アップグレード ベースラインを基準として ESXiホストのコンプライアンスをチェックすると、vSphere Lifecycle Manager は事前チェック スクリプトを実行し、vSphere Lifecycle Manager コンプライアンス ビューの下部ペインに情報メッセージを表示します。これらのメッセージでは、ESXi7.0へのアップグレードを妨げる可能性がある、ハードウェアやホスト上のサードパーティ製ソフトウェアの潜在的な問題と、構成上の問題が通知されます。

vSphere Lifecycle Managerで提供されるメッセージは、ホスト アップグレードの事前チェック スクリプトを実行した結果のエラー コードまたは警告コードに対応しています。

ESXiインストーラを使用して実行する対話型のインストールとアップグレードの場合は、事前チェック スクリプトで判明したエラーまたは警告が、インストーラの最後のパネルに表示されます。このパネルで、インストールまたはアップグレードの操作を取り消すかどうかを指定する必要があります。スクリプトを使用したインストールとアップグレードの場合は、エラーや警告がインストール ログに書き込まれます。

vSphere Lifecycle Managerでは、vSphere Lifecycle Manager コンプライアンス ビューの下部ペインにスキャン結果情報が表示されます。vSphere Lifecycle Managerによるホストのアップグレード スキャン操作中に事前チェック スクリプトによって返された元のエラーおよび警告を確認するには、vSphere Lifecycle Manager のログ ファイルを参照してください。

表 1. スキャン結果メッセージおよび対応するエラー コードと警告コード
vSphere Lifecycle Managerのスキャン結果メッセージ 説明
ホスト CPU はサポートされていません。新しい ESXi バージョンには、LAHF/SAHF 命令を long モードでサポートしている 64 ビットの CPU が必要です。

このメッセージは、ホストのプロセッサが 32 ビットで、要求された機能をサポートしていない場合に表示されます。

対応するエラー コードは 64BIT_LONGMODESTATUS です。

ホストではトラステッド ブートが有効ですが、アップグレードにはソフトウェア パッケージ esx-tboot が含まれていません。ホストをアップグレードすると、トラステッド ブート機能が削除されます。 このメッセージは、ホストのアップグレード スキャンで esx-tboot VIB がアップグレード ISO に見つからなかったことを示します。

対応するエラー コードは TBOOT_REQUIRED です。

VMkernel とサービス コンソールのネットワーク インターフェイスは同じサブネット subnet_name を共有しています。アップグレード後、この構成はサポートされなくなります。1 つのインターフェイスのみがサブネット subnet_name に接続できます。

警告。有効なサービス コンソールの仮想 NIC に IPv4 アドレスが見つかりましたが、対応するアドレスが vmkernel の同じサブネット内にありません。警告は、そのような問題が検出されるたびに表示されます。

対応するエラー コードは COS_NETWORKING です。

新しい ESXi のバージョンでは、最低限 core_count プロセッサ コアが必要です。 ホストには少なくとも 2 つのコアが必要です。

対応するエラー コードは CPU_CORES です。

プロセッサがハードウェアの仮想化をサポートしていないか、BIOS で無効になっています。仮想マシンのパフォーマンスが低下するおそれがあります。

ホストのプロセッサがハードウェアの仮想化をサポートしていないか、ハードウェアの仮想化がホストの BIOS で無効になっていると、ホストのパフォーマンスが低下することがあります。ホスト マシンの起動オプションで、ハードウェアの仮想化を有効にします。ハードウェア ベンダーのマニュアルを参照してください。

対応するエラー コードは HARDWARE_VIRTUALIZATION です。

メモリ不足です。アップグレードには size_in_MB MB 以上が必要です。

ホストをアップグレードするには、指定された量のメモリが必要です。

対応するエラー コードは MEMORY_SIZE です。

file_name に関するホスト アップグレードの妥当性検査が失敗しました。 このテストでは、事前チェック スクリプト自体を実行できるかどうかをチェックします。

対応するエラー コードは PRECHECK_INITIALIZE です。

ホストのパーティション レイアウトがアップグレードに適していません。

アップグレードは、アップグレード対象のディスクに最大で 1 つの VMFS パーティションがあり、その VMFS パーティションがセクタ 1843200 の後から開始する場合にのみ可能です。

対応するエラー コードは PARTITION_LAYOUT です。

サポートされていない構成です。

ファイル /etc/vmware/esx.conf がホスト上に存在する必要があります。

このメッセージは、/etc/vmware/esx.conf ファイルが見つからない、またはファイルのデータが取得できないか正しく読み取れないことを示します。

対応するエラー コードは SANE_ESX_CONF です。

ホストのローカル VMFS データストアに、現在のホスト構成をバックアップするための十分な空き容量がありません。size_in_MB MB 以上が必要です。

ホスト ディスクには、再起動の間 ESXi5.x の構成を格納するのに十分な空き容量が必要です。

対応するエラー コードは SPACE_AVAIL_CONFIG です。

アップグレードは、現在のバージョンのホストに対してサポートされていません。

ESXi7.0へのアップグレードは、ESXi 6.5 および ESXi 6.7 のホストからの場合に限り可能です。

対応するエラー コードは SUPPORTED_ESX_VERSION です。

サポートされていないデバイス device_name がホストで見つかりました。

スクリプトはサポートされていないデバイスをチェックします。一部の PCI デバイスは、ESXi7.0ではサポートされません。

対応するエラー コードは UNSUPPORTED_DEVICES です。

ホストのソフトウェア構成には再起動が必要です。ホストを再起動してから、アップグレードをやり直してください。

起動バンクの容量を十分に確保してアップグレードを行うには、ホストを再起動してから修正を行う必要があります。

対応するエラー コードは UPDATE_PENDING です。

Cisco Nexus 1000V 分散仮想スイッチを使用する環境の場合は、vSphere Lifecycle Managerで、別のメッセージが別の状況で表示されます。詳細については、Cisco Nexus 1000V を使用する場合の、ホストのアップグレード コンプライアンス メッセージを参照してください。

Cisco の Virtual Ethernet Module (VEM) ソフトウェアがホスト上に見つかった場合は、事前チェック スクリプトで、このソフトウェアもアップグレード対象に含まれるかどうかがチェックされます。また、その VEM がホスト上に存在するバージョンと同じバージョンの Virtual Supervisor Module (VSM) をサポートしているかどうかもチェックされます。このソフトウェアがない場合、またはホスト上に存在するバージョンの VSM と互換性がない場合、スクリプトでは警告が返されます。また、スキャン結果には、アップグレード ISO で検出されるべき VEM ソフトウェアのバージョンと、ISO で実際に見つかったバージョン(見つかった場合)が示されます。

対応するエラー コードは DISTRIBUTED_VIRTUAL_SWITCH です。

ホストが EMC PowerPath マルチパス モジュール file_name を使用してストレージにアクセスしています。アップグレードすると、ホストはこのようなストレージにアクセスできなくなります。

スクリプトは、CIM モジュールとカーネル モジュールで構成される EMC PowerPath ソフトウェアがインストールされているかどうかをチェックします。これらのコンポーネントのいずれかがホスト上に見つかった場合、スクリプトは、対応するコンポーネント(CIM、VMkernel モジュール)がアップグレードにも存在するかどうかを確認します。存在しない場合、スクリプトは警告を返して、どの PowerPath コンポーネントがアップグレード ISO 上に必要であり、どのコンポーネントが実際に見つかったか(見つかった場合)を示します。

対応するエラー コードは POWERPATH です。