vSphere クラスタ サービス (vCLS) はデフォルトで有効で、すべての vSphere クラスタで実行されます。vCLS は、vCenter Server が利用できなくなった場合に、クラスタ内で実行されるワークロードのリソースと健全性を維持するために、クラスタ サービスを引き続き使用できるようにします。DRS と HA を実行するには、vCenter Server が引き続き必要です。

vCLS は、vSphere 7.0 Update 3 にアップグレードするか、vSphere 7.0 Update 3 以降を新規にデプロイすると有効になります。vCLS は、vCenter Server アップグレードの一部としてアップグレードされます。

vCLS は、エージェント仮想マシンを使用してクラスタ サービスの健全性を維持します。ホストをクラスタに追加すると、vCLS エージェント仮想マシン(vCLS 仮想マシン)が作成されます。各 vSphere クラスタでは、最大で 3 台の vCLS 仮想マシンをクラスタ内に分散して実行する必要があります。vCLS は、ホストが 1 台または 2 台のみのクラスタでも有効になります。これらのクラスタでは、vCLS 仮想マシンはそれぞれ 1 台、2 台です。

新しい非アフィニティ ルールが自動的に適用されます。3 分ごとにチェックが実行され、複数の vCLS 仮想マシンが 1 台のホストにある場合、それらの仮想マシンは異なるホストに自動的に再配分されます。

表 1. クラスタ内の vCLS エージェント仮想マシンの数
クラスタ内のホストの数 vCLS エージェント仮想マシンの数
1 1
2 2
3 以上 3

vSphere DRS や vSphere HA などのクラスタ サービスがクラスタで有効になっていない場合でも、すべてのクラスタで vCLS 仮想マシンが実行されます。vCLS 仮想マシンのライフサイクル処理は、ESX Agent Manager やワークロード制御プレーンなどの vCenter Server サービスによって管理されます。vCLS 仮想マシンでは NIC はサポートされていません。

vCLS が有効なクラスタには、vCenter Server と互換性がある ESXi バージョンであれば、異なるバージョンの ESXi ホストを含めることができます。vCLS は、vSphere Lifecycle Manager クラスタと連携します。

vSphere クラスタ サービスの監視

vCLS 仮想マシンによって使用されたリソースと、それらの健全性ステータスを監視できます。

vCLS 仮想マシンは、[ホストおよびクラスタ] タブのインベントリ ツリーに表示されません。データセンター内のすべてのクラスタの vCLS 仮想マシンは、[vCLS] という名前の別の仮想マシンおよびテンプレート フォルダ内に配置されています。このフォルダと vCLS 仮想マシンは、vSphere Client[仮想マシンおよびテンプレート] タブにのみ表示されます。これらの仮想マシンは、通常のワークロード仮想マシンとは異なるアイコンで識別されます。vCLS 仮想マシンの [サマリ] タブで、vCLS 仮想マシンの目的に関する情報を確認できます。

[監視] タブで、vCLS 仮想マシンによって使用されるリソースを監視できます。

表 2. vCLS 仮想マシンのリソース割り当て
プロパティ サイズ
VMDK サイズ 245 MB(シン ディスク)
メモリ 128 MB
CPU 1 vCPU
ハード ディスク 2 GB
データストア上のストレージ 480 MB(シン ディスク)
注: vCLS 仮想マシンごとに、クラスタに 100 MHz、100 MB のキャパシティが予約されています。クラスタ内で実行されている vCLS 仮想マシンの数に応じて、これらの仮想マシンに対して最大 400 MHz、400 MB のキャパシティを予約できます。

クラスタの [サマリ] タブに表示されている [クラスタ サービス] ポートレット内で、vCLS の健全性ステータスを監視できます。

表 3. vCLS の健全性ステータス
ステータス 色分け サマリ
健全 1 台以上の vCLS 仮想マシンが実行されている場合、クラスタ内のホストの数に関係なく、ステータスは健全なままになります。
低下しました 黄色 vCLS 仮想マシンが実行されていない状態が 3 分未満続いた場合、ステータスは低下になります。
非健全 vCLS 仮想マシンが実行されていない状態が 3 分以上続いた場合、DRS 対応クラスタのステータスは非健全になります。

vSphere クラスタ サービスの健全性の維持

vSphere DRS はこれらの仮想マシンの可用性に依存しているため、vCLS 仮想マシンは常にパワーオン状態になります。これらの仮想マシンはシステム仮想マシンとして扱う必要があります。管理者のみが vCLS 仮想マシンで選択的な操作を実行できます。クラスタ サービスの障害を回避するために、vCLS 仮想マシンでは構成や操作を実行しないでください。

vCLS 仮想マシンは、誤って削除されないように保護されています。クラスタ仮想マシンとフォルダは、管理者を含むユーザーが変更できないように保護されています。

管理者 SSO グループのメンバーであるユーザーだけが次の管理操作を実行できます。

  • vCLS 仮想マシンに対する読み取り専用アクセス
  • vCLS 仮想マシンに対するコンソール アクセス
  • コールド移行またはホット移行を使用して、vCLS 仮想マシンを新しいストレージ、コンピューティング リソース、またはその両方に再配置します
  • vCLS 仮想マシンに対するタグとカスタム属性の使用

vCLS 仮想マシンの健全な機能を妨げる可能性のある操作は、次のとおりです。

  • vCLS 仮想マシンの電源状態の変更
  • CPU、メモリ、ディスク サイズ、ディスクの配置など、vCLS 仮想マシンのリソースの再構成
  • 仮想マシンの暗号化
  • vCLS 仮想マシンの vMotion のトリガ
  • BIOS の変更
  • インベントリからの vCLS 仮想マシンの削除
  • ディスクからの vCLS 仮想マシンの削除
  • vCLS 仮想マシンの FT の有効化
  • vCLS 仮想マシンのクローン作成
  • PMem の構成
  • vCLS 仮想マシンを別のフォルダへの移動
  • vCLS 仮想マシンの名前変更
  • vCLS フォルダの名前変更
  • vCLS 仮想マシンでの DRS ルールとオーバーライドの有効化
  • vCLS 仮想マシンでの HA アドミッション コントロール ポリシーの有効化
  • vCLS 仮想マシンでの HA オーバーライドの有効化
  • vCLS 仮想マシンのリソース プールへの移動
  • スナップショットからの vCLS 仮想マシンのリカバリ

vCLS 仮想マシンで中断操作を実行すると、警告ダイアログ ボックスが表示されます。

トラブルシューティング:

電源状態などの vCLS 仮想マシンの健全性は、VMware ESX Agent Manager サービスおよび Workload Control Plane サービスで管理します。vCLS 仮想マシンのパワーオンに失敗した場合、または vCLS 仮想マシンのクォーラム不足のためにクラスタの DRS の最初のインスタンスがスキップされた場合は、クラスタのサマリ ページにバナーが表示され、エラー状態のトラブルシューティングに役立つナレッジベースの記事へのリンクが示されます。

vCLS 仮想マシンはシステム仮想マシンとして扱われるため、これらの仮想マシンをバックアップしたり、スナップショットを作成したりする必要はありません。これらの仮想マシンの健全性の状態は、vCenter Server サービスによって管理されます。