テナント仮想データセンターを作成して、安全なマルチ テナントおよびリソース割り当てを有効にできます。これらのデータセンターは、通信ワークロードごとに特定のサービス レベル アグリーメント (SLA) を適用する複数のコンピューティング ノード上に作成できます。

重要: この機能は、 VMware Integrated OpenStack Carrier Edition でのみ提供されています。詳細については、 VMware Integrated OpenStack のライセンスを参照してください。

プロジェクトの割り当てを行うと、複数のコンピューティング ノードまたはアベイラビリティ ゾーンにまたがって OpenStack リソースを制限しますが、リソースの可用性が確保されるとは限りません。テナント仮想データセンターを作成してコンピューティング ノード上の OpenStack プロジェクトに CPU やメモリを割り当てることにより、テナントにリソースを確保し、マルチテナント環境で近くのテナントからの影響を回避することができます。

リソースは、テナント仮想データセンターによってコンピューティング ノード レベルで割り当てられます。同じフレーバーを使用して、仮想ネットワーク機能 (VNF) レベルでリソースを割り当てることもできます。手順については、リソース QoS の構成を参照してください。

テナント仮想データセンターを管理するには、viocli ユーティリティ、vAPI、または Data Center Command-Line Interface (DCLI) を使用します。この手順では、例として viocli ユーティリティを使用します。vAPI または DCLI の使用の詳細については、テナント仮想データセンター vAPI の使用 を参照してください。

前提条件

  • VMware Integrated OpenStack Carrier Edition の機能を有効にします。Carrier Edition の機能の有効化を参照してください。
  • テナント VDC を作成するプロジェクトの UUID を決定します。プロジェクト UUID を確認するには、 openstack project list コマンドを実行します。
  • テナント VDC を作成するコンピューティング ノードの名前を決定します。コンピューティング ノードの名前は、 openstack compute service list コマンドを実行することで確認できます。
  • テナント VDC を作成するコンピューティング ノードで vSphere DRS がオンになっていることを確認します。

手順

  1. Integrated OpenStack Managerroot ユーザーとしてログインします。
    ssh root@mgmt-server-ip
  2. テナント仮想データセンターを作成します。
    viocli create tenant-vdc --name display-name --project-id project-uuid --compute compute-node [-–cpu-limit max-cpu-mhz] [--cpu-reserve min-cpu-mhz] [--mem-limit max-memory-mb] [-–mem-reserve min-memory-mb]
    オプション 説明

    --compute compute-node

    テナント VDC の作成先のコンピューティング ノードを入力します。

    コンピューティング ノードの名前は、openstack compute service list コマンドを実行することで確認できます。

    --name vdc-name

    テナント VDC の名前を入力します。

    --project-id project-uuid

    テナント VDC を作成するプロジェクトの UUID を入力します。

    --cpu-reserve cpu-min

    VDC で予約する CPU サイクル (MHz) を入力します。

    このパラメータを指定しない場合は、デフォルトで 0 が使用されます。

    値 0 は予約されたリソースがないことを示すので、0 以上の値を指定する必要があります。

    --cpu-limit cpu-max

    VDC での CPU 使用率の上限 (MHz) を入力します。

    このパラメータを使用しない場合、CPU 使用率は制限されません。

    指定する値は 0 以上または -1 にする必要があります。-1 は、そのリソースに制限が設定されていないことを示します。

    --mem-reserve memory-min

    VDC で予約するメモリ (MB) を入力します。

    このパラメータを指定しない場合は、デフォルトで 0 が使用されます。

    値 0 は予約されたリソースがないことを示すので、0 以上の値を指定する必要があります。

    --mem-limit memory-max

    VDC でのメモリ使用量の上限 (MB) を入力します。

    このパラメータを使用しない場合、CPU 使用量が制限されません。

    指定する値は 0 以上または -1 にする必要があります。-1 は、そのリソースに制限が設定されていないことを示します。

  3. VMware Integrated OpenStack ダッシュボードにクラウド管理者としてログインします。
  4. タイトル バーのドロップダウン メニューから [管理] プロジェクトを選択します。
  5. テナント仮想データセンターを使用するようにフレーバーを構成します。
    1. [管理] > [コンピューティング] > [フレーバー] の順に選択します。
    2. テナント仮想データセンターに使用する新しいフレーバーを作成するか、既存のフレーバーを選択します。
    3. 使用するフレーバーの横にある [メタデータの更新] を選択します。
    4. [利用可能なメタデータ] ペインで [VMware ポリシー] を展開し、[テナント仮想データセンター] の横にある [追加](プラス記号)アイコンをクリックします。
    5. vmware:tenant_vdc の値にテナント仮想データセンターの UUID を設定し、[保存] をクリックします。
      Integrated OpenStack Managerviocli get tenant-vdcs コマンドを実行し、すべてのテナント仮想データセンターの UUID を検索することができます。
    [異なるコンピューティングの同じ vDC 間での vMotion のライブ マイグレーション]
    異なるコンピューティングの同じ vDC 間で vMotion をライブ マイグレーションするには、次の手順を実行します。
    • compute-1 で tenant-vdc1 を作成します。
      viocli create tenant-vdc --name tvdc-01 --project-id ecbf813ee5d54420864247a2edcd76dc --compute compute-c05c9c49-c55
    • フレーバーを作成し、フレーバーのプロパティを更新します。
      openstack flavor set --property vmware:tenant_vdc='746146ea-a8f2-4be2-8bef-1dabe1249de7' 70841a4c-1332-4474-abd2-3fa07de3ab8e
    • 作成したフレーバーを使用するインスタンスを作成し、次のように tvdc1 に配置します。
      openstack server create --flavor 70841a4c-1332-4474-abd2-3fa07de3ab8e --network 39f32be5-7079-4110-8f38-8c3948d3079d --image "Photon 3.0" tvdc-001
    • tvdc1 を compute-2 に拡張します。
      viocli update tenant-vdc --compute compute-c05c9c49-c3101 --id 746146ea-a8f2-4be2-8bef-1dabe1249de7
    • ライブ マイグレーションのために、次のコマンドを実行します。
      export OS_COMPUTE_API_VERSION=2.67
      nova --os-compute-api-version 2.67 live-migration --force d155cbf9-3c1d-4732-9d08-9e28cb141ca0 compute-c05c9c49-c3101

    [テナント VDC の中または外にある、あるいはそれらにまたがるインスタンスのライブ サイズ変更]

    テナント VDC の中または外にある、あるいはそれらにまたがるインスタンスのライブ サイズ変更を行うには、次の手順を実行します。
    • インスタンスの実行時のサイズ変更の説明に従って、ライブ サイズ変更向けにイメージを構成します。
    • compute-1 で tenant-vdc1 を作成します。
      viocli create tenant-vdc --name tvdc-01 --project-id ecbf813ee5d54420864247a2edcd76dc --compute compute-c05c9c49-c55
    • フレーバーを作成し、フレーバーのプロパティを更新します。
      openstack flavor set --property vmware:tenant_vdc='746146ea-a8f2-4be2-8bef-1dabe1249de7' m1.tvdc-01
    • 作成したフレーバーを使用するインスタンスを作成し、次のように tvdc1 に配置します。
      openstack server create --flavor m1.small --network 39f32be5-7079-4110-8f38-8c3948d3079d --image "Photon 3.0" resize-01
    • compute-1 で tenant-vdc1 を作成します。
      viocli create tenant-vdc --name tvdc-02 --project-id ecbf813ee5d54420864247a2edcd76dc --compute compute-c05c9c49-c55
      • テナント VDC 外のインスタンスを tvdc-01 に移動します。
        openstack server resize resize-01 --flavor m1.tvdc-01
        openstack server resize confirm resize-01
      • インスタンスを tvdc-01 から tvdc-02 に移動します。
        openstack server resize resize-01 --flavor m1.tvdc-02
        openstack server resize confirm resize-01
      • インスタンスを tvdc-02 の外に移動します。
        openstack server resize resize-01 --flavor m1.small
        openstack server resize confirm resize-01

結果

テナント仮想データセンターが作成されます。これで、この手順で変更したフレーバーを使用して設定することにより、テナント仮想データセンター内のインスタンスを起動できるようになりました。

次のタスク

テナント仮想データセンター内のリソース プールを表示するには、viocli get tenant-vdcs tvdc-uuid コマンドを実行します。それぞれのリソース プールに、プロバイダ ID、プロジェクト ID、ステータス、最小 CPU と最大 CPU、最小メモリと最大メモリ、およびコンピューティング ノードの情報が表示されます。テナント仮想データセンターに複数のリソース プールが含まれている場合は、最初の行にすべてのプールの集計情報が表示されます。

viocli update tenant-vdc コマンドを実行するとテナント仮想データセンターが更新され、viocli delete tenant-vdc コマンドを実行するとテナント仮想データセンターが削除されます。