クラウド環境では、いくつかのインフラストラクチャの変更が時間、日、週、月単位で行われます。
クラウド環境が拡大するにつれて、これらの変更の監視と管理がますます困難になっています。
ポリシーは、コスト、可用性、セキュリティ、パフォーマンス、使用量など、クラウド インフラストラクチャのさまざまな側面を管理するためのルールのセットです。それぞれの側面について、目的の動作状態を特定し、その状態から逸脱する状況を監視するポリシーを構成できます。状況が変化した場合、ポリシーによってその変化を通知するなどのアクションを実行したり、場合によっては状況を修正したりできます。
ポリシーは、ノイズを排除し、注意が必要なクラウド インフラストラクチャの主要な側面に焦点を当てる効果的な方法です。
ポリシーは、実行できるアクションのタイプによって異なります。
タイプ | 使用するタイミング |
---|---|
標準ポリシー | 広範なインフラストラクチャの変更を通知する E メール通知を取得したり、状況に応じて修正アクションを自動化したりします。 |
適正サイジング ポリシー | 使用率の低下のしきい値を指定して、インスタンスまたはボリュームを適切なサイズに調整します。結果は健全性チェック パルス レポートに表示されます。 |
各ポリシーの中心には、1 つ以上の条件を監視し、オプションでアクションを介して応答するルールがあります。
条件は、(a) コスト、(b) 構成、(c) 使用量、(d) パフォーマンス、および (e) セキュリティのうち、1 つ以上の側面のしきい値を指定します。
条件の構築は、次のように考えることができます。
例:S3 ストレージ GB が 3 日間で 50 GB 以上増加した場合。
ポリシー評価期間は午前 0 時(UTC 時間)に開始および終了します。したがって、評価期間は直近の完全な 1 日をカバーしますが、現在のまだ午前 0 時を過ぎていない日はカバーしません。たとえば、S3 ストレージ GB が 3 日間で 50 GB 増加する状況を監視するポリシーを検討してみましょう。今日が 3 月 15 日の場合、ポリシーは最後の 3 日間(3 月 12 日、13 日、および 14 日)をチェックします。
評価期間中の増加または減少をチェックするときに、ポリシーは評価期間の開始と終了の間の増加または減少の合計値をチェックします。たとえば、AWS 請求明細の合計コストが 30 日間で 20% 以上増加したかを監視するポリシーを検討してみましょう。このポリシーは、評価期間の開始日と終了日の間で総コストが 20% 以上増加しているかどうかを確認します。評価期間の初日の合計コストが $100 で、評価期間の最終日に $130 に増加している場合、合計コストの増加は 20% 以上となり、ポリシーのアクションがトリガされます。
ポリシー アクションは、評価期間全体で測定項目が満たされた場合にのみトリガされることに注意してください。評価期間中のある 1 日で合計コストが 20% 以上増加しても、評価期間の初日と最終日の間の合計コストの増加が 20% 未満の場合は、ポリシー アクションはトリガされません。毎日のコスト アラートを作成するには、評価期間が 1 日の 2 番目のポリシーを作成できます。
アクションは、1 つまたは複数の条件によって設定されたしきい値に違反した場合の対応方法を定義します。次のアクションを実行することができます。
評価期間の結果が前回の評価と同じ場合、アクションは実行されません。
ブロックとは、たとえば機能クラスタ (Cassandra) や部門(エンジニアリング)など、組織の原則に基づいてルールを組み合わせたものです。各ブロックが評価するリソースのタイプを指定できます。ブロックを有効または無効にすることもできます。1 つ以上のブロックがポリシーを構成します。
デフォルトでは、ブロックは毎日 6:00 AM (EST) に評価されます。ブロックに複数のルールが含まれている場合、ブロックの評価は、最初に違反したルールで停止します。ブロック内の後続のすべてのルールの評価は無視されます。
注ポリシーの実行時間を選択する場合、夏時間は考慮されません。夏時間を考慮するには、必要に応じて評価時間を手動で調整します。
ガバナンス アプローチのタイプと用途
実行できるアクションのタイプは VMware Aria Cost ポリシーによって異なります。
ガバナンス アプローチ | タイプ | 使用するタイミング |
---|---|---|
通知とアクション | 標準ポリシー | 広範なインフラストラクチャの変更に関する E メール通知を受け取り、必要な場合は、条件に基づいて自動的に修正アクションが実行されるようにします。 |
適正サイジング | 適正サイジング ポリシー | 使用率の低下のしきい値を指定して、インスタンスまたはボリュームを適切なサイズに調整します。結果は、健全性チェック パルス レポートと適正サイジングレポートに表示されます。 |
指定期間に環境内の 1 つ以上のサービスのコスト増加率が一定の割合を超えた場合にアラートを受け取ります。パースペクティブを使用してビジネス グループを定義することにより、アラートを特定のグループに限定することができます。たとえば、過去 30 日間に本番環境のコストが 10% 増加した場合には常にアラートで通知されるようにすることができます。
VMware Aria Cost プラットフォームがインスタンスまたはボリュームの適正サイジングの機会を見つけた場合にアラートを受け取ります。VMware Aria Cost では、次の変更を監視することができます。
AWS 構成でのみ使用可能です。
変化が激しい分散環境で、サービスに対する不注意な変更や準拠違反の変更によって発生するリスクに関する通知を受け取ります。VMware Aria Cost は、次の機能を提供します。
クラウド インフラストラクチャの変更に関する通知を受け取るだけでなく、特定の条件に基づいてアクションを実行するポリシーを作成することができます。アクションが特定の日時に実行されるように構成することができます。構成できる AWS アクションの例を次に示します。
構成可能な Azure アクションの例を次に示します。
構成できる GCP アクションの例を次に示します。
VMware Aria Cost プラットフォームは、独自に、または承認者が許可した後に、これらのアクションを実行することができます。
組織は、余裕を持たせるため、またはパフォーマンス要件を認識していないため、必要以上のインスタンスをプロビジョニングする傾向があります。そのような過度のプロビジョニングはコストの大幅な増加をもたらします。ボリューム、インスタンス、および仮想マシンの適正サイジングは、コスト削減に役立つ最適化のための手法です。しかし、クラウド インフラストラクチャには動的な性質があるため、そのような最適化を継続的に行うことは容易ではありません。VMware Aria Cost ポリシーを使用すれば、継続的な最適化を自動化し、コストを削減することができます。
VMware Aria Cost は、ボリュームの使用量、読み取りスループット、書き込みスループットを分析し、指定されたパフォーマンスしきい値に基づいて、それらを適正サイジングする必要があるかどうかを判断します。
たとえば、ボリュームがインスタンスに接続されていて、読み取りまたは書き込み操作がほとんど行われていない場合は、そのインスタンスが非アクティブであるか、そのボリュームが不要であるかのどちらかです。
インスタンスの CPU 使用率、メモリ使用率、ディスク使用率、ネットワーク I/O 使用率によって、パフォーマンス要件が満たされているかどうかを判断します。VMware Aria Cost は、これらのメトリックを長期間にわたって監視し、指定されたしきい値からの逸脱を報告します。インスタンスが十分に活用されていない状況はよくあるため、すべてのインスタンスが適正なサイズであることを確認することで、コストを削減できます。
仮想マシンのメモリ、CPU、およびディスクの使用率によって、パフォーマンス要件が満たされているかどうかを判断します。VMware Aria Cost は、個々の仮想マシンのパフォーマンスを評価し、Microsoft が公開しているパフォーマンス仕様と比較します。そのような比較によって、適正サイジング スコアが導き出されます。ユーザーは、このスコアを使用して、コスト削減やパフォーマンス改善のため、仮想マシンのダウングレードまたはアップグレードに関するインテリジェントな決定を行うことができます。
適正サイジングの評価を有効にするには、仮想マシンの診断を有効にするか、VMware Aria Cost Agent をインストールします。さらに、サービス プリンシパルを設定します。
特定の条件が満たされた場合にグループの 1 人または複数のユーザーに通知するポリシーを作成します
ポリシーの一般的な用途は、1 人以上のユーザーにクラウド インフラストラクチャの変更について通知することです。標準ポリシー はこれらの通知を設定する際に役立ちます。
ポリシーには 1 つまたは複数のブロックが含まれており、それぞれに指定した操作条件をチェックする特定のルールが含まれています。
ブロックは、ポリシー内のルールの整理と管理に役立ち、各ブロックは監視するリソースに関連付けられています。ブロックは 1 つ以上のルールを含み、それぞれを有効または無効にすることができます。
ルールは、1 つ以上の条件を監視し、必要に応じてアクションで応答します。ブロックをリソースに関連付けると、デフォルト ルールが作成されます。
ルールの重要度を指定します。
重要度はコンソールに表示され、ルールによって送信される通知メールにも表示されます。条件(「重大」、「警告」など)に対して 2 つの個別の通知を作成する場合は、2 つの個別のブロックを定義します。
ルールには 2 つのセクションがあります。特定の側面への変更を監視する条件と、それらの変更に対応するアクションです。
条件を保存 をクリックします。複数の条件を作成することができ、それぞれの条件は、インフラストラクチャのさまざまな側面のしきい値を指定します。たとえば、1 つの条件では、平均 CPU 使用率が 5% 未満であるかどうか、もう 1 つの条件では、最大 CPU 使用率が少なくとも 1 日間 20% 未満であるかどうかを監視できます。
複数の条件でルールが定義されている場合、両方の条件が満たされている場合のみ通知が送信されます。
1 つ以上の条件が満たされた場合の動作を定義します。アクションを追加 をクリックします。
タイプ | 使用するタイミング |
---|---|
E メール | 個人またはグループに通知します。 |
E メール所有者 | リソースを起動した IAM ユーザーに通知します。IAM ユーザーが VMware Aria Cost ユーザーに接続されていない場合は、関連付けられていない IAM ユーザーを所有しているユーザーに通知します。 |
アクション | 事前に定義された自動化タスクで定義された修正アクションを開始します。 |
1 つのルールで複数の条件を指定できるのと同じように、1 つのポリシー ブロックで複数のルールを定義できます。ルールをドラッグし、順番を変更して整理できます。
例:EC2 の使用率に関するポリシーを設定し、さまざまな条件に基づいて複数のルールを設定できます。
Increase EC2 Instance Size if your EC2 Instance Average CPU is greater than 70% for at least 1 day
という重大な通知。Heavy EC2 CPU Utilization if your EC2 Average CPU is greater than 60% for at least 1 day
という重大な通知。ポリシーに複数のブロックを追加し、ビジネスに合わせた方法でインフラストラクチャを評価できます。複数のブロックを使用すると、同じ資産の複数の側面を測定したり、逆に、異なる資産の同じ側面を測定したりできます。
例:EC2 および RDS インスタンスの使用率を監視する AWS インフラストラクチャのポリシーを検討します。2 つのブロックを含むインスタンス使用率という名前のポリシーを作成できます。最初のブロックの名前は「EC2 使用率」で、リソース タイプは AWS EC2 インスタンスに設定されています。このポリシーには、EC2 インスタンスの平均 CPU 使用率が少なくとも 1 日間 70% を超えるルールと条件を含めることができます。
同じポリシーに 2 番目のブロックを追加して、「RDS 使用率」という名前を付け、そのリソース タイプを AWS RDS インスタンスに設定できます。おそらく、RDS インスタンスを 70% 以下で実行したいと思います。それらのインスタンスのしきい値を 60% に設定できます。
このマルチブロック構造を使用すると、同じポリシーの一部である別々の基準を使用して 2 つの異なる資産を測定できます。
ポリシーを保存 をクリックします。セットアップ > ガバナンス > ポリシー ページにポリシーが表示されます。
このページでは、ポリシーを選択してポリシー違反を表示したり、ポリシーを編集したり、ポリシーを複製したり、ポリシーを削除したりできます。
ポリシーを使用して、インスタンスの開始と停止を含む特定のルールを設定することで、環境を最適化します。標準ポリシーを作成してこのアクションを自動化し、必要に応じてポリシーがトリガされたときに E メールを送信します。
ポリシーを使用して、リソースの開始と停止を含む特定のルールを設定することで、環境を最適化できます。標準ポリシーを作成してこのアクションを自動化し、必要に応じてポリシーがトリガされたときに E メールを送信します。
VMware Aria Cost で環境内のリソースを開始または停止するには、特定の権限が必要です。このセクションでは、各クラウド プロバイダに必要な権限について説明します。
次のように、VMware Aria Cost がインスタンスを開始および停止できるように AWS IAM ロールを構成します。
次のようにカスタム ロールを各 Azure サービス プリンシパルに関連付けて、VMware Aria Cost が仮想マシンを起動および停止できるようにします。
詳細については、アクションを使用した Azure 仮想マシン管理の自動化を参照してください。
Google コンソールで compute.instances.stop
と compute.instances.start
の権限を適用します。これらの権限は、次のいずれかの方法で追加できます。
現在、AWS EC2 インスタンス、AWS RDS インスタンス、GCP コンピューティング インスタンス、Azure 仮想マシン のみが、ポリシーを使用して開始または停止できるリソース タイプです。
VMware Aria Cost プラットフォームでポリシーのステータスを確認するには、ダッシュボード> 通知 > アクション の順に移動し、表示アイコンをクリックします。アクションのステータスは次のとおりです。
E メール通知の送信を選択すると、ポリシー アクションが開始されてから 40 分後に、成功または失敗したリソースの ID が E メールで送信されます。失敗した場合にのみ通知を受け取るように選択すると、失敗したアクションがない場合、E メールは送信されません。
次に、GCP コンピューティング インスタンスの開始アクションが正常に実行された例を示します。
特定の条件が満たされた場合に特定のビジネス グループに通知するポリシーを作成します
クラウド環境の規模を拡大すると、組織全体の関係者は、多種多様のインフラストラクチャ サービス、資産、およびリソースにわたって分析、測定、およびレポート作成を行うことができます。最高財務責任者 (CFO) は部門またはコスト センターによる評価を、COO は環境または製品およびサービスによる評価を、またエンジニアリング部門は機能による評価を行うことができます。VMware Aria Cost パースペクティブでは、組織内のビジネス グループに基づいてクラウド インフラストラクチャで資産を分類するためのフレームワークが提供されるため、このプロセスが簡素化されます。
各ブロックと、VMware Aria Cost パースペクティブで定義したビジネス グループとを関連付けることにより、ポリシー内にパースペクティブを導入することができます。これにより、組織内で特定のビジネス グループに関連したポリシーを開発できるようになります。また、このアプローチにより、あるポリシー内の各ブロックが特定のクラウド資産に対して必ず 1 回だけ評価されるようになります。
$500
を超えると、重要度が重大である警告が通知として送信されます。特定の条件が満たされた場合にワークスペースに Slack メッセージを送信するポリシーを作成します
この機能は、プライベート ベータ版です。この機能を有効にする場合は、サポート チーム [email protected] にお問い合わせください。
Slack は、組織にデジタル ワークスペースを提供するためのツールです。Slack では、チーム間でのコミュニケーション、プロジェクトでのコラボレーション、ボットを使用したワークフローの自動化を行うことができます。VMware Aria Cost プラットフォームのコンテキストでは、Slack を使用して、ポリシー アクションを介してワークフローを駆動および作成できます。