vSphere Replication の使用および構成のベスト プラクティスを実行することで、レプリケーション中に環境内で発生する可能性のある問題を回避することができます。

重要: レプリケーションの構成中は、ソース仮想マシンのハードウェアを変更しないでください。たとえば、レプリケーションの構成を完了する前に、ソース仮想マシンでハード ディスクを追加または削除しないでください。

最適な目標リカバリ ポイント (RPO) 時間の設定

数千の仮想マシンのレプリケーションは帯域幅を使用するプロセスです。vSphere Replication の帯域幅要件に影響を与える多くの要因の 1 つは、レプリケートされた各仮想マシンの RPO の設定です。

RPO は 5 分に設定できますが、レプリケーションのための帯域幅を節約し、仮想マシンを保護するのに必要なビジネス要件を満たすために最適な RPO 時間を見積もる必要があります。

たとえば、ブロックが 1 日に 1 回変更される場合は、RPO の設定に関係なく 1 回のみレプリケートされます。ただし、ブロックが 1 日に何回も変更され、RPO が 30 分などの低い値に設定されている場合、ブロックは 1 日に 48 回レプリケートされることになります。

vSphere Replication は、2 TB を超えるディスクではより大きいブロックを追跡します。2 TB を超えるディスクのレプリケーション パフォーマンスは、変更されたブロックの特定のセットに対するネットワークで通信されるディスク容量に応じて、同じワークロードの 2 TB 未満のディスクのレプリケーション パフォーマンスとは異なる可能性があります。

目的のレプリケーション間隔をサポートするには、システムのデータの取り込み速度を転送するための適切な帯域幅を持つネットワークが必要です。

たとえば、1 TB のデータセットで 1 日あたりの変更率が 1 時間あたり 2 GB、RPO が 1 時間に設定されている場合、vSphere Replication は 1 時間または 4.7 Mbps で 2 GB を転送する必要があります。これは、vSphere Replication 転送を完了するために必要な理論上の最小帯域幅です。

上記の例ではデータ変更率を想定していますが、データ変更率は 1 日を通じて一定ではありません。最小の帯域幅要件を計算するには、シナリオでピーク時のデータ変更率を使用します。

詳細については、vSphere Replication の帯域幅の計算を参照してください。

複数の特定の時点 (MPIT) リカバリの使用

特定の時点のスナップショットはそれぞれストレージを消費します。消費量は仮想マシンにおけるデータ変更の割合によって決まります。2 つの vCenter Server サイト間で仮想マシンのレプリケーションに複数の特定の時点のインスタンスを設定すると、vSphere Replication はリカバリの後に標準的なスナップショットとして保持インスタンスを示します。リカバリ後にスナップショットを統合するのに必要な時間は、スナップショットの数とともに増加します。

たとえば、10 個のリカバリ ポイントを持つレプリケーションを構成すると、ターゲット サイトでのストレージ使用量がソース ディスクの元のサイズの 11 倍に増加することがあります。

vSphere Replication は最大で 24 のリカバリ ポイントをサポートしますが、MPIT はビジネス要件を満たす最小のリカバリ ポイントに設定する必要があります。たとえば、ビジネス要件においてリカバリ ポイントの数が 10 の場合、10 のスナップショットのみを保存するように vSphere Replication をセットアップする必要があります。過去 5 日間に 1 日当たり 2 つのリカバリ ポイントをセットアップすることができます。その結果、消費されるストレージとリカバリ後にスナップショットを統合するための時間は、最大数のリカバリ ポイントを使用する場合よりも少なくなります。

静止の構成

ストレージ I/O のレベルが高い仮想マシンの場合、ファイル システムおよびアプリケーションの静止には数分かかり、仮想マシンのパフォーマンスに影響を及ぼす場合があります。Windows 仮想マシンでファイル システムおよびアプリケーションを静止させる場合、vSphere Replication はレプリケーションの前に通常の仮想マシンスナップショットを必要とします。RPO 時間を見積もる場合は、静止およびスナップショットの統合のための時間およびリソースの消費量を考慮します。たとえば、RPO を 15 分に設定し、静止を有効にして Windows 仮想マシンのレプリケーションを構成すると、vSphere Replication は 15 分ごとに仮想マシンのスナップショットを生成して統合します。

静止オプションは、静止がサポートされている仮想マシンにのみ利用可能です。サポートされるオペレーティング システムの詳細については、『 vSphere Replication 8.8.x 互換性マトリックス』の「ゲスト OS の静止のサポート」セクションを参照してください。
注: vSphere Replication の静止と、同一の仮想マシンに対するバックアップ操作はサポートされていません。

レプリケーション シードの構成

ソース仮想マシンの仮想ディスク ファイルをターゲットの場所にコピーして、それらのファイルをレプリケーション シードとして使用することができます。レプリケーション シードを使用することにより、vSphere Replication は最初の完全同期プロセスに必要な時間とネットワーク帯域幅を低減します。レプリケーションを成功させ、ターゲットの場所にある他の仮想マシンに属するディスク ファイルの意図しない上書きを避けるには、ソースおよびターゲット VMDK の UUID が一致する必要があります。

ターゲット サイトのデータストアの監視

vSphere Replication で仮想マシンをレプリケートするには、ターゲット サイトに十分なディスク領域が必要です。レプリケーション ファイルを保存するのに十分な領域がない場合、レプリケーションは失敗する場合があります。ターゲット サイトに十分なストレージ容量がない場合に警告をするアラームを作成することができます。