適切なバックアップ戦略をとることは、SAN 管理にとって最重要事です。SAN 環境では、バックアップの目的は 2 つあります。最初の目的は、オンライン データをオフライン メディアにアーカイブすることです。このプロセスは、すべてのオンライン データに対して、定期的にスケジュールに従って繰り返されます。もう 1 つの目的は、問題からリカバリするために、オフラインデータへのアクセスを提供することです。たとえば、データベースのリカバリでは、現在オンラインではないアーカイブされたログ ファイルの取得がしばしば必要となります。
バックアップのスケジュール設定は、いくつかの要因によって異なります。
- 一定の期間内に、より頻繁なバックアップ サイクルを必要とする重要なアプリケーションの特定。
- リカバリ ポイントとリカバリ時間の目標。必要なリカバリ ポイントの正確さと、リカバリを待つことができる時間の長さについて考えます。
- データに関連付けられた変更率 (RoC)。たとえば、同期/非同期レプリケーションを使用している場合、RoC が、プライマリ ストレージ デバイスとセカンダリ ストレージ デバイスの間で必要なバンド幅の量に影響を与えます。
- SAN 環境、ストレージ パフォーマンス、およびその他のアプリケーションに対する全体的な影響。
- SAN のピーク トラフィック時間の特定(ピーク時間にスケジュールされたバックアップは、アプリケーションおよびバックアップ プロセスの速度を低下させることがあります)。
- データセンター内のすべてのバックアップをスケジュールする時間。
- 個別のアプリケーションをバックアップするために必要な時間。
- データをアーカイブするためのリソース可用性(オフライン メディア アクセスなど)。
バックアップ計画を立てるときには、アプリケーションごとのリカバリ時間の目標を含めます。つまり、バックアップを実行するために必要な時間とリソースについて考慮します。たとえば、スケジュール設定したバックアップで大量のデータが保管されるためにリカバリに長時間かかる場合は、バックアップ スケジュールを検討してみてください。バックアップの実行回数を増やすと、1 回にバックアップされるデータの量が少なくなり、リカバリ時間が短縮されます。
アプリケーションを特定の時間枠でリカバリする必要がある場合は、この要件を満たすために、バックアップ プロセスでタイム スケジュールと特別なデータ処理を指定する必要があります。高速リカバリでは、オンライン ストレージにあるリカバリ ボリュームの使用を必須とすることができます。このプロセスにより、失われたデータ コンポーネントのために低速なオフライン メディアにアクセスする必要性を低減または排除できます。