マルチサイト VMware Cloud Director アーキテクチャ内、およびマルチリージョン アーキテクチャ内で VMware Cloud Director Object Storage Extension を展開して構成することができます。

マルチサイトの展開

サイトとは、スタンドアローンの物理的場所内で実行される VMware Cloud Director インスタンスを指します。VMware Cloud Director マルチサイト機能を使用すると、地理的に分散した複数の VMware Cloud Director インストール(サーバ グループ)を所有するサービス プロバイダまたはテナントが、これらのインストールおよび組織を単一エンティティとして管理および監視できます。

マルチサイト アーキテクチャ内で VMware Cloud Director Object Storage Extension を構成することで、テナント ユーザーはリモート サイトのオブジェクトをプレビューおよびダウンロードできるようになります。

マルチサイト機能を使用することで、高可用性を実現し、組織ユーザーに対して単一のデータ アクセス ポイントを提供できます。

マルチリージョンの展開

リージョンとは、一意の S3 API エンドポイントを持つ、スタンドアローンの物理的場所内で実行されるオブジェクト ストレージ クラスタを指します。VMware Cloud Director Object Storage Extension マルチリージョン機能を使用すると、クラウド プロバイダは、オブジェクト ストレージ クラスタの複数のリージョンを単一の VMware Cloud Director サイトまたは複数の VMware Cloud Director サイトの中央の管理プレーンにグループ化できます。

マルチリージョン オブジェクト ストレージ クラスタをグループ化することで、特定のテナント組織の S3 リージョンを有効にできます。テナント ユーザーは、マルチリージョン内にバケットを作成できます。

VMware Cloud Director Object Storage Extension 2.2 は、Cloudian プラットフォームでマルチリージョン機能をサポートします。

マルチサイト トポロジとマルチリージョン トポロジ

マルチサイト VMware Cloud Director インスタンスは、次の構成内でマルチリージョン オブジェクト ストレージ クラスタを使用して構成できます。
  • マルチサイトの単一リージョン トポロジ
  • 単一サイトのマルチリージョン トポロジ
  • マルチサイトのマルチリージョン トポロジ

マルチサイトの単一リージョン トポロジ

マルチサイト アーキテクチャでは、各サイトのスタンドアローンの仮想データセンターを使用して VMware Cloud Director Object Storage Extension のインスタンスを構成できます。次の図は、そのアーキテクチャを示しています。

VMware Cloud Director Object Storage Extension マルチサイト インスタンスが、それぞれのサイトに属する仮想データセンターを使用する構成。

複数のサイトの VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスを、単一の仮想データセンターを使用するように構成することもできます。次の図は、そのアーキテクチャを示しています。

VMware Cloud Director Object Storage Extension マルチサイト インスタンスが単一の仮想データセンターを使用する構成。

マルチサイト機能を構成する場合は、複数の VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスからなるクラスタを作成して、アベイラビリティ ゾーンを作成します。VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスは、単一のリージョンでのみグループ化できます。リージョンとは、ある地理的な領域内のコンピューティング リソースの集まりのことです。リージョンは分離されており、互いに独立しています。VMware Cloud Director Object Storage Extension はマルチリージョンのアーキテクチャをサポートしていません。

マルチサイト環境内では、テナント組織間で同じバケットとオブジェクトを共有できます。バケットとオブジェクトをサイト間で共有するには、すべてのテナント組織を同じストレージ グループにマッピングします。「テナント マッピング構成の編集」を参照してください。

VMware Cloud Director Object Storage Extension のマルチサイト デプロイの要件

VMware Cloud Director Object Storage Extension を使用してマルチサイト機能を構成する場合は、次の要件を考慮してください。
  • マルチサイト環境で使用する VMware Cloud Director サイトを関連付けます。詳細については、『VMware Cloud Director Service Provider Admin Portal ガイド』を参照してください。
  • 各サイトに VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスをデプロイして構成します。
  • ストレージ プラットフォーム クラスタはサイト間で共有できます。また、各サイトで必要なすべてのストレージ コンポーネントをデプロイして構成することもできます。
  • ストレージ クラスタを分散グループに追加します。

    Cloudian HyperStore の場合は、マルチ DC データ分散グループを使用してストレージ ポリシーを設定します。

    ECS の場合は、仮想データセンター全体でレプリケーション グループを設定します。

  • AWS S3 の場合は、同じ AWS 支払者アカウントを使用して VMware Cloud Director Object Storage Extension を構成します。また、すべての VMware Cloud Director Object Storage Extension サイトが同じリージョン内の AWS S3 エンドポイントで構成されていることを確認します。

単一サイトのマルチリージョン トポロジ

マルチリージョン オブジェクト ストレージ クラスタを展開する場合は、各オブジェクト ストレージ クラスタに 1 台の VMware Cloud Director Object Storage Extension サーバを展開できます。複数の VMware Cloud Director Object Storage Extension サーバを同じ VMware Cloud Director サイトに接続できます。次の図は、そのアーキテクチャを示しています。

単一サイトの VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスが複数のリージョンを使用する構成を示す図。

マルチサイトのマルチリージョン トポロジ

マルチリージョン オブジェクト ストレージ クラスタを展開する場合は、マルチリージョン オブジェクト ストレージをマルチサイトの VMware Cloud Director インスタンスに関連付けることができます。各オブジェクト ストレージ クラスタに 1 台の VMware Cloud Director Object Storage Extension サーバを展開できます。VMware Cloud Director Object Storage Extension サーバはマルチサイトの VMware Cloud Director Object Storage Extension に接続します。テナント ユーザーは、ローカル サイトとリモート サイトの両方で、マルチサイトの VMware Cloud Director トポロジを持つマルチリージョン オブジェクト ストレージを使用できます。次の図は、そのアーキテクチャを示しています。

マルチサイトの VMware Cloud Director Object Storage Extension インスタンスが複数のリージョンを使用する構成を示す図。