vSAN はネットワークに依存します。パフォーマンスや安定性の問題を回避するには、適切な vSAN ネットワーク設定が何かを理解し、そのような構成にすることが重要です。

信頼性の高い堅牢な vSAN ネットワークには、次のような特性があります。

[ユニキャスト]

vSAN 6.6 以降のリリースでは、ユニキャスト通信がサポートされます。ユニキャスト トラフィックとは、ネットワーク内のある地点から別の地点に 1 対 1 で IP パケットを送信することを意味します。ユニキャストは、1 秒ごとにプライマリ ホストから送信されたハートビートを他のすべてのホストに転送します。これにより、ホストがアクティブで、vSAN クラスタに参加していることが確認できます。vSAN 用にシンプルなユニキャスト ネットワークを設計できます。ユニキャスト通信の詳細については、vSAN ネットワークでのユニキャストの使用を参照してください。

[マルチキャスト]

vSAN 6.6 より前のリリースでは、検出プロトコルとして IP マルチキャスト通信を使用し、 vSAN クラスタに参加を試みているノードを識別します。
注: 可能であれば、常に最新バージョンの vSAN を使用してください。
IP マルチキャストは、ホスト、クライアント、ネットワーク デバイスがマルチキャスト ベースの通信に参加するために使用する通信プロトコルに依存します。マルチキャスト通信の詳細については、 vSAN ネットワークでのマルチキャストの使用を参照してください。

[レイヤー 2 とレイヤー 3 ネットワーク]

vSAN クラスタのすべてのホストは、レイヤー 2 またはレイヤー 3 ネットワークを介して接続されている必要があります。vSAN 6.0 より前の vSAN リリースでは、レイヤー 2 ネットワークのみがサポートされますが、それ以降のリリースではレイヤー 2 とレイヤー 3 の両方のプロトコルがサポートされます。データサイトと監視サイト間の通信を可能にするには、レイヤー 2 またはレイヤー 3 ネットワークを使用します。レイヤー 2 とレイヤー 3 ネットワーク トポロジーの詳細については、標準の展開を参照してください。

[VMkernel ネットワーク]

vSAN クラスタの各 ESXi ホストには、vSAN 通信用のネットワーク アダプタが必要です。クラスタ内のノード間の通信はすべて vSAN VMkernel ポート経由で行われます。VMkernel ポートは、各 vSAN ホストおよびホストされた仮想マシンにレイヤー 2 およびレイヤー 3 サービスを提供します。

[vSAN ネットワーク トラフィック]

vSAN ネットワークでは、ストレージ トラフィックやユニキャスト トラフィックなど、さまざまなトラフィック タイプを扱うことができます。仮想マシンのコンピューティングとストレージは、同じホストに配置することも、クラスタ内の異なるホストに配置することもできます。障害を許容するように構成されていない仮想マシンが 1 台のホスト上で実行され、別のホストに存在する仮想マシン オブジェクトやコンポーネントにアクセスしている可能性があります。これは、仮想マシンからのすべての I/O がネットワークを通過することを意味します。ストレージ トラフィックは、vSAN クラスタ内のほとんどのトラフィックを構成します。

すべての ESXi ホスト間のクラスタ関連の通信では、vSAN クラスタにトラフィックが作成されます。このユニキャスト トラフィックも vSAN ネットワーク トラフィックに影響します。

[仮想スイッチ]

vSAN は、次のタイプの仮想スイッチをサポートします。
  • 標準仮想スイッチは、仮想マシンおよび VMkernel ポートから外部ネットワークへの接続を確保します。このスイッチは、それぞれの ESXi ホストに対してローカルに存在します。
  • vSphere Distributed Switch は、複数の ESXi ホストに存在する仮想スイッチを一元的に管理できます。Distributed Switch は、vSphere または仮想ネットワークにサービス品質 (QoS) レベルの設定に役立つ Network I/O Control (NIOC) などのネットワーク機能を提供します。vCenter Server のバージョンに関係なく、vSAN には、vSphere Distributed Switch が含まれます。

[バンド幅]

vSAN トラフィックは、vSphere vMotion トラフィック、vSphere HA トラフィック、および仮想マシン トラフィックなどの他のシステムのトラフィック タイプと、10 GbE、25 GbE、40 GbE、100 GbE 物理ネットワーク アダプタを共有できます。また、vSAN、vSphere 管理、vSphere vMotion トラフィックなどが同じ物理ネットワーク上にある場合、より多くのバンド幅を共有ネットワーク構成に確保されます。vSAN に必要なバンド幅を確保するには、Distributed Switch で vSphere Network I/O Control を使用します。

vSphere Network I/O Control では、 vSAN 送信トラフィックの予約とシェアを構成できます。
  • vSAN の物理アダプタで使用できる最低のバンド幅が Network I/O Control で確保されるように予約を設定します。
  • vSAN に割り当てられた物理アダプタが飽和状態になったときに特定のバンド幅を vSAN で使用できるように、シェア値を 100 に設定します。たとえば、チームの別の物理アダプタに障害が発生し、ポート グループのすべてのトラフィックがチーム内の別のアダプタに転送されると、物理アダプタが飽和状態になる可能性があります。

Network I/O Control を使用して vSAN トラフィックのバンド幅の割り当てを設定する詳細については、『vSphere ネットワーク』を参照してください。