間接的ブロックとも呼ばれるポインタ ブロックは、VMFS ファイル ブロックのアドレスが含まれるファイル システム リソースです。ESXi ホスト上の vmdk ファイルを開くと、そのファイルに関連するポインタ ブロックは、ポインタ ブロック キャッシュに格納されます。ポインタ ブロック キャッシュのサイズは、設定可能なパラメータです。

ポインタ ブロック キャッシュは、VMFS から独立したホスト全体のキャッシュです。このキャッシュは、同じ ESXi ホストからアクセスできるすべてのデータストアで共有されます。

ポインタ ブロック キャッシュのサイズは、/VMFS3/MinAddressableSpaceTB および /VMFS3/MaxAddressableSpaceTB によって決まります。各 ESXi ホストの最小サイズと最大サイズを設定できます。

パラメータ 説明
/VMFS3/MinAddressableSpaceTB 最小値は、システムがポインタ ブロック キャッシュに対して確保するメモリの最小量です。たとえば開いているファイルの容量が 1 TB の 場合、約 4 MB のメモリが必要です。デフォルトは 10 TB です。
/VMFS3/MaxAddressableSpaceTB このパラメータによって、メモリ内でキャッシュできるポインタ ブロックの上限を定義します。デフォルトは 32 TB です。最大値は 128 TB です。通常、/VMFS3/MaxAddressableSpaceTB パラメータはデフォルト値で十分です。

ただし、開いている vmdk ファイルのサイズが増加すると、それらのファイルに関連するポインタ ブロック数も増加します。その増加によってパフォーマンスの低下が発生する場合は、最大値のパラメータを変更することで、ポインタ ブロック キャッシュの容量を増やすことができます。ポインタ ブロック キャッシュの最大サイズは、作業セット、または必要なアクティブ ポインタ ブロックを基に決めます。

Pointer Block Eviction /VMFS3/MaxAddressableSpaceTB パラメータは、ポインタ ブロック キャッシュの増加も制御します。ポインタ ブロック キャッシュのサイズが設定された最大サイズに近づくと、ポインタ ブロックの削除プロセスが開始されます。このプロセスでは、アクティブなポインタ ブロックは残されますが、容量を再利用するため、非アクティブまたは比較的アクティブではないブロックはキャッシュから削除されます。

ポインタ ブロック キャッシュの値を変更するには、vSphere Client の [システムの詳細設定] ダイアログ ボックスまたは esxcli system settings advanced set -o コマンドを使用します。

esxcli storage vmfs pbcache コマンドを使用して、ポインタ ブロック キャッシュのサイズに関する情報とその他の統計情報を取得できます。この情報は、ポインタ ブロック キャッシュの最小サイズおよび最大サイズを調整する際に役立つため、最大のパフォーマンスを得ることができます。

VMFS ポインタ ブロック キャッシュの情報の取得

VMFS ポインタ ブロック キャッシュの使用量に関する情報を取得できます。この情報は、ポインタ ブロック キャッシュがどの程度の容量を消費するかを理解するのに役立ちます。また、ポインタ ブロック キャッシュの最小サイズと最大サイズを調整する必要があるかどうかを判断することもできます。

前提条件

ESXCLI をインストールします。ESXCLI スタート ガイドを参照してください。トラブルシューティングするには、ESXi Shellesxcli コマンドを実行します。

手順

  • ポインタ ブロック キャッシュ統計情報を取得またはリセットするには、次のコマンドを使用します。
    esxcli storage vmfs pbcache
    オプション 説明
    get VMFS ポインタ ブロック キャッシュ統計情報を取得する。
    reset VMFS ポインタ ブロック キャッシュ統計情報をリセットする。

例: ポインタ ブロック キャッシュの統計情報の取得

#esxcli storage vmfs pbcache get
   Cache Capacity Miss Ratio: 0 %
   Cache Size: 0 MiB
   Cache Size Max: 132 MiB
   Cache Usage: 0 %
   Cache Working Set: 0 TiB
   Cache Working Set Max: 32 TiB
   Vmfs Heap Overhead: 0 KiB
   Vmfs Heap Size: 23 MiB
   Vmfs Heap Size Max: 256 MiB

ポインタ ブロック キャッシュのサイズ変更

ポインタ ブロック キャッシュの最小サイズと最大サイズを調整できます。

注意: 詳細オプションの変更はサポート外とみなされます。通常、デフォルトの設定で最適な結果になります。詳細オプションの変更は、VMware テクニカル サポートまたはナレッジベースの記事から具体的な手順を確認した場合にのみ行います。

手順

  1. ホストに移動して参照します。
  2. [設定] タブをクリックします。
  3. [システム] メニューの [システムの詳細設定] をクリックします。
  4. [システムの詳細設定] から適切な項目を選択します。
    オプション 説明
    VMFS3.MinAddressableSpaceTB VMFS キャッシュでサポートが保証される、開いているすべてのファイルの最小サイズ。
    VMFS3.MaxAddressableSpaceTB VMFS キャッシュでサポートされる、削除が開始されるまでの開いているすべてのファイルの最大サイズ。
  5. [編集] ボタンをクリックして、値を変更します。
  6. [OK] をクリックします。

例: esxcli コマンドを使用してポインタ ブロック キャッシュを変更

esxcli system settings advanced set -o を使用して、ポインタ ブロック キャッシュのサイズを変更することもできます。次の例では、サイズを 128 TB の最大値に設定する方法について説明します。

  1. /VMFS3/MaxAddressableSpaceTB の値を 128 TB に変更するには、次のコマンドを入力します。

    # esxcli system settings advanced set -i 128 -o /VMFS3/MaxAddressableSpaceTB

  2. 値が正しく設定されていることを確認するには、このコマンドを入力します。

    # esxcli system settings advanced list -o /VMFS3/MaxAddressableSpaceTB