リモート データストアの共有を使用すると、vSAN クラスタは他のクラスタとデータストアを共有できます。

リモート データストアのストレージ容量を使用するように、ローカル クラスタで実行される仮想マシンをプロビジョニングできます。新しい仮想マシンをプロビジョニングするときに、クライアント クラスタにマウントされたリモート データストアを選択できます。データストアに構成された互換性のあるストレージ ポリシーを割り当てます。

リモート データストアのマウントはクラスタ全体の構成です。リモート データストアを vSAN クラスタにマウントすると、クラスタ内のすべてのホストで使用できるようになります。

vSAN クラスタを作成する場合、または vSAN 用に vSphere クラスタを構成する場合は、HCI 構成タイプを選択できます。
  • [vSAN HCI] はコンピューティング リソースとストレージ リソースを提供します。データセンターと vCenter Server 間でデータストアを共有し、他の vSAN HCI クラスタからデータストアをマウントできます。
  • [vSAN コンピューティング クラスタ]は、コンピューティング リソースのみを提供する vSphere クラスタです。vSAN Max クラスタによって提供されるデータストアをマウントできます。
  • [vSAN Max](vSAN ESA のみ)はストレージ リソースを提供しますが、コンピューティング リソースは提供しません。データストアは、データセンターおよび vCenter Server 間のリモート vSphere クラスタまたは vSAN HCI クラスタによってマウントできます。

vSAN データストア共有には、次の設計上の考慮事項があります。

  • 8.0 Update 1 以降を実行している vSAN Original Storage Architecture クラスタは、同じネットワーク上にある限り、同じデータセンターのクラスタ間、またはリモート vCenter Server によって管理されているクラスタ間でデータストアを共有できます。8.0 Update 2 以降を実行している vSAN Express Storage Architecture クラスタには、この機能があります。
  • vSAN HCI または vSAN Max クラスタは、ローカル データストアを最大 10 個のクライアント クラスタに提供できます。
  • クライアント クラスタは、1 つまたは複数の vSAN サーバ クラスタから最大 5 つのリモート データストアをマウントできます。
  • 1 つのデータストアを最大 128 台の vSAN ホストにマウントできます。ローカルの vSAN サーバ クラスタのホストにもマウントできます。
  • 仮想マシンを構成するすべてのオブジェクトは、同じデータストアに配置されている必要があります。
  • vSphere HA で vSAN データストア共有を機能させるには、APD を使用して、データストアの障害時対応に「仮想マシンをパワーオフして再起動」を構成します。
  • クラスタの一部でないクライアント ホストはサポートされません。単一ホストのコンピューティング専用クラスタを構成できますが、2 台目のホストをクラスタに追加しない限り、vSphere HA は機能しません。
  • 転送中データの暗号化はサポートされていません。
次の構成は、 vSAN データストア共有でサポートされません。
  • iSCSI ボリューム、または CNS パーシステント ボリュームのリモート プロビジョニング。ローカルの vSAN データストアにはプロビジョニングできますが、リモート vSAN データストアにはプロビジョニングできません。
  • エアギャップ ネットワークまたは複数の vSAN VMkernel ポートを使用するクラスタ

vSAN Max で分離されたストレージ

vSAN Max は、vSphere クラスタおよび vSAN クラスタ向けの、完全に分散されたスケーラブルな共有ストレージ ソリューションです。ストレージ リソースはコンピューティング リソースから分離されるため、ストレージ リソースとコンピューティング リソースを個別に拡張できます。

vSAN Max は、キャパシティとパフォーマンスを向上するために、vSAN Express Storage Architecture および高密度の vSAN Ready ノードを使用します。

注: vSAN Max は、既存の vSAN エディションとは別にライセンス供与された、vSAN 製品ファミリの新しい製品です。

vSAN Max クラスタは、ストレージのみを提供するサーバ クラスタとして機能します。vSAN コンピューティング クラスタまたは vSAN HCI クライアント クラスタとして構成された vSphere クラスタにデータストアをマウントできます。

vSAN Max の図
vSAN Max クラスタには、次の設計上の考慮事項があります。
  • vSAN Max で認定された vSAN Ready Node で実行されている vSAN Express Storage Architecture でのみサポートされます。
  • vSAN Original Storage Architecture との互換性はありません。
  • クライアントとしてではなく、ストレージ サーバとしてのみ機能します。vSAN Max ホストでワークロード仮想マシンを実行しないでください。
  • 6 台以上のホストと、ホストあたり 150 TiB が必要です。パフォーマンスを最適化するには、すべてのホストで統一されたストレージ デバイス構成を使用します。
  • vSAN Max クラスタ内のホスト間に 100 Gbps のネットワーク接続が必要です。また、コンピューティング クライアントから vSAN Max クラスタへの接続には 10 Gbps の接続が必要です。最高のパフォーマンスを得るには、ジャンボ フレーム (MTU = 9000) のサポートを有効にし、ネットワーク スパインに十分なリソースがあることを確認します。
  • 最適なレベルの回復性と容量効率を確保するには、[自動ポリシー管理]([構成] > [vSAN] > [サービス] > [ストレージ] > [編集])を有効にします。
  • [自動リバランス]([構成] > [vSAN] > [サービス] > [詳細オプション] > [編集])を有効にして、均等に分散されたストレージ システムを確保します。
注: vSAN Max は、クラスタの作成時にのみ構成できます。既存の vSAN クラスタを vSAN Max に変換することはできません。また、 vSAN Max を vSAN HCI クラスタに変換することもできません。クラスタの vSAN を無効にして、クラスタを再構成する必要があります。
vSAN コンピューティング クラスタ
vSAN コンピューティング クラスタは、 vSAN Max データストアをマウントできる小さな vSAN 要素を持つ vSphere クラスタです。コンピューティング クラスタ内のホストには、ローカル ストレージはありません。リモート データストアの容量、健全性、およびパフォーマンスを監視できます。
vSAN コンピューティング クラスタには、次の設計の考慮事項があります。
  • コンピューティング クラスタ内のホストで vSAN ネットワークを構成する必要があります。
  • コンピューティング クラスタ内のホストにストレージ デバイスを配置することはできません。
  • コンピューティング クラスタで、データ管理機能を構成することはできません。

クラスタ間のキャパシティ共有

vSAN HCI クラスタは、他の vSAN HCI クラスタとデータストアを共有できます。vSAN HCI クラスタは、データ ストレージを提供するサーバとして機能します。また、ストレージを使用するクライアントとしても機能します。

vSAN Original Storage Architecture と vSAN Express Storage Architecture は互換性がなく、データストアを相互に共有することはできません。クライアント クラスタは、異なる vSAN アーキテクチャのデータストアをマウントできません。vSAN Original Storage Architecture を使用するデータストアがクラスタにマウントされている場合、vSAN Express Storage Architecture を使用するデータストアはマウントできません。

vSAN HCI の図

リモート データストア ビューを使用すると、ローカル vSAN クラスタにマウントされたリモート データストアを監視し、管理できます。各クライアント vSAN クラスタは、サーバ vSAN クラスタからリモート データストアをマウントできます。互換性のある各 vSAN クラスタはサーバとして機能し、他の vSAN クラスタにローカル データストアのマウントを許可できます。

vSAN クラスタの [リモート データストア] ページ

仮想オブジェクトの容量、パフォーマンス、健全性、配置の各ビューに、リモート オブジェクトとデータストアのステータスが表示されます。

データストア ソースとしてのリモート vCenter Server の使用

vSAN HCI および vSAN Max クラスタは、vCenter Server 間でリモート データストアを共有できます。ローカル vCenter Server 上のクラスタのデータストア ソースとしてリモート vCenter Server を追加できます。ローカル vCenter Server 上のクライアント クラスタは、リモート vCenter Server に存在するデータストアをマウントできます。

vCenter Server の [リモート データストア] ページ
vCenter Server の [リモート データストア] ページを使用して、リモート データストア ソースを管理します( [構成] > [vSAN] > [リモート データベース])。タブをクリックして、vCenter Server 間の共有データストアに関する情報にアクセスします。データストア ソースとして vCenter Server を追加し、データストアをローカル クラスタにマウントします。
[データストア ソース] リモート vCenter Server にあるデータストア ソースを表示および管理します。ローカル vCenter Server でリモート データストア ソースの追加または削除を実行できます。
[クラスタ] ローカル vCenter Server のクラスタを表示および管理します。リモート vCenter Server から選択したクラスタでデータストアのマウントまたはアンマウントを実行できます。
[データストア] この vCenter Server で使用可能なすべてのデータストアを表示します。
vCenter Server 間のデータストア共有には次の設計上の考慮事項があります。
  • 各 vCenter Server は、最大 10 個のクライアント vCenter Server を提供できます。
  • 各クライアント vCenter Server は、最大 5 個のリモート vCenter Server データストア ソースを追加できます。
  • ある vCenter Server によって管理されているクライアント クラスタ上の仮想マシンが、別の vCenter Server によって管理されているサーバのストレージを使用する場合、クライアントの vCenter Server のストレージ ポリシーが優先されます。