VMware Cloud Director データベースにフェイルオーバー機能を提供するデータベース HA クラスタを使用して、VMware Cloud Director アプライアンス環境を作成できます。
VMware Cloud Director アプライアンスには、組み込みの PostgreSQL データベースが含まれています。組み込みの PostgreSQL データベースには、PostgreSQL サーバのクラスタに高可用性 (HA) 機能を提供する Replication Manager (repmgr) ツール スイートが含まれています。
VMware Cloud Director アプライアンスは、プライマリ セル、スタンバイ セル、または VMware Cloud Director アプリケーション セルとしてデプロイできます。vSphere Client を使用した VMware Cloud Director アプライアンスのデプロイ、VMware OVF Tool を使用した VMware Cloud Director アプライアンスのデプロイ、または#GUID-D35B3629-FCA2-40A6-8009-1A6CF8120F30を参照してください。
VMware Cloud Director データベースに HA を構成するには、サーバ グループを作成するときに、VMware Cloud Director アプライアンスのプライマリ インスタンスを 1 つ、スタンバイ インスタンスを 2 つデプロイして、データベース HA クラスタを構成します。サーバ グループを水平方向に拡張するには、アプリケーション セルをさらにデプロイします。VMware Cloud Director アプライアンス データベース HA クラスタ図を参照してください。
データベース HA 構成を含む VMware Cloud Director アプライアンス環境の作成
- VMware Cloud Director アプライアンスをプライマリ セルとしてデプロイします。
プライマリ セルは、VMware Cloud Director サーバ グループの最初のメンバーです。組み込みデータベースは、VMware Cloud Director データベースとして設定されます。データベース名は
vcloud
、データベース ユーザーはvcloud
です。 - プライマリ セルが実行中であることを確認します。
- VMware Cloud Director サービスの健全性を確認するには、システム管理者の認証情報を使用して、https://primary_eth0_ip_address/provider にある VMware Cloud Director Service Provider Admin Portal にログインします。
- PostgreSQL データベースの健全性を確認するには、https://primary_eth1_ip_address:5480 にあるアプライアンス管理ユーザー インターフェイスに root としてログインします。
プライマリ ノードのステータスが実行中になっている必要があります。
- VMware Cloud Director アプライアンスの 2 つのインスタンスをスタンバイ セルとしてデプロイします。
組み込みデータベースは、プライマリ データベースを使用してレプリケーション モードで設定されます。
注: スタンバイ アプライアンスを最初にデプロイした後、Replication Manager はプライマリ アプライアンス データベースと自身のデータベースの同期を開始します。この期間中、 VMware Cloud Director データベースは使用できないため、 VMware Cloud Director のユーザー インターフェイスも使用できません。 - HA クラスタ内のすべてのセルが実行中になっていることを確認します。
VMware Cloud Director アプライアンス クラスタの健全性とフェイルオーバー モードの表示を参照してください。
- (オプション)VMware Cloud Director アプリケーション セルとして、VMware Cloud Director アプライアンスのインスタンスを 1 つ以上デプロイします。
組み込みデータベースは使用されません。VMware Cloud Director アプリケーション セルは、プライマリ データベースに接続されます。
Automatic
に設定する必要があります。「
VMware Cloud Director アプライアンス API」を参照してください。新しいセルのデフォルトのフェイルオーバー モードは
Manual
です。クラスタのノード間でフェイルオーバー モードが不整合な状態の場合は、クラスタのフェイルオーバー モードは
Indeterminate
です。
Indeterminate
モードでは、元のプライマリ セルをフォローするノード間でクラスタの状態が不整合になる可能性があります。クラスタのフェイルオーバー モードを表示するには、
VMware Cloud Director アプライアンス クラスタの健全性とフェイルオーバー モードの表示を参照してください。
データベース HA 構成を含まない VMware Cloud Director アプライアンス環境の作成
- VMware Cloud Director アプライアンスをプライマリ セルとしてデプロイします。
プライマリ セルは、VMware Cloud Director サーバ グループの最初のメンバーです。組み込みデータベースは、VMware Cloud Director データベースとして設定されます。データベース名は
vcloud
、データベース ユーザーはvcloud
です。 - プライマリ セルが実行中であることを確認します。
- VMware Cloud Director サービスの健全性を確認するには、システム管理者の認証情報を使用して、https://primary_eth0_ip_address/provider にある VMware Cloud Director Service Provider Admin Portal にログインします。
- PostgreSQL データベースの健全性を確認するには、https://primary_eth1_ip_address:5480 にあるアプライアンス管理ユーザー インターフェイスに root としてログインします。
プライマリ ノードのステータスが実行中になっている必要があります。
- (オプション)VMware Cloud Director アプリケーション セルとして、VMware Cloud Director アプライアンスのインスタンスを 1 つ以上デプロイします。
組み込みデータベースは使用されません。VMware Cloud Director アプリケーション セルは、プライマリ データベースに接続されます。
VMware Cloud Director アプライアンスの自動フェイルオーバー
プライマリ データベース サービスに障害が発生した場合は、VMware Cloud Director を有効にして、新しいプライマリへの自動フェイルオーバーを実行できます。
自動フェイルオーバーによって、プライマリ データベース サービスが何らかの理由で機能できない場合に、管理者がフェイルオーバー アクションを開始する必要がなくなります。デフォルトでは、フェイルオーバー モードは手動に設定されています。フェイルオーバー モードは、VMware Cloud Director アプライアンス API を使用して、自動または手動に設定できます。『VMware Cloud Director アプライアンス API スキーマ リファレンス』を参照してください。
Automatic
に設定する必要があります。「
VMware Cloud Director アプライアンス API」を参照してください。新しいセルのデフォルトのフェイルオーバー モードは
Manual
です。クラスタのノード間でフェイルオーバー モードが不整合な状態の場合は、クラスタのフェイルオーバー モードは
Indeterminate
です。
Indeterminate
モードでは、元のプライマリ セルをフォローするノード間でクラスタの状態が不整合になる可能性があります。クラスタのフェイルオーバー モードを表示するには、
VMware Cloud Director アプライアンス クラスタの健全性とフェイルオーバー モードの表示を参照してください。
環境内に 2 つ以上のアクティブなスタンバイ セルがある場合、プライマリ データベースに障害が発生すると、データベースのフェイルオーバーが自動的に開始されます。フェイルオーバー後に、新しいプライマリ データベースが更新できるようになるには、1 つ以上のアクティブなスタンバイが必要です。通常の状況では、VMware Cloud Director アプライアンスのデプロイには、常に 2 つ以上のアクティブなスタンバイが必要です。たとえば、プライマリの障害やいずれかのスタンバイの昇格などのため、短期間、アクティブなスタンバイが 1 つのみの場合は、障害が発生した古いプライマリを速やかに新しいスタンバイに置き換える必要があります。
アクティブなプライマリと 2 つ以上のアクティブなスタンバイ セルがある場合、クラスタは Healthy
状態であると見なされます。アクティブなプライマリと 1 つのみのアクティブなスタンバイが存在する場合、クラスタは Degraded
状態です。クラスタが Degraded
状態のときに別のデータベース障害が発生した場合は、別のスタンバイがオンラインになるまで、プライマリを更新できません。プライマリ データベースが更新できない場合、VMware Cloud Director は使用できません。これは、プライマリ データベースからのストリーミング複製を処理するための 1 つ以上のアクティブなスタンバイが存在するようになるまで、VMware Cloud Director セルがデータベースを更新できないためです。Healthy
と Degraded
のクラスタの概念は、有効にするフェイルオーバーが手動の場合も自動の場合も同じです。
プライマリ データベースに障害が発生すると、プライマリの状態は No_Active_Primary
になります。VMware Cloud Director アプライアンスを手動でフェイルオーバーする場合、管理者は手動でスタンバイをプライマリに昇格させ、障害が発生したプライマリをスタンバイとして再デプロイする必要があります。アプライアンスを自動でフェイルオーバーする場合、VMware Cloud Director は自動的にスタンバイをプライマリに昇格させます。障害が発生したプライマリは、管理者がスタンバイとして手動で再デプロイする必要があります。
機能を停止した VMware Cloud Director プライマリ セルの自動フェンス
プライマリ セルに障害が発生した後に新しいプライマリ セルが昇格された場合、VMware Cloud Director は元のプライマリが再起動しないよう自動的にフェンスします。
フェイルオーバーの場合、障害のあるプライマリ データベースが新しいプライマリ セルの昇格後に再起動すると、VMware Cloud Director は元のプライマリを自動的にフェンスします。この自動処理により、2 つのアクティブなデータベースが相互に分断される可能性があるスプリットブレイン シンドロームを回避します。フェンスの自動処理により、元のプライマリ ノード上の vpostgres
サービスは停止され、無効にされます。その後、障害のあるプライマリをスタンバイ セルとして再デプロイし、クラスタの健全性を Healthy
にリストアできます。
クラスタの健全性ステータスおよびフェイルオーバー モードの表示の詳細については、VMware Cloud Director アプライアンス クラスタの健全性とフェイルオーバー モードの表示を参照してください。