VMware Cloud Director 9.7 以降では、システム管理者は Flex 割り当てモデルを使用して組織仮想データセンター (VDC) を作成できます。システム管理者は Flex 割り当てと仮想マシン サイジング ポリシーを組み合わせて、VDC レベルと個々の仮想マシン (VM) レベルの両方で CPU および RAM の使用量を制御できます。Flex 割り当てモデルは、既存の割り当てモデルで使用可能なすべての割り当て設定をサポートします。

VMware Cloud Director 10.0 以降では、Flex 以外のすべての組織 VDC を Flex VDC に変換できます。

Flex 組織 VDC を作成する場合、 システム管理者は組織 VDC の次のパラメータを制御します。
パラメータ 説明
Elasticity 柔軟性のあるプール機能を有効または無効にします。
Include VM Memory Overhead この VDC でメモリのオーバーヘッドを追加または除外します。true に設定すると、すべてのパワーオン状態の仮想マシンのメモリのオーバーヘッドも VDC の使用可能な容量から取得されるため、VDC のすべての容量を使用できなくなる可能性があります。false に設定すると、メモリのオーバーヘッドは、VDC の割り当て済み容量からではなく、プロバイダ VDC から取得されます。
CPU allocation この VDC に割り当てられている CPU の量(MHz または GHz)。CPU 割り当てによって VDC の CPU キャパシティが定義されます。VDC で実行されるすべての仮想マシンが使用する CPU の合計が、この値を超えないようにする必要があります。
CPU limit

CPU 制限によって VDC の CPU クォータが定義されます。ほとんどの場合、CPU 制限は VDC の割り当て済み CPU キャパシティと同じです。

従量課金制モデルなどの場合は、VDC に CPU を割り当てることが許可されないこともあります。その場合は、CPU 割り当てをゼロに設定し、CPU 制限をゼロ以外の値に設定することにより、全体的な CPU 使用量に対する割り当てを設定する必要があります。

この設定を使用して、無制限の CPU 割り当てを許可することもできます。無制限に設定すると、vCenter Server の VDC のバッキング リソース プールに CPU が無制限に与えられます。

CPU resources guaranteed VDC 用に物理的に予約されている CPU 割り当ての割合。
vCPU speed VDC 内の仮想マシンのデフォルト vCPU 速度。
Memory allocation この VDC に割り当てられているメモリの容量(MB または GB)。このパラメータにより、VDC の合計メモリ容量が定義されます。VDC で実行されるすべての仮想マシンに割り当てられる合計メモリが、この値を超えないようにする必要があります。
Memory limit

この VDC の最大メモリ容量 (MB または GB)。多くの場合、メモリ制限はメモリ割り当てと同じになります。柔軟性のない VDC では、VMware Cloud Director はこの量を、vCenter Server でこの VDC をバッキングするリソース プールのメモリ制限として使用します。柔軟性のある VDC では、VMware Cloud Director はこの量をすべてのリソース プールに分散し、リソース プールのメモリ制限として適用します。

メモリ予約が 100% の VDC を作成し、Include VM Memory Overhead 設定を false にしている場合は、メモリ制限をメモリ割り当てよりも高くする必要があります。この場合、メモリ制限をメモリ割り当てと同じにすると、一部の仮想マシンがパワーオンしない可能性があります。これは、vCenter Server では、リソース プールの合計メモリ要件がメモリ制限で設定された値を超えることが許可されないためです。

Memory resources guaranteed VDC 用に物理的に予約されているメモリ割り当ての割合。
Maximum number of VMs VDC 内の仮想マシンの最大数。

VMware Cloud Director システム管理者は、Flex 組織 VDC の柔軟性の有効/無効を設定できます。Flex 組織仮想データセンターで柔軟性のあるプール機能が有効になっていると、組織仮想データセンターは、そのプロバイダ仮想データセンターに関連付けられているすべてのリソース プールにわたり、それらを使用します。VMware Cloud Director 9.7 で柔軟性のない組織 VDC を柔軟性のある組織 VDC に変換した場合、同じ組織 VDC を柔軟性なしに変換し直すことはできません。

Flex 割り当てモデルは、他の割り当てモデルのような制約を受けずに、仮想マシン サイジング ポリシーの機能をサポートします。Flex 割り当てモデルでは、仮想マシン コンピューティング リソースの割り当ては仮想マシン サイジング ポリシーによって決まります。組織 VDC の仮想マシン サイジング ポリシーを定義しない場合、コンピューティング リソースの割り当ては組織 VDC の割り当てモデルによって決まります。Flex 割り当てモデルと組織仮想マシン サイジング ポリシーの組み合わせを使用すると、単一の組織 VDC で、他のすべての割り当てモデルに共通の設定を使用する仮想マシンに対応することができます。詳細については、仮想マシン サイジング ポリシー、仮想マシン配置ポリシー、および vGPU ポリシーについてを参照してください。

Flex 組織 VDC を作成するには、VMware Cloud Director Service Provider Admin Portal または VMware Cloud Director API を使用します。VMware Cloud Director API の詳細については、「VMware Cloud Director API プログラミング ガイド」を参照してください。