vSphere Distributed Services Engine を使用すると、一部のネットワーク操作をサーバ CPU からデータ処理ユニット、つまりサーバ上の DPU デバイスにオフロードできます。vSphere Lifecycle Manager イメージとあらゆる vSphere Lifecycle Manager 操作を使用して、サーバの DPU デバイスで実行されるソフトウェアとファームウェアのライフサイクルを管理できます。

ネットワーク アクセラレーションに DPU デバイスを使用すると、ビジネス クリティカルなワークロードのために CPU キャパシティを解放することができます。DPU デバイスを使用すると、ネットワーク パフォーマンスだけでなく、セキュリティと圧縮も向上できます。

DPU デバイスについて

DPU デバイスは、高性能のネットワーク インターフェイス カードであり、組み込みの CPU コア、メモリ、およびハイパーバイザー(サーバにインストールされている ESXi ハイパーバイザーとは別にデバイス上で実行される)を備えています。DPU デバイスは、複数の汎用コンピューティング コアを備え、限定的なリソースを持つサーバのようなものです。

DPU デバイスで実行される ESXi ハイパーバイザーは、完全に機能するハイパーバイザーですが、ARM CPU アーキテクチャでのみ実行できます。DPU で、仮想マシンやワークロードを実行およびプロビジョニングするために ESXi を使用することはありません。DPU デバイスで実行されるハイパーバイザーは、サーバ上で実行される ESXi ハイパーバイザーのトリミングされたバージョンです。このトリミングされたバージョンの ESXi は、パケットのオフロード、外部管理などの I/O アクティビティ用に最適化されています。

vSphere の観点から見た DPU デバイスは、事前構成済みの、それ以上の構成やカスタマイズなしで使用できるデバイスです。

DPU デバイスを、ESXi ホストの管理と別個に管理することはできません。ホスト上のソフトウェアおよびファームウェアのライフサイクル管理に使用するすべてのライフサイクル操作は、DPU ベース環境における DPU デバイスのソフトウェアやファームウェアのライフサイクルを管理するためにも使用されます。

vSphere 8.0 がサポートする DPU デバイスは、NVIDIA BlueFeild および Pensando DSC (Pensando Distributed Services Card) のみです。

DPU デバイスでサーバの使用を開始する方法

vSphere Distributed Services Engine が提供するメリットを利用するには、サポートされている DPU デバイスがサーバに含まれている必要があります。DPU デバイスを別途購入して、レガシーの非 DPU サーバに挿入することはできません。

サーバ上の DPU デバイスを使用してネットワーク サービスをオフロードするには、サーバで ESXi のフレッシュ インストールを実行する必要があります。インストールは、インタラクティブに、またはスクリプトによるメカニズムを使用して実行できます。インストール時、ESXi はサーバと DPU デバイスの両方にインストールされます。vSphere 8.0 の場合、ESXi イメージには、ホストにインストールされる ESXi バージョンと、ホスト上の DPU デバイスにインストールされる ESXi バージョンの両方の VIB が含まれます。

DPU デバイスの ESXi とファームウェアのライフサイクルの管理

vSphere Lifecycle Manager を使用して、DPU デバイスの ESXi バージョンとファームウェアをアップグレードします。DPU デバイスのアップグレードに必要な VIB は、VMware が配布し、ESXi デポに配置されている vSphere Lifecycle Manager の基本イメージに含まれています。DPU デバイスにあるソフトウェアとファームウェアを別々に管理する必要はありません。たとえば、修正時には、vSphere Lifecycle Manager がホストと DPU デバイスの両方で ESXi を更新します。

DPU ベースの環境では、ほとんどの vSphere Lifecycle Manager 操作が機能します。vSphere 8.0 の場合、DPU でバッキングされたホストを含むクラスタでは、次の vSphere Lifecycle Manager 操作のみが機能しません。
  • 推奨事項の生成
  • ハードウェアの互換性チェック

vSphere Distributed Services Engine と相互運用が可能なソリューション

NSX は、サーバ、DPU、またはその両方の ESXi に VIB をプッシュできる唯一のソリューションです。現在、それ以外のソリューションで vSphere Distributed Services Engine と連携できるものはありません。

vSphere Distributed Services Engine を使用するためのシステム要件

  • ESXi 8.0 以降
  • vCenter Server 8.0 以降

DPU ベースのクラスタで vSphere Lifecycle Manager を使用する場合の制限事項

  • vSphere Distributed Services Engine は、単一の vSphere Lifecycle Manager イメージを使用して管理するクラスタおよびスタンドアローン ホストで機能します。ベースラインを使用して管理するクラスタに、DPU デバイスを持つホストを追加することはできません。
  • ホストに設定できる DPU デバイスは 1 つだけです。
  • クラスタ内の各ホストには、DPU デバイスが必要です。
  • すべてのホストに、同じベンダーかつ同じモデルの DPU デバイスが必要です。DPU の生成は異なる場合があります。