vSAN では、内部操作用の容量が必要です。

クラスタが 1 台のホストの障害で停止しないようにするには、障害が発生したホストのデータをリストアできる空き容量を vSAN で用意する必要があります。ホスト障害のリストアに必要な容量は、クラスタ内の最大のホストの合計容量と一致します。これらの値は [キャパシティ モニター] ページでしきい値として表示されます。
  • 操作のしきい値:vSAN がクラスタの内部操作に必要とする容量を表します。使用中の容量が操作のしきい値を超えると、vSAN が正常に動作しなくなる場合があります。
  • ホスト再構築のしきい値:1 台のホスト障害を許容するために vSAN が必要とする容量を表します。使用中の容量がホスト再構築のしきい値を超えると、ホストに障害が発生したときに、vSAN が障害ホストのすべてのデータを正常にリストアできない場合があります。

容量のしきい値については、「vSAN 容量の監視」を参照してください。

vSAN では、容量を事前に予約し、1 台のホストで障害が発生しても内部操作を実行し、データを遵守状態に戻すために必要な空き容量を確保できます。予約済み容量を事前に有効にすると、ユーザーは空き容量を使用してワークロードを作成できなくなり、vSAN はクラスタで使用可能な容量を確保します。デフォルトでは、予約済みの容量は有効になっていません。

vSAN クラスタに十分な空き容量がある場合は、操作の予約またはホスト再構築の予約を有効にできます。
  • 操作の予約:vSAN の内部操作用にクラスタに予約された容量。
  • ホスト再構築の予約:1 台のホストで障害が発生した場合に修復できるように vSAN に予約された容量。
これらのソフト予約により、予約済み容量を使用する新しい仮想マシンの作成や仮想マシンのパワーオンは実行できなくなります。予約済み容量を有効にすると、しきい値の上限に達しても、 vSAN はゲスト OS からの I/O、アプリケーションによる容量の使用など、パワーオン状態の仮想マシンでの操作を停止しません。予約済み容量を有効にした場合は、クラスタのディスク容量の健全性アラートと容量の使用状況を監視し、容量の使用量がしきい値に達しないように、適切なアクションを実行する必要があります。
注: vSAN ストレッチ クラスタ、フォルト ドメインのあるクラスタ、ネストされたフォルト ドメイン、ROBO クラスタ、クラスタ内のホスト数が 4 台未満の場合、予約済み容量はサポートされません。

ホスト再構築の予約済み容量を有効にするには、まず操作の予約を有効にする必要があります。操作の予約を有効にすると、vSAN は、実際のしきい値に到達する前に十分な容量を確保できるように、バッファとして操作の予約に 5% の追加容量を予約します。

クラスタ内で容量の使用率が高くなると、 vSAN はその状況を通知します。この状況は、健全性アラートや、容量チャートを黄色または赤色に変えることで通知されます。予約により、 vSAN に十分な空き容量が残らない可能性があります。この場合、仮想マシンまたは仮想マシンのスナップショットを作成したり、仮想ディスクの作成や拡張を行うことができなくなります。
注: クラスタの容量が指定されたしきい値を超えている場合は、予約済み容量を有効にできません。

容量の予約の考慮事項

予約済み容量を有効にする場合は、次のことを考慮する必要があります。
  • ホスト再構築の予約済み容量を有効にし、ホストをメンテナンス モードに切り替えると、ホストがオンラインに戻らなくなる場合があります。この場合、vSAN は、別のホスト障害に対して容量の予約を継続します。このホスト障害は、すでにメンテナンス モードになっているホストにも影響します。これにより、容量の使用量がホスト再構築のしきい値を超えると、操作が失敗することがあります。
  • ホスト再構築の予約済み容量を有効にし、ホストで障害が発生した場合、修復タイマーが期限切れになるまで vSAN が影響を受けたオブジェクトの修復を開始しないことがあります。この間、vSAN は別のホスト障害に対して容量の予約を継続します。これにより、最初のホスト障害が発生した後に、容量の使用量が現在のホスト再構築のしきい値を超えると、操作が失敗することがあります。修復が完了した後、クラスタに別のホスト障害に予約済みの容量がなければ、ホスト再構築に予約された容量を無効にできます。