仮想 N-Port ID の仮想化 (NPIV) は ANSI T11 標準であり、これはいくつかの WWPN (World Wide Port Name) を使用して 1 つのファイバ チャネル HBA ポートをファブリックに登録する方法について説明しています。これにより、ファブリックに接続した N-Port が複数のファブリック アドレスを要求できるようになります。各アドレスは、ファイバ チャネル ファブリックで一意のエンティティとして認識されます。ファイバ チャネル NPIV を使用するように vSphere 仮想マシンを構成できます。
NPIV ベースの LUN アクセスの作動方法
NPIV は 1 つの FC HBA ポートを有効にして、複数の一意な WWN (World Wide Name) ID をファブリックに登録します。それぞれの WWN は各仮想マシンに割り当てることができます。NPIV を使用する場合、SAN 管理者は仮想マシン 1 台ごとにストレージ アクセスの監視と経路設定ができます。
RDM を使用した仮想マシンのみが、WWN の割り当てを受け、これらの割り当てをすべての RDM トラフィックに使用できます。
仮想マシンには WWN が割り当てられており、WWN のペアを含めるように、仮想マシンの設定ファイル (.vmx) が更新されます。WWN のペアは、World Wide Port Name (WWPN) と、World Wide Node Name (WWNN) から構成されます。VMkernel は、仮想マシンをパワーオンしたときに、LUN へのアクセスで使用する物理 HBA で仮想ポート (VPORT) を作成します。VPORT は、物理 HBA として FC ファブリックに表示される仮想 HBA です。一意の識別子として、VPORT は、仮想マシンに割り当てられた WWN のペアを使用します。
各 VPORT は仮想マシンに特有のものです。仮想マシンをパワーオフすると、VPORT はホストで無効化され、FC ファブリックに認識されなくなります。仮想マシンが 1 つのホストから別のホストに移行すると、VPORT が最初のホスト上で閉じ、ターゲット ホスト上で開きます。
仮想マシンに WWN が割り当てられていない場合、仮想マシンは、ホストの物理 HBA の WWN を使用してストレージ LUN にアクセスします。
NPIV 使用の要件
NPIV を仮想マシン上で有効にする予定であれば、特定の要件に注意してください。
- NPIV は、RDM ディスクを使用する仮想マシンだけが使用できます。通常の仮想ディスクを使用する仮想マシンは、ホストの物理 HBA の WWN を使用します。
- ホストの HBA は NPIV をサポートしている必要があります。
詳細については、『VMware 互換性ガイド』およびベンダーのドキュメントを参照してください。
- 同じタイプの HBA を使用します。VMware では、同じホストにある異種の HBA から同じ LUN へのアクセスはサポートされていません。
- ホストが、ストレージへのパスとして複数の物理 HBA を使用している場合、すべての物理パスを仮想マシンにゾーニングする必要があります。一度に 1 つのパスだけがアクティブになる場合でも、マルチ パスをサポートする必要があります。
- ホスト上の物理 HBA が、そのホストで実行されている NPIV 対応の仮想マシンがアクセスするすべての LUN を検出できる必要があります。
- ファブリック内のスイッチは NPIV に対応している必要があります。
- ストレージ レベルでの NPIV アクセスに LUN を構成する場合、NPIV LUN の番号および NPIV ターゲット ID が、物理 LUN およびターゲット ID と一致していることを確認します。
- 仮想マシンでストレージを使用しなくても、NPIV WWPN をゾーニングすると、クラスタ ホストがアクセスできるすべてのストレージ システムに接続できます。1 台以上の NPIV 対応仮想マシンが展開されているクラスタに、新しいストレージ システムを追加する場合は、NPIV WWPN が新しいストレージ システムのターゲット ポートを検出できるように、新しいゾーンを追加します。
NPIV の機能と制限事項
ESXi で NPIV を使用する際の特定の機能と制限事項について説明します。
- NPIV では vMotion がサポートされます。vMotion を使用して仮想マシンを移行するとき、割り当てられている WWN が維持されます。
NPIV 対応の仮想マシンを、NPIV をサポートしていないホストに移行すると、VMkernel は物理 HBA を使用した I/O の送信に戻ります。
- FC SAN 環境で、アクティブ-アクティブ アレイのディスクへの同時 I/O がサポートされている場合は、2 つの異なる NPIV ポートへの同時 I/O もサポートされます。
ESXi で NPIV を使用する場合は、次の制限事項が適用されます。
- NPIV テクノロジーは FC プロトコルの拡張であるので、FC スイッチを必要とし、直接接続の FC ディスクには使用できません。
- WWN が割り当てられている仮想マシンまたはテンプレートをクローン作成する場合、そのクローンは WWN を保持しません。
- NPIV で Storage vMotion はサポートされません。
- 仮想マシンの実行中に FC スイッチの NPIV 機能を無効にしてから再度有効にすると、FC リンクに障害が発生し、I/O が停止することがあります。
WWN の割り当ての構成または変更
WWN 設定を仮想マシンに割り当てます。WWN の割り当ては後で変更できます。
1 ~ 16 個の WWN ペアを作成し、ホストの最初の 1 ~ 16 個の物理 FC HBA にマッピングできます。
通常は、仮想マシンの既存の WWN 割り当てを変更する必要はありません。ただし、手動で割り当てた WWN が原因で SAN で競合が発生している場合など、特定の状況では、WWN を変更または削除しなければならない場合があります。
前提条件
- WWN を構成する前に、アレイ側で構成されているストレージ LUN アクセス制御リスト (ACL) に ESXi ホストがアクセスできることを確認します。
- 既存の WWN を編集する場合は、仮想マシンをパワーオフします。
手順
- インベントリで仮想マシンを右クリックし、[設定の編集] を選択します。
- [仮想マシン オプション] をクリックし、[ファイバ チャネル NPIV] を展開します。
- 次のいずれかのオプションを選択して、WWN の割り当てを作成または編集します。
オプション 説明 この仮想マシンの NPIV を一時的に無効にする 仮想マシンの既存の WWN 割り当てを無効にしますが、削除はしないでください。 変更しない 既存の WWN 割り当てを保持します。読み取り専用の WWN の割り当てセクションに、既存の WWN 割り当てのノードとポートの値が表示されます。 新しい WWN を生成 新しい WWN を生成し、既存の WWN を上書きします。HBA の WWN は影響を受けません。WWNN と WWPN の数を指定します。NPIV を使用したフェイルオーバーをサポートするには最低 2 つの WWPN が必要です。通常は各仮想マシンに WWNN を 1 つだけ作成します。 WWN 割り当ての削除 仮想マシンに割り当てられている WWN を削除します。仮想マシンは HBA WWN を使用して、ストレージ LUN にアクセスします。 - [OK] をクリックして、変更内容を保存します。