マルチキャストは、IP ネットワーク経由で宛先のグループに情報パケットを送信するネットワーク通信技術です。
vSAN バージョン 6.6 より前のリリースは IP マルチキャストをサポートしています。検出プロトコルとして IP マルチキャスト通信を使用し、vSAN クラスタに参加を試みているノードを識別します。vSAN バージョン 6.6 より前のリリースでは、IP マルチキャスト通信を使用して、クラスタ グループの参加や離脱、クラスタ内の他の通信処理を行います。vSAN トラフィック サービスを実行するには、IP ネットワーク セグメントで IP マルチキャストを有効にして構成します。
IP マルチキャスト アドレスは、マルチキャスト グループ (MG) といいます。IP マルチキャストは、グループ転送として複数の受信者にソース パケットを送信します。IP マルチキャストは、ホスト、クライアント、ネットワーク デバイスがマルチキャストベースの通信に参加するために使用する通信プロトコルに依存します。Internet Group Management Protocol (IGMP) などの通信プロトコルとプロトコルに依存しないマルチキャスト (PIM) は、IP マルチキャスト通信を使用する際の主要なコンポーネントと依存関係です。
vSAN クラスタの作成中に、各 vSAN クラスタにデフォルトのマルチキャスト アドレスが割り当てられます。vSAN トラフィック サービスは、デフォルトのマルチキャスト アドレスの設定を各ホストに自動的に割り当てます。このマルチキャスト アドレスは、デフォルトのマルチキャスト グループとマルチキャスト グループのエージェントにフレームを送信します。
複数の vSAN クラスタが同じレイヤー 2 ネットワークに存在する場合、追加の vSAN クラスタ内でデフォルトのマルチキャスト アドレスを変更することをお勧めします。これにより、複数のクラスタがすべてのマルチキャスト ストリームを受信するのを防ぐことができます。デフォルトの vSAN マルチキャスト アドレスの変更方法については、VMware KB2075451を参照してください。
Internet Group Management Protocol
Internet Group Management Protocol (IGMP) を使用すると、レイヤー 2 ドメイン内の IP マルチキャスト グループ メンバーシップに受信側を追加できます。
IGMP を使用すると、受信側は参加するマルチキャスト グループに要求を送信できるようになります。マルチキャスト グループのメンバーになると、ルーターはマルチキャスト グループのトラフィックをレイヤー 3 セグメントで転送し、受信側はこのセグメントのスイッチ ポートに接続します。
IGMP スヌーピングを使用すると、マルチキャスト グループに参加している物理スイッチ ポートを vSAN VMkernel ポート アップリンクに制限できます。IGMP スヌーピングは IGMP スヌーピング クエリで設定されます。IGMP スヌーピングをサポートするよう IGMP スヌーピングクエリを設定する必要があるかどうかは、スイッチ ベンダーによって異なります。IGMP スヌーピングの設定については、スイッチ ベンダーに問い合わせてください。
vSAN は、IGMP バージョン 2 と IGMP バージョン 3 の両方をサポートしています。レイヤー 3 ネットワーク セグメントにわたって vSAN を展開すると、同じレイヤー 3 ネットワーク セグメントに接続し、アクセスできるルーターやスイッチなどのレイヤー 3 対応デバイスを構成できます。
vSAN ネットワーク上のすべての VMkernel ポートは、IGMP を使用してマルチキャスト グループにサブスクライブし、すべてのネットワーク ポートでマルチキャスト フラッディングを回避します。
プロトコルに依存しないマルチキャスト
プロトコルに依存しないマルチキャスト (PIM) は、レイヤー 3 マルチキャスト ルーティング プロトコルで構成されます。
マルチキャスト グループ ソースと異なるレイヤー 3 セグメントにある受信側に到達するため、IP マルチキャスト トラフィックに対して別の通信技術を提供します。vSAN バージョン 6.6 より前のクラスタで、異なるサブネット間でのマルチキャスト トラフィックのフローを有効にするは、PIM を使用する必要があります。PIM の実装については、ネットワーク ベンダーに問い合わせてください。