単一の vCenter Server インスタンスで多くの仮想マシンを管理する前に、以下の検討事項を考慮する必要があります。

  • 会社のメンテナンス時間の長さ
  • VMware Horizon コンポーネント失敗の許容量
  • 電源、プロビジョニング、および修理作業の頻度
  • インフラストラクチャの簡素化

メンテナンス時間の長さ

仮想マシンの電源、プロビジョニング、およびメンテナンス操作数の同時操作設定は、vCenter Server インスタンスごとに決定されます。

1 つの vCenter Server インスタンスを持つポッドの設計 並行設定は、Horizon ポッド全体で同時にキューに入る操作数を決定します。

たとえば、同時実行するプロビジョニング操作を 20 に設定し、ポッドにある vCenter Server インスタンスが 1 つのみの場合、20 を超えるデスクトップ プールではプロビジョニング操作が連続操作になります。20 の同時操作をキューに入れた後、ひとつの操作は次を開始する前に完了する必要があります。大規模な VMware Horizon 展開では、このプロビジョニング操作に時間がかかります。

複数の vCenter Server インスタンスを持つポッドの設計 各インスタンスは 20 の仮想マシンを同時にプロビジョニングできます。

1 つのメンテナンス期間内で同時に多くの操作を確実に完了するには、ポッドに複数の vCenter Server インスタンス(最大 5)を追加し、 各 vCenter Server インスタンスが管理する vSphere クラスタに複数のデスクトップ プールを展開できます。vSphere クラスタを管理できるのは、1 度に 1 つの vCenter Server インスタンスのみです。vCenter Server インスタンス間で同時操作を行うには、デスクトップ プールを展開する必要があります。

コンポーネント失敗の許容量

Horizon ポッドの vCenter Server の役割は、電源、プロビジョニング、および修理(リフレッシュ、再構成、および再分散)操作を提供することです。仮想マシン デスクトップを展開して電源を入れると、VMware Horizon は通常の操作コースでは vCenter Server に依存しません。

vSphere クラスタは 1 つの vCenter Server インスタンスによって管理される必要があるため、このサーバはどのVMware Horizon 設計においても、単一点障害を表しています。

重要: これらのフェイルオーバー戦略のいずれかを使用するには、 vCenter Server インスタンスを vCenter Server インスタンスが管理するクラスタの一部となる仮想マシンにインストールしないでください。

vCenter Server フェイルオーバー用にこれらを自動化するオプションに加えて、問題が発生したサーバを新しい仮想マシンや物理サーバに再構築することを選択することもできます。重要な情報の多くは、vCenter Server データベースに格納されています。

リスク許容度は、ポッド設計で vCenter Serverインスタンスを 1 つ使用するか、複数使用するかを決定する上で大切な要素です。すべてのデスクトップの電源および修理を同時に行うなどのデスクトップ管理作業を実行する能力が必要である場合、複数の vCenter Server インスタンスを展開することによって、同時に停止するデスクトップの影響が広がらないようにすべきです。管理操作やプロビジョニング操作のためにデスクトップ環境を長期間に渡って使用できなくても許容できる場合や、手動の再構築プロセスを使用することを選択する場合は、ポッドに単一の vCenter Server インスタンスを展開できます。

電源、プロビジョニング、および修理作業の頻度

特定の仮想マシン デスクトップの電源、プロビジョニング、および修理作業は、管理者によってのみ開始され、通常は予測可能かつ制御可能で、あらかじめ決めたメンテナンス時間に限定できます。その他の仮想マシン デスクトップの電源および修理作業は、ログオフのリフレッシュまたはログオフのサスペンド設定を使用してユーザーによって起動され、またはアイドル状態の ESXi ホストをパワーオフするためにユーザーが介入しない時間帯に Distributed Power Management (DPM) を使用するなどのスクリプト動作により実行されます。

VMware Horizon の設計でユーザーが起動した電源および修理作業を必要としない場合、1 つの vCenter Server インスタンスで恐らく十分です。ユーザーが起動する電源操作や修理操作の頻度が高くなければ、大量の操作がキューに蓄積されることによって、vCenter Server が要求された操作を定義されている同時操作設定制限内に完了するのを待機して Horizon Connection Server がタイムアウトになることはありません。

多くの顧客はフローティング プールを導入して、Refresh on logoff(ログオフ時に更新)設定を選択して、以前のセッションの無効なデータを取り除いたデスクトップを常に提供します。無効なデータの例には、pagefile.sys または Windows temp ファイルでの不要なメモリ ページが含まれます。フローティング プールは、デスクトップをクリーンな状態に頻繁にリセットすることによって、マルウェアの影響を最小限にすることもできます。

一部の顧客はデスクトップが使用されていない間は電源をオフにするように VMware Horizon を構成して電気使用量を削減し、これにより vSphere DRS (Distributed Resources Scheduler) は、動作している仮想マシンを最小数の ESXi ホストに統合できます。VMware Distributed Power Management (DPM) はアイドル状態のホストの電源をオフにします。このようなシナリオでは、複数の vCenter Server インスタンスの方が、操作のタイムアウトを回避するために必要な高頻度の電源操作および修理操作に適しています。

インフラストラクチャの簡素化

大規模 VMware Horizon 設計における単一の vCenter Server インスタンスには、ゴールド イメージ仮想マシンの管理が 1 か所ですむことや、1 つの vCenter Server ビューが Horizon Console ビューに一致すること、本番のバックエンド データベースおよびデータベース サーバが少なくてすむことなどの魅力的なメリットがあります。ディザスタ リカバリ計画は、複数のインスタンスよりも 1 つの vCenter Server の方が簡素になります。メンテナンス期間や電源および修理操作の頻度などの複数の vCenter Server インスタンスの利点と、ゴールド イメージ仮想マシン イメージを管理する追加の管理オーバーヘッドや必要となるインフラストラクチャ コンポーネント数の増加などの欠点を比較して確認してください。

ハイブリッド アプローチが有益である場合があります。1 つの vCenter Server インスタンスで管理される非常に大きく相対的に静的なプールと、複数の vCenter Server インスタンスによって管理されるいくつかの小さくより動的なデスクトップ プールを選択できます。既存の大規模ポッドをアップグレードするための最適な戦略は、既存のポッドの VMware ソフトウェア コンポーネントを最初にアップグレードすることです。ポッド設計を変更する前に、最新バージョンの電源、プロビジョニング、および修理操作による改善の影響を計り、より少ない vCenter Server インスタンスにおけるより大規模なデスクトップ プールの適切なバランスを見つけるために、デスクトップ プールのサイズを増加する実験を後で行います。