 文字までです。その場合、アップグレード後に最初の 8 文字以外は認証されず、セキュリティの問題が発生する可能性があります。この問題を回避するには、ナレッジベースの記事 KB1024500 を参照してください。
MEMORY_SIZE ホストをアップグレードするには、指定された量のメモリが必要です。
PACKAGE_COMPLIANCE vSphere Lifecycle ManagerへのvSphere Update Manager アップグレードのみ。このテストでは、ホストが正常にアップグレードされたことを確認するため、ホスト上の既存のソフトウェアが、アップグレード ISO に含まれるソフトウェアと同じかどうかがチェックされます。パッケージのいずれかが不足している場合、またはパッケージがアップグレード ISO 上のものよりも古いバージョンである場合は、テストでエラーが返されます。テスト結果には、ホスト で検出されたソフトウェアと、アップグレード ISO で検出されたソフトウェアが示されます。
PARTITION_LAYOUT ソフトウェアのアップグレードまたは移行は、アップグレードされているディスク上の VMFS パーティションが 1 つ以下の場合のみ可能となります。VMFS パーティションはセクタ 1843200 以降から始める必要があります。
POWERPATH このテストでは、CIM モジュールとカーネル モジュールで構成される EMC PowerPath ソフトウェアがインストールされているかどうかがチェックされます。ホストでこれらのコンポーネントのどちらかが検出された場合、テストでは、CIM モジュールまたは VMkernel モジュールなどの対応するコンポーネントがアップグレードにも含まれているかどうかがチェックされます。存在しない場合には、テストによって警告が返され、どの PowerPath コンポーネントがアップグレード ISO 上に必要であり、どのコンポーネントが見つかったか(見つかった場合)が示されます。
PRECHECK_INITIALIZE このテストでは、事前チェック スクリプトを実行できるかどうかがチェックされます。
SANE_ESX_CONF /etc/vmware/esx.conf ファイルがホスト上に存在する必要があります。
SPACE_AVAIL_ISO vSphere Update Managerのみです。ホスト ディスクには、インストーラ CD または DVD の内容を格納するのに十分な空き容量が必要です。
SPACE_AVAIL_CONFIG vSphere Lifecycle ManagerへのvSphere Update Manager アップグレードのみ。ホスト ディスクには、再起動の間、レガシーの構成を格納するのに十分な空き容量が必要です。
SUPPORTED_ESX_VERSION ESXi7.0 には、バージョン 6.0 ESXi のホストからのみアップグレードまたは移行できます。
TBOOT_REQUIRED このメッセージは、vSphere Lifecycle ManagerへのvSphere Update Manager アップグレードのみに適用されます。ホスト システムがトラステッド ブート モード (tboot) で実行されていても、ESXiアップグレード ISO に tboot VIB が含まれていない場合は、このエラーでアップグレードに失敗します。このテストは、ホストのセキュリティ レベルの低下を招くアップグレードを阻止します。
UNSUPPORTED_DEVICES 警告。このテストでは、サポートされていないデバイスがチェックされます。一部の PCI デバイスは、ESXi7.0 ではサポートされません。
UPDATE_PENDING

このテストでは、再起動を必要とする VIB がホストにインストールされているかどうかがチェックされます。該当する VIB が 1 つ以上インストールされているとテストは失敗しますが、ホストの再起動はまだ実行されません。これらの条件では、ホスト上に現在インストールされているパッケージを事前チェック スクリプトで確実に判断することができません。このテストに失敗した場合、アップグレードの安全性を判断する他の事前チェック テストを信頼しないほうが安全である可能性があります。

このエラーが表示された場合は、ホストを再起動してアップグレードを再試行してください。