ホスト スイッチを vSphere Distributed Switch に移行する際に使用できる方法は 3 つあります。

N-VDS をホスト スイッチとして使用している場合、vCenter ServerNSX-T は非透過ネットワークとして表示されます。N-VDS はトランスポート ノード上で 1 つ以上の物理インターフェイス(物理 NIC)を所有し、ポート構成が NSX-T Data Center から実行されます。ホスト スイッチを vSphere Distributed Switch (VDS) 7.0 に移行し、物理 NIC の使用状況を最適化できます。また、vCenter Server から NSX-T ホストのネットワークを管理できます。VDS スイッチで NSX-T を実行すると、セグメントは NSX-T 分散仮想ポート グループとして表示されます。NSX-T ネットワークのセグメントに対する変更は、vCenter Server で同期されます。

ESXi ホストの N-VDS を VDS の NSX に移行するには、次を選択します。

前提条件

VDS 7.0 ホスト スイッチに移行するには、次の要件を満たす必要があります。

  • vCenter Server 7.0 以降

  • ESXi 7.0 以降

  • 移行後、NSX-T は非透過ネットワークとして表示されなくなります。移行後の NSX-T ホストの表示を管理するため、スクリプトの更新が必要になる場合があります。

  • NSX-T 3.1 では、N-VDS ベースの非表示のクラスタ環境で N-VDS から vSphere Distributed Switch に移行することはできません。これは、名前付きチーミングのない NSX-T 3.1.1 ではサポートされています。

  • vSphere Lifecycle Manager を使用するか、API を手動で使用して、メンテナンス モードのホストを並行して移行することで、移行をスケール アップできます。デフォルトでは、クラスタごとに 64 台のホスト(クラスタ内のマネージャあたりのスレッド プール サイズは 22)を並行モードで移行できます。並行修正のバッチ サイズは 4 ノードに制限されている必要があります。vSphere Lifecycle Manager を使用した移行の場合、スレッドが使用可能になるのを待機しているホストの状態が「キュー内」と表示されます。API を使用した移行の場合、64 台を超えるアクティブな移行の要求は拒否されます。

  • 並行修正機能を使用するには、vCenter Server 7.0 Update 2 以降が必要です。この機能は、NSX-T Data Center 3.1 でサポートされません。移行中のクラスタで有効にすることはできません。

  • N-VDS から VDS の NSX-T Data Center への移行が、7.0.2 (X.Y.Z-U.P) リリース間の ESX アップグレードでのみトリガされます。U.P (update-patch) のアップグレードで移行はトリガされません。ESX バージョンは X.Y.Z-U.P として指定されています。ここで、

    • X = メジャー

    • Y = マイナー

    • Z = メンテナンス

    • U = 更新

    • P = パッチ

  • N-VDS から VDS への移行ツールは、NSX-T Data Center 3.2.0 では使用できません。今回のリリースでワークロードを N-VDS から VDS に移行する場合は、手動で移行する必要があります。

注:

すべてのホスト スイッチが正常に移行されるまでは、NSX-T Data Center の構成を変更しないでください。

オプション 1:API によるホスト スイッチの vSphere Distributed Switch への移行

NSX-T Data Center API を使用して、ホスト スイッチを vSphere Distributed Switch (VDS) に移行できます。

API 呼び出しを使用してホスト スイッチを移行するには、次の手順を実行します。

手順

  1. 前提条件」セクションで、VDS 7.0 ホスト スイッチに移行するための要件を確認します。
  2. ホストの移行準備ができていることを確認するには、次の API 呼び出しを行い、事前チェックを実行します。
    POST https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/precheck
    ポリシー API:
    PUT /policy/api/v1/infra/nvds-urt/precheck

    応答例:

    { "precheck_id": "166959af-7f4b-4d49-b294-907000eef889" }
  3. 構成に不整合がある場合は、それを解決して事前チェックを再度実行します。構成の不整合に対処した後に事前チェックを実行すると、一貫性のない構成は応答に再度表示されません。
    3.2.1 以降では、 NSX-T Data Center 環境内のトランスポート ノード間で構成に互換性がない場合、事前チェックの実行は失敗しません。UplinkProfile、LLDPProfile、および NIOCProfile の構成に互換性がない場合、事前チェックで構成の問題が発生します。互換性のない構成を確認し、トポロジを適用するか、トランスポート ノード間で構成を調整するかを判断して、事前チェックを再度実行できます。トポロジに異なる構成の組み合わせをすべて含めるかどうかに応じて、 tolerate_different_configurations パラメータの値を設定します。詳細については、『 NSX-T Data Center API ガイド』を参照してください。 tolerate_different_configurations のデフォルト値は true です。
    事前チェックでは、異なる構成の組み合わせごとに VDS も作成されます。推奨トポロジには、同じ NSX-T Data Center(または VCF の場合は同じクラスタ)内の異なる構成のトランスポート ノードのすべての組み合わせが含まれます。特定の VDS が、同等の UplinkProfile、LLDPProfile、および NIOCProfile を持つトランスポート ノードで生成されます。
  4. 事前チェックの状態を確認します。一貫性のないプロファイルは、応答にエラーではなく警告として表示されます。
    GET https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/status-summary/<precheck-id>
    ポリシー API:
    GET /policy/api/v1/infra/nvds-urt/status-summary/<precheck-id>

    応答の例:

    {
        "precheck_id": "165a592d-a94f-4614-978c-9ca003cda278",
        "precheck_status": "PENDING_TOPOLOGY",
        "precheck_issue": [
            {
                "component": "Uplink profile",
                "objid": "nsxvswitch1",
                "warning": "Found inconsistent profiles: [b63afe90-ce04-46e4-a238-d7b63deada36, 0520a955-06cd-4498-883a-d534e8d7724c]. Uplink profile mismatch. Mtu mismatch. ",
                "recommendation": "Keep profiles consistent among transport nodes in the same NVDS",
                "_protection": "NOT_PROTECTED"
            }
        ]
    }
  5. ステートレス ホストの場合は、ホストの 1 つをソース ホストとして指名し、移行を開始します。
  6. 推奨トポロジを取得するには、次の API 呼び出しを行います。
    GET https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/topology/<precheck-id>
    ポリシー API:
    GET /policy/api/v1/infra/nvds-urt/topology/<precheck-id>

    応答例:

    {
        "topology": [
            {
                "nvds_id": "e70a0fc2-7ec3-483e-9036-4eed170f0ecf",
                "nvds_name": "nsxvswitch1",
                "compute_manager_topology": [
                    {
                        "compute_manager_id": "13127ee9-ea71-4c66-810e-c604d4f67fc4",
                        "dvswitch": [
                            {
                                "data_center_id": "datacenter-4",
                                "vds_name": "VDS-nsxvswitch1-datacenter-4-0",
                                "vmknic": [],
                                "transport_node_id": [
                                    "7af27ad7-4e45-4b36-95a2-d73413aea181"
                                ],
                                "id": "190125b2-d469-4bea-915b-6ffeb9e7b542",
                                "_protection": "NOT_PROTECTED"
                            },
                            {
                                "data_center_id": "datacenter-4",
                                "vds_name": "VDS-nsxvswitch1-datacenter-4-1",
                                "vmknic": [],
                                "transport_node_id": [
                                    "dca9568e-9587-4572-9001-c637960dbdae"
                                ],
                                "id": "9f039516-5318-4e14-8fd4-769d54560bcb",
                                "_protection": "NOT_PROTECTED"
                            },
                            {
                                "data_center_id": "datacenter-22",
                                "vds_name": "VDS-nsxvswitch1-datacenter-22-2",
                                "vmknic": [],
                                "transport_node_id": [
                                    "ebe67bdf-bb9c-4b92-8c81-cdb6ec2d8559",
                                    "32058d07-dbba-4042-92f7-69ece1cc9680"
                                ],
                                "id": "9a389bf0-af53-4ace-b7d3-29b534fbab58",
                                "_protection": "NOT_PROTECTED"
                            }
                        ]
                    }
                ],
                "id": "62f2fe60-1138-454d-99f2-8319255d8119",
                "_protection": "NOT_PROTECTED"
            }
        ]
    }
  7. 推奨トポロジを使用して VDS を作成するには、次の API 呼び出しを行います。
    POST https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/topology?action=apply
    ポリシー API:
    PUT /policy/api/v1/infra/nvds-urt/topology?action=apply

    推奨トポロジ内の VDS の名前は新しい名前にのみ変更できます。既存の VDS の名前は使用できないことに注意してください。

    入力例:

    {
      "topology": [
        {
          "nvds_id": "c8ff4053-502a-4636-8a38-4413c2a2d52f",
          "nvds_name": "nsxvswitch",
          "compute_manager_topology": [
            {
              "compute_manager_id": "fa1421d9-54a7-418e-9e18-7d0ff0d2f771",
              "dvswitch": [
                {
                  "data_center_id": "datacenter-3",
                  "vds_name": "test-dvs",
                  "transport_node_id": [
                    "65592db5-adad-47a7-8502-1ab548c63c6d",
                    "e57234ee-1d0d-425e-b6dd-7dbc5f6e6527",
                    "70f55855-6f81-45a8-bd40-d8b60ae45b82"
                  ]
                }
              ]
            }
          ]
        }
      ]
    }
  8. 移行の状態を追跡するには、次の API 呼び出しを行います。
    GET https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/status-summary/<precheck-id>

    ホストの移行準備が整うと、precheck_statusAPPLYING _TOPOLOGY から READY に変わり、ホストの状態が UPGRADE_READY に設定されます。

    API パラメータの詳細については、『NSX-T Data Center API ガイド』を参照してください。

  9. vCenter Server で ESXi ホストをメンテナンス モードにします。
  10. N-VDS から VDS への移行を開始するには、次の API 呼び出しを行います。
    POST https://<nsx-mgr>/api/v1/transport-nodes/<tn-id>?action=migrate_to_vds

    ホストは非同期で移行されます。必要な一連のホストに API 呼び出しを実行することで、複数のトランスポート ノードを並行してアップグレードできます。移行プロセスでは、DRS などのサービスが想定どおり動作を継続します。

  11. 移行の状態を追跡するには、次の API 呼び出しを行います。
    GET https://<nsx-mgr>/api/v1/nvds-urt/status-summary/<precheck-id>

    移行が正常に完了すると、host migration_stateUPGRADE_IN_PROGRESS から SUCCESS に変わります。

    応答例:

    {
      "precheck_id": "c306e279-8b75-4160-919c-6c40030fb3d0",
      "precheck_status": "READY",
      "migration_state": [
        {
          "host": "65592db5-adad-47a7-8502-1ab548c63c6d",
          "overall_state": "UPGRADE_READY"
        },
        {
          "host": "e57234ee-1d0d-425e-b6dd-7dbc5f6e6527",
          "overall_state": "UPGRADE_READY"
        },
        {
          "host": "70f55855-6f81-45a8-bd40-d8b60ae45b82",
          "overall_state": "SUCCESS"
        }
      ]
    }

    障害が発生すると、overall_stateFAILED に変わり、移行失敗の原因が示されます。migrate_to_vds アクションを実行して、移行タスクを再度実行します。

  12. ステートレス ホストの場合:
    1. 移行済みのホストから新しいホスト プロファイルを抽出して、クラスタに適用します。
    2. クラスタ内の残りのホストを再起動します。

次のタスク

移行が完了したら、アップグレードを実行できます。

オプション 2:CLI によるホスト スイッチの vSphere Distributed Switch への移行

NSX-TNSX-T CLI を使用して、ホスト スイッチを vSphere Distributed Switch (VDS) に移行できます。

CLI 呼び出しを使用してホスト スイッチを移行するには、次の手順を実行します。

手順

  1. 前提条件」セクションで、VDS 7.0 ホスト スイッチに移行するための要件を確認します。
  2. ホストの移行準備ができていることを確認するには、次のコマンドを実行して事前チェックを実行します。
    vds-migrate precheck

    出力例:

     Precheck Id: 0a26d126-7116-11e5-9d70-feff819cdc9f
  3. 構成に不整合がある場合は、それを解決して事前チェックを再度実行します。
  4. 推奨トポロジを取得するには、次のコマンドを実行します。
    vds-migrate show-topology

    出力例:

    Precheck Id: 137d2a87-0544-4914-829d-d8b7e33b13f2
           NVDS: nvds1(19cca902-9455-4316-92e2-65f4f5b4b138)                          
           Compute Manager Topology:                                                  
           [                                                                          
               {                                                                      
                   "compute_manager_id": "fd37ed6e-0eae-4d65-b29a-d40eee1d5d47",      
                   "dvswitch": [                                                      
                       {                                                              
                           "transport_node_id": [                                     
                               "4d011ade-a010-4eea-b45a-b2569c0bb9ad"                 
                           ],                                                         
                           "data_center_id": "datacenter-3",                          
                           "vmknic": [],                                              
                           "vds_name": "VDS-nvds1-datacenter-3"                      
                       }                                                              
                   ]                                                                  
               }                                                                      
           ]
  5. 推奨トポロジを使用して VDS を作成するには、次のコマンドを実行します。
    vds-migrate apply-topology
  6. vCenter Server にログインして、VDS が作成されていることを確認します。
  7. N-VDS から VDS への移行を開始するには、次のコマンドを実行します。
    vds-migrate esxi-cluster-name <cluster-name>

    出力例:

     VDS Migration Done:                                                     
       3 Transport-Nodes Migrate Successfully          
       0 Transport-Nodes Migrate Failed

    トランスポート ノード ID を使用して移行を開始することもできます。

    vds-migrate tn-list <file-path>

    <file-path> には、トランスポート ノード ID が含まれます。

    出力例:

    nsx-manager-1> vds-migrate tn-list /opt/tnid
           VDS Migration Done:
           3 Transport-Nodes Migrate Successfully
           0 Transport-Nodes Migrate Failed

次のタスク

移行が完了したら、アップグレードを実行できます。

オプション 3:ユーザー インターフェイスによるホスト スイッチの vSphere Distributed Switch への移行

NSX Manager を使用してホストで移行を準備してから、vSphere Update Manager を使用して、ホスト OS のアップグレードの一環として VDS に移行できます。

ユーザー インターフェイスを使用してホスト スイッチを移行するには、次の手順を実行します。

注: この移行をトリガするには、ESXi ホストを ESXi Update リリース間でアップグレードする必要があります。次はその例です。
  • ESXi 7.0 から ESXi 7.0 U2 へのアップグレード:スイッチの移行をトリガできます。
  • ESXi 7.0 U2 から ESXi 7.0 U2a へのアップグレード:アップグレードが同じ ESXi Update バージョン内であるため、スイッチの移行をトリガできません。

手順

  1. 前提条件」セクションで、VDS 7.0 ホスト スイッチに移行するための要件を確認します。
  2. ローカル admin ユーザーとして、NSX Manager (https://nsx-manager-ip-address/login.jsp?local=true) にログインします。
  3. [システム] > [クイック スタート] の順に選択します。
  4. [開始する] をクリックして、ホストで N-VDS から VDS への移行を準備します。
  5. [事前チェック] をクリックして、ホストで移行の準備ができているかどうかを確認します。
  6. 構成に不整合がある場合は、それを解決して事前チェックを再度実行します。
  7. 推奨ネットワーク トポロジを確認します。
  8. [作成] をクリックし、vCenter Server で対応する VDS スイッチを作成して、選択したホストで移行を準備します。
  9. vCenter Server にログインし、vSphere Update Manager を使用して ESXi ホストをアップグレードします。ホスト OS のアップグレードが終了したら、スイッチの移行を完了します。
  10. [モニタリング] タブで、移行の進行状況をモニタリングします。

次のタスク

オプション:移行済みのホストのメンテナンス モードを終了します。vSphere Update Manager を使用して、ホストのアップグレードの一環としてホスト スイッチを移行する場合、この手順は必要ありません。