ここでは、ファイバ チャネル SAN 環境を構成して ESXi システムと組み合わせるための、セットアップの手順の概要について説明します。ファイバ チャネル SAN を構成し、ESXi システムを設定するための準備として、要件と推奨事項を確認してください。
ESXi ファイバ チャネル SAN の要件
- ESXi システムが、使用する SAN ストレージ ハードウェアとファームウェアの組み合わせをサポートしていることを確認します。最新のリストは、VMware 互換性ガイドを参照してください。
- 1 つの LUN につき 1 つの VMFS ボリュームのみ持つようシステムを構成してください。
- ディスクレス サーバを使用している場合を除き、SAN LUN に診断パーティションを設定しないでください。
SAN ブートのディスクレス サーバを使用する場合は、共有診断パーティションが適しています。
- RDM を使用して Raw ディスクにアクセスします。詳細については、vSphere での Raw デバイス マッピングを参照してください。
- マルチパスが適切に機能するには、すべての ESXi ホストに対して、各 LUN が同じ LUN ID 番号を提示する必要があります。
- ストレージ デバイス ドライバが、十分に大きなキューを指定していることを確認します。物理 HBA のキュー深度は、システム セットアップで設定できます。
- VMtools により、デフォルトのディスク タイムアウトを示す SCSI TimeoutValue パラメータが 180 秒に増加します。VMtools を実行していない仮想マシンで、SCSI TimeoutValue パラメータの値を増やします。このパラメータを設定すると、パスのフェイルオーバーによって生じる I/O の遅延に対する仮想マシンの許容度が向上します。詳細については、「パスのフェイルオーバーと仮想マシン」またはナレッジベースの記事「KB1009465」を参照してください。
ESXi ファイバ チャネル SAN の制限
ESXi と SAN を併用するときは、特定の制限が適用されます。
- ESXi は、FC 接続されたテープ デバイスをサポートしません。
- 仮想マシン内のマルチパス ソフトウェアを使用して、単一物理 LUN の I/O ロード バランシングを実行することはできません。ただし、Microsoft Windows 仮想マシンでダイナミック ディスクを使用している場合、この制限は適用されません。ダイナミック ディスクの構成方法については、vSphere VMFS での仮想マシンの動的ディスク ミラーリングの設定 を参照してください。
LUN 割り当ての設定
ここでは、ESXi と SAN が連携する場合の LUN の割り当て方法に関する全般的な情報について説明します。
LUN 割り当てを設定するときは、次のことに注意してください。
- ストレージのプロビジョニング
-
起動時に
ESXi システムが LUN を認識するように、SAN を
ESXi システムに接続する前に、すべての LUN を適切な HBA にプロビジョニングします。
すべての LUN をすべての ESXi HBA に同時にプロビジョニングします。HBA フェイルオーバーは、すべての HBA が同じ LUN を参照している場合にのみ機能します。
複数のホストで LUN を共有する場合は、すべてのホストで LUN ID が同じである必要があります。
- vMotion および VMware DRS
- vCenter Server と vMotion または DRS を使用する場合は、仮想マシンの LUN がすべての ESXi ホストにプロビジョニングされていることを確認します。このアクションにより、仮想マシンを移動する機能が最大になります。
- アクティブ-パッシブ アレイと比較したアクティブ-アクティブ アレイ
-
アクティブ-パッシブの SAN ストレージ デバイスで vMotion または DRS を使用する場合は、すべての
ESXi システムが、すべてのストレージ プロセッサへの一貫したパスを保持するようにします。そうしない場合、vMotion の移行が行われるときに、パスのスラッシングが生じることがあります。
『ストレージ/SAN 互換性』にないアクティブ-パッシブ ストレージ アレイでは、ストレージ ポートのフェイルオーバーはサポートされません。この場合、サーバをストレージ アレイのアクティブなポートに接続する必要があります。この構成によって、LUN が ESXi ホストに確実に提供されます。
ファイバ チャネル HBA の設定
一般的に、ESXi ホストで使用する FC HBA は、デフォルト構成設定で問題なく動作します。
- 1 台のホストでベンダーの異なる FC HBA を併用しないでください。同一の HBA でモデルが異なるものについてはサポートされていますが、2 つの異なる HBA タイプを介して 1 つの LUN にアクセスすることはできません。同じタイプからのみアクセスできます。
- 各 HBA のファームウェア レベルが同じであることを確認します。
- フェイルオーバー検出のタイムアウト値を設定します。最適なパフォーマンスを確保するには、デフォルト値を変更しないでください。
- ESXi は、エンドツーエンドの 32 Gbps ファイバ チャネル接続をサポートしています。
ファイバ チャネル オーバー イーサネットの構成
ファイバ チャネル ストレージにアクセスするために、ESXi ホストは FCoE (Fibre Channel over Ethernet) プロトコルを使用できます。FCoE プロトコルは、ファイバ チャネル フレームをイーサネット フレームにカプセル化します。その結果、ホストは特別なファイバ チャネル リンクを使用してファイバ チャネル ストレージに接続する必要がなくなり、10 Gbit ロスレス イーサネットを使用してファイバ チャネル トラフィックを送信することができます。
ファイバ チャネル オーバー イーサネット アダプタ
このカテゴリには、ネットワークおよびファイバ チャネル機能が同じカードに搭載されている専用のオフロード統合ネットワーク アダプタ (CNA) が含まれています。
このようなアダプタを取り付けると、ホストで両方の CNA コンポーネントが検出され、使用できます。vSphere Client では、ネットワーク コンポーネントは標準ネットワーク アダプタ (vmnic) として、ファイバ チャネル コンポーネントは FCoE アダプタ (vmhba) として表示されます。
VMware FCoE で使用可能なアダプタの詳細については、『VMware 互換性ガイド』を参照してください。
設定のワークフロー
ここでは、ファイバ チャネル SAN 環境を構成して ESXi システムと組み合わせるための、インストールと設定の手順の概要について説明します。
ESXi SAN 環境を構成するには、次の手順に従います。
- SAN を構成していない場合、設計する。ほとんどの既存の SAN は、小さな変更だけで、ESXi と組み合わせることができます。
- すべての SAN コンポーネントが要件を満たしていることを確認する。
- ストレージ アレイに対して必要な変更を行う。
VMware ESXi と組み合わせて動作するように SAN をセットアップする方法については、ほとんどのベンダーがベンダー固有のドキュメントを提供しています。
- SAN に接続したホストの HBA を設定する。
- ホストに ESXi をインストールする。
- 仮想マシンを作成し、ゲスト OS をインストールする。
- (オプション) VMware HA フェイルオーバーまたは Microsoft Clustering Service を使用するように、システムをセットアップする。
- 必要に応じて環境をアップグレードまたは変更する。