vSphere ホスト プロファイルは、ホスト構成をカプセル化するプロファイルで、特に管理者が vCenter Server で複数のホストまたはクラスタを管理する環境で、ホストの構成を管理する場合に役立ちます。

ホスト プロファイルは、ホスト構成と構成のコンプライアンスを自動化し、統合管理するためのメカニズムを提供します。ホスト プロファイルを使用すると、反復的な手動タスクが減少するため、効率性が高まります。ホスト プロファイルは事前に設定され、検証されたリファレンス ホストの構成を取得し、管理対象オブジェクトとして設定を保存します。この設定に含まれているパラメータをカタログとして使用し、ネットワーク、ストレージ、セキュリティ、および他のホスト レベルのパラメータを設定します。ホスト プロファイルは個々のホスト、クラスタ、またはホスト プロファイルに関連付けられているすべてのホストおよびクラスタに適用できます。ホスト プロファイルをクラスタに適用すると、クラスタ内のすべてホストが影響を受け、適用されたホスト間で構成の一貫性が保たれます。

ホスト プロファイルでは、ホストまたはクラスタを関連付けられたホスト プロファイルと比較することで、ホストの構成のコンプライアンスを検証できます。

リファレンス ホストの独立性

ホスト プロファイルのタスクを実行するために専用のリファレンス ホストを使用する必要はありません。

ホスト プロファイルを作成する場合は、指定した ESXi リファレンス ホストから構成情報を抽出します。vSphere の以前のリリースでは、編集、インポート、エクスポートなど、ホスト プロファイルの特定のタスクを実行する場合、リファレンス ホストを使用する必要がありました。vSphere 6.0 以降では、これらのタスクを実行するために専用のリファレンス ホストを使用する必要はなくなりました。リファレンス ホストが必要なホスト プロファイル タスクの場合は、ホスト プロファイルと互換性のある ESXi ホストがリファレンス ホストとして割り当てられます。

場合によっては、これらのタスクの実行中にホスト プロファイルの検証を行う、互換性のあるホストが利用できないことがあります。ホスト プロファイルにわずかな変更を加えると、検証はスキップされ、有効なリファレンス ホストがプロファイルに関連付けられていないことを示す警告が表示されます。その後、処理を進めて、タスクを完了できます。

この機能が導入されたことで、ユーザーは vSphere Client からリファレンス ホストを編集または変更できなくなりました。リファレンス ホストの選択は実行時に行われ、進行中のタスクに関する通知は vCenter Server に表示されません。

リファレンス ホストの選択

適切なリファレンス ホストを選択するために、vCenter Server は、ターゲット ホストで複雑なバージョン チェックと互換性チェックを実行します。

vSphere 7.0 Update 3 以降、メジャー バージョンの vCenter Server インスタンスでは、それぞれのメジャー バージョン内のすべての ESXi Update リリース バージョンのホストを管理できます。たとえば、vCenter Server 7.0 Update 3 インスタンスでは、バージョン 7.0 GA、7.0 Update 1、7.0 Update 2、および 7.0 Update 3 の ESXi ホストとホスト プロファイルを管理できます。この変更は、特定のホスト プロファイル操作におけるリファレンス ホストの選択に影響します。

バージョン チェック

リファレンス ホストを選択するために、vCenter Server は、ターゲット ホストがホスト プロファイルと同じ ESXi Update リリース バージョンであるかどうかをチェックします。一部の操作では、ターゲット ホストは、ホスト プロファイルの ESXi バージョンよりも新しい ESXi バージョンを実行できます。たとえば、7.0 Update 3 ホスト プロファイルを編集する場合、ホスト プロファイルを検証するリファレンス ホストは、ESXi 7.0 GA、7.0 Update 1、または 7.0 Update 2 を実行できません。

互換性チェック

ターゲット ホストでのバージョン チェックに加えて、vCenter Server は、既存のリリースのサブプロファイル互換性チェックを含む広範な互換性チェックを実行します。vSphere 7.0 Update 3 以降では、リファレンス ホストを指定するために、vCenter Server はターゲット ホストの詳細オプションとデフォルト ロールをチェックします。リファレンス ホストは、検証するホスト プロファイルの詳細オプションをサポートしている必要があります。また、リファレンス ホストのデフォルト ロールは、ホスト プロファイルのデフォルト ロールと一致する必要があります。

ホスト プロファイルの操作とそれに必要なリファレンス ホストのバージョン

リファレンス ホストは、さまざまなホスト プロファイルの操作およびワークフローでホスト プロファイルを検証するために必要となります。vSphere 7.0 Update 3 以降では、操作に応じて、リファレンス ホストは検証するホスト プロファイルとまったく同じかそれ以降の Update リリース バージョンである必要があります。次の表に、環境で vCenter Server インスタンス 7.0 Update 3 以降を実行している場合に、ホスト プロファイルの各操作に対して互換性があるリファレンス ホストのバージョンの概要を示します。
ホスト プロファイルの操作 互換性のあるリファレンス ホストのバージョン
編集 ホスト プロファイルと同じ Update リリース バージョン。
コンプライアンスの確認 ホスト プロファイルと同じかそれ以降の Update リリース バージョン。
修正 ホスト プロファイルと同じかそれ以降の Update リリース バージョン。
添付 ホスト プロファイルと同じかそれ以降のバージョン。
インポート/エクスポート ホスト プロファイルとまったく同じバージョン。
注: vCenter Server インスタンスのバージョンが 7.0 Update 3 より前の場合、リファレンス ホストの選択中に Update リリース バージョンはチェックされません。 vCenter Server は、リファレンス ホストとホスト プロファイルが同じメジャー リリース バージョン(6.x や 7.x など)であるかどうかのみをチェックします。

ホスト プロファイルと vSphere Auto Deploy

ホスト プロファイルと vSphere Auto Deploy を使用して、仮想スイッチ、ドライバ設定、起動パラメータなどの構成状態が完全で予想どおりの物理 ESXiホストをプロビジョニングできます。

Auto Deploy でプロビジョニングされたホストはステートレスと見なされるため、構成状態の情報はホストに保存されません。代わりに、リファレンス ホストを作成して設定します。このリファレンス ホストからホスト プロファイルを作成します。次に、ホスト プロファイルを Auto Deploy ルールに関連付けます。その結果、Auto Deploy でプロビジョニングする新しいホストには、ホスト プロファイルが自動的に適用されます。

これらのホストへの修正は、ステートフルにデプロイされたホストと同じです。ホスト プロファイルの適用時に、ホストをカスタマイズし、ホスト プロファイルの作成中に指定したポリシーへの応答を入力するように求められます。

注: Auto Deploy で ESXiをデプロイする場合は、ログをリモート サーバに保存するように syslog を設定します。ホスト プロファイル インターフェイスからの Syslog の設定の詳細については、『 vSphere のインストールとセットアップ』ドキュメントを参照してください。

Auto Deploy のリファレンス ホストの設定の詳細については、『VMware ESXi のインストールとセットアップ』ドキュメントを参照してください。