VMware Cloud Director Availability のクラウド デプロイ アーキテクチャは、2 つのサイト間の対称レプリケーション操作に依存します。1 つの VMware Cloud Director™ サイトに複数の VMware Cloud Director Availability インスタンスをデプロイすると、個別のサイトを表す複数のプロバイダ仮想データセンター (VDC) にきめ細かくアクセスできます。

テストおよび開発のデプロイ

テストまたは開発用の VMware Cloud Director サイトで、最小限のデプロイを実行します。テスト クラウド サイトでは、1 つの Cloud Director Combined ApplianceVMware Cloud Director Availability の 4 つの主要なサービスをすべて実行します。
  • Tunnel Service
  • Manager Service
  • Cloud Service
  • および Replicator Service

両方のクラウド サイトの統合クラウド レプリケーション アプライアンス。

図の説明:
  • 2 つの Cloud Director Combined Appliance インスタンス内の色の付いたコンポーネントは、2 台のアプライアンスのインストールおよび初期構成中にデプロイされる VMware Cloud Director Availability サービスを表します。
  • 各コンポーネントは、管理するレプリケーションの方向を示す色が付いています。たとえば、クラウド サイト 1 からクラウド サイト 2 への保護された組織 VDC B の vApp と VM 2 は、クラウド サイト 2 の Replicator Service を使用します。
  • 各レプリケーションはそのターゲット サイトに配置されます。たとえば、クラウド サイト 1 からクラウド サイト 2 への保護は、クラウド サイト 2 に配置されます。
  • 色の付いていないコンポーネントは、2 つの VMware Cloud Director サイト内の既存のコンポーネントを表します。

本番環境のデプロイ

本番環境の VMware Cloud Director サイトでは、1 つ以上の VMware Cloud Director Availability インスタンスをデプロイして構成します。単一の VMware Cloud Director Availability インスタンスは、3 つ以上の専用アプライアンスで実行される次のサービスで構成されます。

両方のクラウド サイトの専用クラウド レプリケーション アプライアンス。

サービス間およびサイト間のネットワーク接続の詳細については、「Cloud Director サイトのネットワーク要件と前提条件」を参照してください。VMware Cloud Director Availability の各サービスの詳細については、「サービス」を参照してください。

VMware Cloud Director での複数の VMware Cloud Director Availability インスタンスのデプロイ

本番環境のクラウド サイトでは、1 つの VMware Cloud Director インスタンスにあるプロバイダ VDC に分散された、1 つまたは複数の VMware Cloud Director Availability インスタンスをデプロイできます。
  • VMware Cloud Director Availability では、各プロバイダ VDC はクラウド サイトを表します。各 VMware Cloud Director Availability インスタンスでは、サービス プロバイダはそのインスタンスのアクセス可能なプロバイダ VDC を制御します。
    注: 単一の VMware Cloud Director Availability インスタンスで各プロバイダ VDC を管理する必要があります。

    複数の VMware Cloud Director Availability インスタンスによって管理される重複するプロバイダ VDC が存在してはなりません。

  • 1 つの VMware Cloud Director インスタンスが、レプリケーション ソースまたはレプリケーション ターゲットの両方について、すべての VMware Cloud Director Availability インスタンスを管理します。各 VMware Cloud Director Availability インスタンスは、VMware Cloud Director 内のローカル サイト名を使用してプラグインとして登録されます。
  • VMware Cloud Director Availability インスタンスは、1 つのシングル サインオン (SSO) ドメインの 1 つの vCenter Server Lookup service に接続し、プロバイダ VDC の一部である組織のすべての組織 VDC にアクセスできます。
複数の可用性インスタンス。それぞれが異なる Lookup Service の複数のプロバイダ VDC を持つ異なる SSO ドメインを担当します。
  • SSO ドメイン 1 では、VMware Cloud Director Availability インスタンス 1 は vCenter Server Lookup service 1 に接続し、それぞれプロバイダ VDC A と B の一部である組織 X と Y の組織 VDC にアクセスできます。
  • SSO ドメイン 2 では、VMware Cloud Director Availability インスタンス 2 は vCenter Server Lookup service 2 に接続し、プロバイダ VDC C の一部である組織 X および Y の組織 VDC、およびプロバイダ VDC D の一部である組織 X の組織 VDC にアクセスできます。
  • SSO ドメイン N では、VMware Cloud Director Availability インスタンス N は vCenter Server Lookup service N に接続し、プロバイダ VDC N の一部である組織 Z の組織 VDC にアクセスできます。

2 つのアクティブ/アクティブ Tunnel Appliance インスタンスのデプロイ

TCP ロード バランサは、トラフィックを Tunnel Appliance 1 または 2 に送信し、そこからさらに他のアプライアンスに送信されます。

上の図では、方向に応じて 3 つのネットワーク トラフィック フローの例が次のようにマークされています。
  • 受信方向(緑):
    1、1'、1''/2、2'、2''/3、3'、3''。
  • 送信方向(青):
    a、a'、a'、/b、b'、b''/c、c'、c''。
高可用性を実現するため、 Tunnel Service は、TLS 終端も TLS 検査も行わず、プロバイダが構成したロード バランサの背後でアクティブ/アクティブ モードをサポートします。つまり、2 つの独立した Tunnel Service インスタンスが 2 つの別個の Tunnel Appliance インスタンスで実行され、 VMware Cloud Director Availability との間のネットワーク トラフィックを処理します。ロード バランサはそれらの間でトラフィックを分散し、一方の Tunnel Service に障害が発生したり使用できなくなったりした場合でも、もう一方が常にアクセスを受け付け、応答できるようにします。

ラウンド ロビン アルゴリズムにより、ロード バランサは、SSL トラフィックを終了したり検査することなくアクティブ/アクティブの両方の Tunnel Appliance インスタンスにトラフィックを分散できるため、片方で障害や過負荷が発生してもその影響を回避して、Tunnel Service の可用性とパフォーマンスを向上します。各 Tunnel Service は、VMware Cloud Director Availability ネットワーク トラフィックの入力方向と出力方向の両方のポイントとして機能します。ロード バランサの背後で構成された両方の Tunnel Service インスタンスは同時実行し、ロード バランサから受信要求を受け取ると、VMware Cloud Director Availability の残りのサービスに転送し、残りのサービスからの送信応答をロード バランサに送り返します。サービスと TLS 終端間の接続の詳細については、「VMware Cloud Director Availability サービスの接続」を参照してください。

この構成では、1 つの Tunnel Appliance で障害が発生しても、もう一方でネットワーク要求の処理を続行できます。また、2 つの Tunnel Appliance インスタンスを使用して、VMware Cloud Director Availability との間で送受信するすべてのネットワーク トラフィック用に 2 つの独立したポイントを使うことで、ディザスタ リカバリ環境のネットワーク スケーラビリティとキャパシティを向上することもできます。

Cloud Director サイトで VMware Cloud Director Availability を構成した後は、2 つ目の Tunnel Service を構成できます。既存のインストールとアップグレードされたインストールの両方について、同じ手順を実行することもできます。Tunnel Appliance 用のアクティブ/アクティブ モードの構成に関する詳細については、「Cloud Director サイトへの HA 用の 2 つ目の Tunnel Appliance の追加」を参照してください。