環境内のコントローラは、クラスタ レベルでアップグレードされます。コントローラ ノードに対してアップグレードが利用可能な場合は、NSX Manager にアップグレード リンクが表示されます。

メンテナンス期間中にコントローラをアップグレードします。

NSX Controller のアップグレードを行うと、各コントローラ ノードにアップグレード ファイルがダウンロードされます。コントローラのアップグレードは 1 台ずつ実行されます。アップグレードの進行中は、[アップグレードを利用可能 (Upgrade Available)] リンクはクリックできません。また、アップグレードが完了するまで、コントローラ クラスタをアップグレードするための API 呼び出しはブロックされます。

重要: NSX 6.3.3 では、NSX Controller の基盤となるオペレーティング システムが変わります。古いコントローラと新しいコントローラのオペレーティング システムが同じ場合、コントローラのアップグレードは、インプレース アップグレードになります。NSX 6.3.2 以前から NSX 6.3.3 以降にアップグレードする場合、オペレーティング システムが異なるため、インプレース アップグレードは実行されません。既存のコントローラが 1 つずつ削除され、同じ IP アドレスを使用して新しい Photon OS ベースのコントローラがデプロイされます。

コントローラが削除されると、関連付けられている DRS の非アフィニティ ルールが削除されます。新しいコントローラ仮想マシンが同じホストに配置されないように、vCenter Server で新しい非アフィニティ ルールを作成する必要があります。

コントローラのアップグレードを開始する前に新しいコントローラを展開すると、それらは古いバージョンとして展開されます。コントローラのアップグレード後に新しいコントローラを展開すると、それらは新しいバージョンとして展開されます。クラスタに参加するためには、コントローラ ノードを同じバージョンにする必要があります。

前提条件

  • すべてのコントローラが正常な状態であることを確認します。切断された状態のコントローラが 1 つでもあると、アップグレードは実行できません。切断されたコントローラを再接続するには、コントローラの仮想アプライアンスのリセットを試行します。[ホストおよびクラスタ (Hosts and Clusters)] ビューで、コントローラを右クリックし、[パワー (Power)] > [リセット (Reset)] の順に選択します。NSX Controller クラスタのトラブルシューティングに関する詳細については、『NSX トラブルシューティング ガイド』の「NSX Controller クラスタでの障害」を参照してください。

  • 有効な NSX Controller クラスタには、3 台のコントローラ ノードが含まれます。3 台のコントローラ ノードにログインし、[show control-cluster status] コマンドを実行します。

    controller-node# show control-cluster status 
    			 
    Type                Status                                       Since
    --------------------------------------------------------------------------------
    Join status:        Join complete                                05/04 02:36:03
    Majority status:    Connected to cluster majority                05/19 23:57:23
    Restart status:     This controller can be safely restarted      05/19 23:57:12
    Cluster ID:         ff3ebaeb-de68-4455-a3ca-4824e31863a8
    Node UUID:          ff3ebaeb-de68-4455-a3ca-4824e31863a8
    
    Role                Configured status   Active status
    --------------------------------------------------------------------------------
    api_provider        enabled             activated
    persistence_server  enabled             activated
    switch_manager      enabled             activated
    logical_manager     enabled             activated
    directory_server    enabled             activated
    
    • Join status で、コントローラ ノードが参加完了であることを確認します。
    • Majority status で、コントローラがクラスタ マジョリティに接続していることを確認します。
    • Cluster ID で、クラスタ内のすべてのコントローラ ノードのクラスタ ID が同じであることを確認します。
    • Configured status および Active status で、すべてのコントローラ ロールが有効であり、アクティベーション済みであることを確認します。
  • NSX Controller のアップグレード進行中に発生する運用上の影響を理解しておく必要があります。NSX のアップグレードへの影響 を参照してください。
  • NSX Controller クラスタには、3 台のコントローラ ノードが必要です。3 台より少ない場合は、アップグレードを開始する前にノードを追加する必要があります。コントローラ ノードの追加方法については、『NSX インストール ガイド』で「NSX Controller クラスタのデプロイ」を参照してください。

手順

  1. vSphere Web Client にログインします。
  2. [ネットワークとセキュリティ (Networking & Security)] > [インストールとアップグレード (Installation and Upgrade)] > [管理 (Management)] > [NSX Manager (NSX Managers)] の順に移動します。
  3. [コントローラ クラスタのステータス (Controller Cluster Status)] 列で [アップグレードを利用可能 (Upgrade Available)] をクリックします。
    環境内のコントローラが 1 つずつアップグレードされて再起動されます。アップグレードを開始すると、システムはアップグレード ファイルをダウンロードし、各コントローラをアップグレードします。その後各コントローラを再起動して、各コントローラのアップグレード ステータスを更新します。
  4. アップグレードの進行状況をモニタリングします。
    • [インストールとアップグレード (Installation and Upgrade)] > [管理 (Management)] > [NSX Manager (NSX Managers)] の順に移動すると、[コントローラ クラスタのステータス (Controller Cluster Status)] 列で、クラスタ アップグレードの進行状況を確認できます。
    • [インストールとアップグレード (Installation and Upgrade)] > [管理 (Management)] > [NSX Controller ノード (NSX Controller Nodes)] の順に移動すると、[アップグレード ステータス (Upgrade Status)] 列で、各のコントローラ ノードのアップグレードの進行状況を確認できます。

結果

アップグレードが完了すると、NSX Controller ノード セクションの各コントローラの [ソフトウェア バージョン (Software Version)] 列に、「6.4.buildNumber」と表示されます。[show control-cluster status] コマンドを再実行して、コントローラがマジョリティを作成できることを確認します。NSX Controller クラスタ マジョリティが作成されない場合は、コントローラと NSX Manager のログを確認します。

各アップグレードにかかる平均時間は 6 ~ 8 分です。アップグレードがタイムアウト期間(30 分)内に完了しない場合は、[アップグレード ステータス (Upgrade Status)] 列に [失敗 (Failed)] と表示されます。NSX Manager セクションで再び [アップグレードを利用可能 (Upgrade Available)] をクリックし、停止した時点からアップグレード プロセスを再開します。

ネットワークの問題が原因で 30 分のタイムアウト内にアップグレードに成功しない場合は、VMware サポートに連絡して問題の診断と解決を行ってください。

コントローラのアップグレードが失敗する場合は、コントローラと NSX Manager の接続を確認します。

1 つ目のコントローラは正常にアップグレードされ、2 つ目は失敗するというシナリオについて考えます。クラスタ内に 3 つのコントローラがあり、1 つ目のコントローラは新しいバージョンに正常にアップグレードされ、2 つ目のコントローラはアップグレード中であるとします。2 つ目のコントローラのアップグレードが失敗する場合は、このコントローラが切断された状態のままになっている可能性があります。さらに、1 つ目と 3 つ目のコントローラがそれぞれ異なるバージョンになる(一方はアップグレード済みでもう一方は未アップグレード)ため、マジョリティを形成できなくなっています。この時点では、アップグレードを再び開始することはできません。このシナリオを解決するには、別のコントローラを作成します。新しく作成されたコントローラに新しい NSX バージョン(コントローラ 1)がインストールされ、コントローラ 1 を含むマジョリティを形成できます。これで、アップグレード手順を再開できるようになりました。別のコントローラを作成する手順については、『NSX トラブルシューティング ガイド』の「NSX Controller の再デプロイ」を参照してください。