ディスク (ミリ秒) のチャートは、ホストでのコマンド処理にかかる時間を表示します。

このチャートは、ホストの [パフォーマンス] タブの [ホーム] ビューにあります。

表 1. データ カウンタ
チャートのラベル 説明
最大ディスク待ち時間 ホストが使用しているすべてのディスクの最大待ち時間の値。

待ち時間では、ゲスト OS から仮想マシンに発行された SCSI コマンドを処理するためにかかった時間が測定されます。カーネル待ち時間は、VMkernel が入出力要求を処理するためにかかった時間です。デバイス待ち時間は、ハードウェアが要求を処理するためにかかった時間です。

合計待ち時間 = カーネル待ち時間 + デバイス待ち時間

  • カウンタ:maxTotalLatency
  • 統計タイプ: 絶対値
  • 単位: ミリ秒 (ms)
  • ロールアップ タイプ:最新(最小値/最大値)
  • 収集レベル:1 (4)

チャートの分析

ディスクのチャートを使用して、平均的なディスク負荷を監視し、ディスク使用量のトレンドを判断します。たとえば、ハード ディスクに頻繁に読み取りおよび書き込みを行うアプリケーションを使用すると、パフォーマンスの低下に気づくことがあります。ディスクの読み取りまたは書き込み要求の数が急増した場合、負荷の高いアプリケーションが実行されていたかどうかを確認してください。

vSphere 環境でディスクに問題が発生しているかどうか判断する最良の方法は、ディスク待ち時間のデータ カウンタを監視することです。詳細パフォーマンス チャートを使用して、データ カウンタの統計情報を表示できます。

  • カーネル待ち時間のデータ カウンタは、VMkernel が各 SCSI コマンドの処理にかかった平均的な時間をミリ秒単位で測定します。最適なパフォーマンスを得るには、この値を 0 ~ 1 ミリ秒にする必要があります。この値が 4 ミリ秒よりも大きい場合、ホストの仮想マシンは、構成がサポートするよりも多くのスループットをストレージ システムに送信しようとします。CPU 使用量を確認し、キュー深度を増やしてください。
  • デバイス待ち時間のデータ カウンタは、物理デバイスの SCSI コマンドの完了にかかる平均的な時間をミリ秒単位で測定します。ハードウェアによりますが、値が 15 ミリ秒よりも大きい場合は、おそらくストレージ アレイに問題があります。アクティブな VMDK をより多くのスピンドルを持つボリュームに移動するか、LUN にディスクを追加してください。
  • キュー待ち時間のデータ カウンタは、VMkernel キューの SCSI コマンドごとにかかる平均的な時間を測定します。この値は常にゼロである必要があります。ゼロでない場合、ワークロードが大きすぎて、アレイはデータを十分な速度で処理できません。

ディスク待ち時間の値が大きい場合、またはディスク I/O のパフォーマンスに関するほかの問題に気づいた場合は、次のアクションの実行を検討します。

表 2. ディスク I/O パフォーマンスの向上に関するアドバイス
# 解決方法
1

仮想マシンのメモリを増やす。これによってオペレーティング システムのキャッシュが増え、I/O のアクティビティが減少します。注:ホスト メモリを増やす必要がある場合があります。メモリを増やすと、データベースがシステム メモリを活用してデータをキャッシュし、ディスクへのアクセスを減らすことができるため、データを格納する必要性が減少することがあります。

仮想マシンのメモリが適切であることを確認するには、ゲスト OS のスワップ統計情報を確認します。ホストのメモリ スワップが過剰に行われない程度にゲスト メモリを増やします。VMware Tools をインストールして、メモリのバルーニングが発生するようにします。

2 すべてのゲストのファイル システムを最適化する。
3 VMDK および VMEM ファイルで、アンチウィルスのオンデマンド スキャンを無効にする。
4 ベンダーのアレイ ツールを使用してアレイのパフォーマンス統計を確認する。多くのサーバがアレイ上の共通の要素に同時にアクセスしている場合、ディスクの問題が解決しないことがあります。スループットを向上するには、アレイ側の改善を検討します。
5 Storage vMotion を使用して、複数のホスト間で I/O の多い仮想マシンを移行する。
6 使用可能なすべての物理リソースで、ディスクの負荷を調整する。さまざまなアダプタがアクセスする LUN 全体で、使用量の多いストレージを分散します。各アダプタで別々のキューを使用すると、ディスクのパフォーマンスが向上します。
7 最適に利用できるように HBA および RAID コントローラを構成する。RAID コントローラでキューの深さおよびキャッシュの設定が最適であることを確認します。最適でない場合、Disk.SchedNumReqOutstanding パラメータを調整し、待機する仮想マシンのディスク要求数を増やします。詳細については、『vSphere ストレージ』を参照してください。
8 リソースが集中する仮想マシンの場合、システム ページ ファイルで、ドライブから仮想マシンの物理ディスク ドライブを分ける。これによって、使用量が多くなる期間のディスク スピンドルの競合が軽減します。
9 大きな RAM を持つシステムでは、仮想マシンの VMX ファイルに MemTrimRate=0 の行を追加し、メモリのトリミングを無効にする。
10 ディスク I/O の合計が 1 つの HBA のキャパシティよりも大きい場合、マルチパスまたは複数のリンクを使用する。
11 ESXi ホストの場合、事前割り当て済みの仮想ディスクを作成する。ゲスト OS の仮想ディスクを作成する場合は、[今すぐすべてのディスク領域を割り当て] を選択します。追加のディスク容量を再割り当てしてもパフォーマンスの低下は発生せず、ディスクはあまり断片化しません。
12 最新のホスト ハードウェアを使用する。