vSAN および vSAN データストアを使用する仮想ワークロードに対して十分なディスク容量を用意します。

ストレージ デバイスの互換性の確認

VMware 互換性ガイド』を参照して、ストレージ デバイス、ドライバ、ファームウェアが vSAN と互換性があることを確認します。

vSAN と互換性があるいくつかのオプションの中から選択できます。

  • OEM ベンダーと VMware が vSAN との互換性について有効性を確認している物理サーバである、vSAN ReadyNode サーバを使用します。
  • 検証済みのデバイス モデルの中から個々のコンポーネントを選択して、ノードを構築します。
    VMware 互換性ガイド』セクション 確認するコンポーネント タイプ
    システム ESXi を実行する物理サーバ。
    vSAN
    • ハイブリッド構成の磁気ディスク SAS モデル。
    • VMware 互換性ガイド』でのリストに含まれているフラッシュ デバイス モデル。PCIe フラッシュ デバイスのモデルによっては、vSAN と一緒に使用できるものもあります。書き込みの耐久性とパフォーマンス クラスも考慮してください。
    • パススルーをサポートするストレージ コントローラ モデル。

      vSAN は、各ストレージ デバイスが個々の RAID 0 グループとして表されている場合、RAID 0 モードに対応するように構成されているストレージ コントローラと連係動作することができます。

ストレージ デバイスの準備

vSAN の要件に基づいて、フラッシュ デバイスおよび磁気ディスクを使用します。

予測される仮想マシンの使用に対応できるだけの十分な容量がクラスタにあることと、仮想マシンのストレージ ポリシーに定義された [許容される障害の数] を確認します。

vSAN でストレージ デバイスを要求できるようにするため、ストレージ デバイスが次の要件を満たしている必要があります。

  • ストレージ デバイスが ESXi ホストに対してローカルであること。vSAN ではリモート デバイスを要求できません。
  • ストレージ デバイスに既存のパーティション情報が保存されていないこと。
  • オールフラッシュとハイブリッドの両方のディスク グループを同じホストで使用していないこと。

ディスク グループのデバイスの準備

各ディスク グループには、1 つのフラッシュ キャッシュ デバイスと、1 つ以上の磁気ディスクまたは 1 つのフラッシュ キャパシティ デバイスがあります。ハイブリッド クラスタの場合、フラッシュ キャッシュ デバイスの容量は、キャパシティ デバイスでの予想ストレージ使用量の 10% 以上にする必要があります(保護コピーの容量を除く)。

vSAN では、3 台以上のホストで構成されるクラスタに対してストレージを提供するホストに、少なくとも 1 つのディスク グループが必要です。vSAN のパフォーマンスを最適にするには、統一された構成のホストを使用します。

Raw および使用可能な容量

特定の状況に対応するため、仮想マシンの容量を超える Raw ストレージ容量を用意します。

  • 容量にはフラッシュ キャッシュ デバイスのサイズを含めないでください。ストレージのフラッシュ デバイスを追加しない限り、フラッシュ キャッシュ デバイスはストレージを提供せず、キャッシュとして使用されます。
  • 仮想マシンのストレージ ポリシーで定義された [許容される障害の数] (FTT) の値に対応できる、十分な容量を用意します。FTT が 0 より大きい場合は、デバイスの占有量が拡張されます。FTT を 1 に設定すると、占有量が 2 倍になります。FTT を 2 に設定すると、占有量が 3 倍になり、以下同様です。
  • 統合された vSAN データストア オブジェクトではなく、個々のホストの容量を調べて、操作に十分な容量が vSAN データストアにあるかどうかを確認します。たとえば、ホストを退避させる場合、退避させるホストにデータストアのすべての空き容量があるために、別のホストへの退避をクラスタで処理できないことがあります。
  • シン プロビジョニングされたワークロードで大量のストレージの消費を開始する場合は、データストアで容量不足になるのを回避できるだけの十分な容量を用意します。
  • 物理ストレージで vSAN クラスタのホストの再保護モードとメンテナンス モードに対応できることを確認します。
  • 使用可能なストレージ容量に対する vSAN のオーバーヘッドを検討します。
    • オンディスク フォーマット バージョン 3.0 以降では、一般的にデバイスあたり 1 ~ 2% 未満の容量の追加のオーバーヘッドがかかります。ソフトウェア チェックサムが有効なデデュープおよび圧縮では、デバイスあたり約 6.2% の容量の追加のオーバーヘッドがかかります。

vSAN データストアの容量の計画の詳細については、、『VMware vSAN 設計とサイジング ガイド』を参照してください。

vSAN ポリシーのキャパシティ デバイスに与える影響

仮想マシンの vSAN ストレージ ポリシーは、さまざまな方法でキャパシティ デバイスに影響します。

表 1. vSAN の仮想マシン ポリシーと Raw 容量
ポリシーが影響する点 説明
ポリシーの変更
  • [許容される障害の数] (FTT) は、仮想マシンに提供する必要がある物理ストレージ容量に影響します。FTT の値が大きいほど可用性が高くなり、より多くの容量を用意する必要があります。

    FTT を 1 に設定すると、仮想マシンの VMDK ファイルのレプリカが 2 個作成されます。FTT を 1 に設定すると、50 GB の VMDK ファイルが 1 個ある場合、異なるホストに 100 GB の容量が必要になります。FTT が 2 に変更されると、クラスタ内のホスト全体で VMDK の 3 個のレプリカをサポートできる容量 (150 GB) が必要になります。

  • オブジェクトあたりの新しいディスク ストライプ数など、一部のポリシー変更には一時リソースが必要です。vSAN では、変更によって影響を受けるオブジェクトを再作成します。一定の期間、物理ストレージで古いオブジェクトと新しいオブジェクトの両方に対応する必要があります。
再保護モードまたはメンテナンス モードの使用可能な容量 ホストをメンテナンス モードにするか、仮想マシンのクローンを作成する場合、vSAN データストアで十分な容量が利用可能であることが示されていても、データストアが仮想マシン オブジェクトを退避できないことがあります。空き容量がメンテナンス モードに設定されているホストにある場合、この容量不足が発生します。

ストレージ コントローラの準備

vSAN の要件に合わせて、各ホストのストレージ コントローラを構成します。

vSAN のホストにあるストレージ コントローラが、モード、ドライバ、ファームウェア バージョン、キュー深度、キャッシュ、および高度な機能の特定の要件を満たしていることを確認します。

表 2. vSAN のストレージ コントローラ構成の確認
ストレージ コントローラの機能 ストレージ コントローラの要件
必須モード
  • VMware 互換性ガイド』で、コントローラが必須モード、パススルー、または RAID 0 の場合の vSAN の要件を確認します。
  • パススルーと RAID 0 の両方のモードがサポートされている場合は、RAID 0 ではなくパススルー モードを構成します。RAID 0 にすると、ディスクの置換が複雑になります。
RAID モード
  • RAID 0 の場合は、物理ディスク デバイスごとに RAID ボリュームを 1 つ作成します。
  • VMware 互換性ガイド』の一覧にあるモード以外の RAID モードは有効にしないでください。
  • コントローラのスパニングを有効にしないでください。
ドライバおよびファームウェアのバージョン
  • コントローラでは、『VMware 互換性ガイド』の説明に従って、最新バージョンのドライバおよびファームウェアを使用してください。
  • コントローラの筐体内ドライバを使用する場合は、そのドライバが vSAN 用に認定されていることを確認してください。

    OEM の ESXi リリースには、認定されておらず、『VMware 互換性ガイド』のリストに含まれていないドライバがインストールされている場合があります。

キュー深度 コントローラのキュー深度が 256 以上であることを確認します。キュー深度が深いほどパフォーマンスが向上します。
キャッシュ ストレージ コントローラのキャッシュを無効にするか、キャッシュを無効にすることができない場合は 100 パーセント読み取りに設定します。
高度な機能 HP SSD Smart Path などの高度な機能を無効にします。

ESXCLI でフラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてマーク

esxcli を使用して手動で各ホスト上のフラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてマークできます。

前提条件

vSAN 6.5 以降を使用していることを確認します。

手順

  1. キャパシティ デバイスとしてマークするフラッシュ デバイスの名前を確認するには、各ホストで次のコマンドを実行します。
    1. ESXi Shell で、esxcli storage core device list コマンドを実行します。
    2. コマンド出力の上部でデバイス名を探し、その名前を書き留めます。
    このコマンドには次のオプションがあります。
    表 3. コマンド オプション
    オプション 説明
    -d|--disk=str

    キャパシティ デバイスとしてタグ付けするデバイスの名前。 たとえば、mpx.vmhba1:C0:T4:L0

    -t|--tag=str

    追加または削除するタグを指定します。 たとえば、capacityFlash タグは、フラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてマークするために使用します。

    このコマンドでは、 ESXi で識別されるすべてのデバイス情報が一覧表示されます。
  2. 出力で、デバイスの Is SSD 属性が true であることを確認します。
  3. フラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてタグ付けするには、esxcli vsan storage tag add -d <device name> -t capacityFlash コマンドを実行します。
    たとえば、 esxcli vsan storage tag add -t capacityFlash -d mpx.vmhba1:C0:T4:L0 コマンドを使用することができます。ここで、 mpx.vmhba1:C0:T4:L0 はデバイス名です。
  4. フラッシュ デバイスがキャパシティ デバイスとしてマークされているかどうかを確認します。
    1. 出力で、デバイスの IsCapacityFlash 属性が 1 に設定されていることを確認します。

例: コマンド出力

vdq -q -d <device name> コマンドを実行して、 IsCapacityFlash 属性を確認できます。 たとえば、 vdq -q -d mpx.vmhba1:C0:T4:L0 コマンドでは、次の出力が返されます。
\{
"Name"     : "mpx.vmhba1:C0:T4:L0",
"VSANUUID" : "",
"State"    : "Eligible for use by VSAN",
"ChecksumSupport": "0",
"Reason"   : "None",
"IsSSD"    : "1",
"IsCapacityFlash": "1",
"IsPDL"    : "0",
    \},

ESXCLI を使用した、キャパシティ デバイスとして使用されるフラッシュ デバイスのタグの解除

キャパシティ デバイスとして使用されるフラッシュ デバイスのタグを解除し、キャッシュとして使用可能にすることができます。

手順

  1. キャパシティ デバイスとしてマークされているフラッシュ デバイスのタグを解除するには、esxcli vsan storage tag remove -d <device name> -t capacityFlash コマンドを実行します。たとえば、esxcli vsan storage tag remove -t capacityFlash -d mpx.vmhba1:C0:T4:L0 コマンドを使用することができます。ここで、mpx.vmhba1:C0:T4:L0 はデバイス名です。
  2. フラッシュ デバイスのタグが解除されたかどうかを確認します。
    1. 出力で、デバイスの IsCapacityFlash 属性が 0 に設定されていることを確認します。

例: コマンド出力

vdq -q -d <device name> コマンドを実行して、 IsCapacityFlash 属性を確認できます。 たとえば、 vdq -q -d mpx.vmhba1:C0:T4:L0 コマンドでは、次の出力が返されます。
[
    \{
"Name"     : "mpx.vmhba1:C0:T4:L0",
"VSANUUID" : "",
"State"    : "Eligible for use by VSAN",
"ChecksumSupport": "0",
"Reason"   : "None",
"IsSSD"    : "1",
"IsCapacityFlash": "0",
"IsPDL"    : "0",
    \},

RVC でフラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてマーク

vsan.host_claim_disks_differently RVC コマンドを実行して、ストレージ デバイスをフラッシュ、容量フラッシュ、または磁気ディスク (HDD) としてマークします。

RVC ツールを使用すると、フラッシュ デバイスをキャパシティ デバイスとしてタグ付けできます。このタグ付けは、個別に行うことも、デバイスのモデルを指定してバッチで行うこともできます。キャパシティ デバイスとしてのフラッシュ デバイスにタグを付ける場合、フラッシュ デバイスをオールフラッシュ ディスク グループに含めることができます。
注: vsan.host_claim_disks_differently コマンドでは、タグ付けの前にデバイス タイプは確認されません。このコマンドでは、使用中の磁気ディスクおよびデバイスを含め、 capacity_flash コマンド オプションを使用して付加されたデバイスにタグが付けられます。タグ付けの前に、デバイスのステータスを必ず確認してください。
vSAN 管理のための RVC コマンドの詳細については、『 RVC コマンド リファレンス ガイド』を参照してください。

前提条件

  • vSAN バージョン 6.5 以降を使用していることを確認します。
  • SSH が vCenter Server で有効化されていることを確認します。

手順

  1. vCenter Server への SSH 接続を開きます。
  2. 管理者権限を持つローカル アカウントを使用して、vCenter Server にログインします。
  3. 次のコマンドを実行して、RVC を開始します。
    rvc local_user_name@target_vCenter_Server
    たとえば、同じ vCenter Server を使用してキャパシティ デバイスのフラッシュ デバイスを root ユーザーとしてマークするには、次のコマンドを実行します。
    rvc root@localhost
  4. ユーザー名に対応するパスワードを入力します。
  5. vSphere インフラストラクチャで、vcenter_server/data_center/computers/cluster/hosts ディレクトリに移動します。
  6. --claim-type capacity_flash --model model_name オプションを指定して vsan.host_claim_disks_differently コマンドを実行し、同じモデルのオールフラッシュ デバイスをクラスタ内のすべてのホストのキャパシティ デバイスとしてマークします。
    vsan.host_claim_disks_differently --claim-type capacity_flash --model model_name *

次のタスク

クラスタで vSAN を有効にし、キャパシティ デバイスを要求します。