キャパシティ分析は、環境全体でオブジェクトの使用率と残りキャパシティを評価するのに役立ちます。リソースの使用率の履歴を評価することで、今後のワークロードの予測が生成されます。この予測に基づいて、インフラストラクチャの調達または移行を計画して、キャパシティが不足するリスクや高額のインフラストラクチャ コストがかかるリスクを回避できます。
キャパシティ分析では、キャパシティ エンジンを使用して、使用率のピークを含めたトレンド履歴を評価します。エンジンは適切な予測モデルを選択して、今後のワークロードを予測します。考慮される履歴データの量は、使用率履歴データの量によって異なります。
キャパシティ エンジンと計算
キャパシティ エンジンは、使用率の履歴を分析し、デマンド動作に関する業界標準の統計分析モデルに基づいたリアルタイム予測キャパシティ分析を使用して今後のワークロードを予測します。このエンジンは、次の図に示すように、デマンド メトリックと使用可能なキャパシティ メトリックを入力として取り、残り時間、残りキャパシティ、推奨サイズ、および推奨される合計キャパシティの各メトリックを出力として生成します。
キャパシティ エンジンの予測期間は今後 1 年間です。エンジンは、リアルタイムで出力メトリックを計算するために、5 分ごとにデータ ポイントを使用します。
キャパシティ エンジンは、予測される使用率の範囲内で今後のワークロードを予測します。この範囲には、上限予測と下限予測が含まれます。キャパシティの計算は、残り時間のリスク レベルに基づいて行われます。エンジンは、消極的なリスク レベルでは上限予測を考慮し、積極的なリスク レベルでは上限予測と下限予測の平均値を考慮します。リスク レベルの設定の詳細については、キャパシティの詳細を参照してください。
キャパシティ エンジンは、残り時間、残りキャパシティ、推奨サイズ、および推奨される合計キャパシティを計算します。
- 残り時間
- 予測される使用率が、使用可能なキャパシティのしきい値を超えるまでの残り日数。使用可能なキャパシティは、HA 設定を除外した合計キャパシティです。
- 残りキャパシティ
- 使用可能なキャパシティと、現在からの今後 3 日間において予測される使用率との差の最大値。予測される使用率が、使用可能なキャパシティの 100% を上回る場合、残りキャパシティは 0 になります。
- 推奨サイズ
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現在から残り時間の警告しきい値の 30 日後までの予測期間において予測される使用率の最大値。警告しきい値は、残り時間が緑色である期間です。推奨サイズでは HA 設定が除外されます。
残り時間の警告しきい値がデフォルト値の 120 日である場合、推奨サイズは、今後 150 日間において予測される使用率の最大値です。
vRealize Operations Manager では、推奨事項を控えめなものにするために、キャパシティ エンジンで生成される推奨サイズに上限を適用しています。- vRealize Operations Manager オーバーサイジングに対する推奨サイズは、現在割り当てられているリソースの 50% が上限になります。
たとえば、ある仮想マシンが 8 個の vCPU で構成されており、その CPU 使用率が 10% を超えたことが過去になかったとします。この場合、7 個の vCPU の再利用ではなく、上限を適用し、4 個の vCPU を再利用することが推奨されます。
- vRealize Operations Manager では、サイズ不足に対する推奨サイズは、現在割り当てられているリソースの 100% が上限になります。
たとえば、ある仮想マシンが 4 個の vCPU で構成されており、非常に高い使用率での稼動が過去に継続的に行われているとします。この場合、8 個の vCPU の追加ではなく、上限を適用し、4 個の vCPU を追加することが推奨されます。
- vRealize Operations Manager オーバーサイジングに対する推奨サイズは、現在割り当てられているリソースの 50% が上限になります。
- 推奨される合計キャパシティ
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現在から残り時間の警告しきい値の 30 日後までの予測期間において予測される使用率の最大値。推奨される合計キャパシティには HA 設定が含まれます。
たとえば、残り時間の警告しきい値がデフォルト値の 120 日である場合、推奨サイズは、今後 150 日間において予測される使用率の、HA 値を含めた最大値です。
注: 推奨される合計キャパシティはオブジェクトには提供されません。
次の図は、消極的なリスク レベルのキャパシティ計算を示しています。
次の図は、積極的なリスク レベルのキャパシティ計算を示しています。
使用率のピーク
リソースの使用率の履歴には、使用率が最大であったピーク期間が含まれる場合があります。今後のワークロードの予測は、ピークのタイプによって変化します。ピークは、その頻度に応じて、一時的、持続的、または周期的に分類されます。
予測モデル
キャパシティ エンジンは、予測モデルを使用して予測を生成します。エンジンは、予測を継続的に修正し、履歴データのパターンに最も適合するモデルを選択します。予測範囲では、今後のデータ ポイントの 90% をカバーする全般的な使用率パターンを予測します。予測モデルには、線形モデルと周期的モデルがあります。
- 線形モデル
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着実に増加または減少するトレンドを持つモデル。複数の線形モデルが並行して実行され、キャパシティ エンジンが最適なモデルを選択します。
線形モデルの例として、線形回帰と自己回帰移動平均 (ARMA) があります。
- 周期的モデル
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時間、日、週、または月単位や、週または月の最終日などの、さまざまな長さの周期性を検出するモデル。周期的モデルは、バッチ ジョブを表す矩形波を検出します。また、複数のオーバーラップする周期的パターンを含んだデータ ストリームも処理します。ランダム ノイズはこれらのモデルでは無視されます。
周期的モデルには、たとえば、高速フーリエ変換 (FFT)、パルス(エッジ検出)、およびウェーブレットがあります。
履歴データの期間
キャパシティ エンジンは、履歴データの期間に応じた一定の期間において履歴データを取得します。エンジンが使用する履歴データの期間は、指数関数的に減衰する期間です。
この指数関数的に減衰する期間はサイズ無制限の期間で、キャパシティ エンジンは、この期間内のデータ ポイントのうち最新のデータ ポイントをより重視します。エンジンは、予測計算の開始点から始まるすべての履歴データ ポイントを使用し、それらのデータ ポイントが過去にどれだけさかのぼるかに応じて指数関数的に重み付けを行います。