vSphere Lifecycle Manager イメージと vSphere Lifecycle Manager ベースラインの違いを理解するには、ソフトウェア ベンダーがソフトウェア アップデートの作成と配布に使用する基本的なソフトウェア パッケージ タイプ間の関係を理解しておく必要があります。

vSphere Lifecycle Manager は、VMware、OEM、およびサードパーティ ソフトウェア プロバイダのソフトウェアを使用します。
  • OEM とは、Dell、HPE、VMware Cloud on AWS などの VMware のパートナー企業のことです。
  • サードパーティ製ソフトウェア プロバイダとは、I/O フィルタ、デバイス ドライバ、CIM モジュールなどのプロバイダのことです。

vSphere インストール バンドル (VIB)

VIB は、ESXi ホストのインストール パッケージを作成するための基本的な構成要素です。VIB は、メタデータとバイナリ ペイロードを含むソフトウェア パッケージで、ESXi にインストールされるソフトウェアの実際の機能を表します。VIB は機能全体を表すのではなく、機能の単一のモジュールを表します。したがって、VIB は、VMware およびその他のソフトウェア ベンダーが配布するインストール可能な最小のソフトウェア ユニットです。

表 1. 関連用語
用語 定義
VIB メタデータ VIB の内容を記述する XML ファイル(descriptor.xml)。依存関係情報、テキストによる記述、システム要件、通知に関する情報も含まれています。
スタンドアローン VIB 通知またはコンポーネントに含まれていない VIB。

vSphere Lifecycle Manager が個々の VIB を使用したり処理することはありません。VIB は、さらに上位の構成にパッケージ化する必要があります。

セキュリティ パッチ

この通知は、1 つ以上の VIB からなるグループです。通知は、VIB のメタデータ内で定義されます。個々の VIB ではなく通知を使用することにより、インベントリ オブジェクトに添付され、 ESXi ホストをアップデートおよびアップグレードするために使用される vSphere Lifecycle Manager ベースラインを作成します。
表 2. 関連用語
用語 定義
パッチ パッチは、ソフトウェアの現在のバージョンに対するバグ修正または機能拡張を提供する、小規模なソフトウェア アップデートです。パッチを適用すると、1 つ以上の VIB がグループ化され、特定の問題への対処や、ソフトウェアの現在のバージョンの強化を実行できるようになります。
ロールアップ通知 ダウンロードとデプロイを簡素化するためにグループ化されたパッチのコレクション。
拡張機能 オプション コンポーネントを ESXi ホストに追加するために VIB のグループを定義する通知。通常、拡張機能はサードパーティから提供されます。サードパーティ プロバイダも拡張機能のパッチおよびアップデートを提供する責任を負います。

コンポーネント

vSphere 7.0 以降では、コンポーネントが VIB の基本的なパッケージ構成要素になります。VMware、OEM、およびサードパーティ製ソフトウェア プロバイダは、ソフトウェアをコンポーネントの形で提供しています。コンポーネントは、コンポーネントの名前とバージョンを指定する追加のメタデータを含む通知です。通知とは異なり、コンポーネントは VIB の論理的なグループであり、インストール時に完全かつ表示される機能を提供します。

VMware および OEM がコンポーネントを個別に提供することはありません。VMware は、コンポーネントをまとめて完全に機能し、起動可能な ESXi 基本イメージにバンドルします。OEM は、コンポーネントをベンダー アドオンにバンドルします。サードパーティ ソフトウェア ベンダーは、ソフトウェア(ドライバやアダプタなど)を個別のコンポーネントとして作成および配布します。

基本イメージ

基本イメージは、ESXi のすべてのリリースで VMware により提供される ESXi イメージです。基本イメージは、完全でサーバを起動できるコンポーネントの集合です。基本イメージには、ユーザーが判読可能な名前と、ESXi のメジャーまたはマイナー リリースごとに更新される一意のバージョンがあります。

基本イメージのバージョンは ESXi リリースに対応していて、次の命名形式が使用されます。
  • 一般提供リリース:7.0
  • アップデート リリース:7.0 U1、7.0 U2
  • パッチ リリース:7.0 a、7.0 b
  • セキュリティ パッチ リリース:7.0 sa、7.0 sb
  • アップデート後のパッチ リリース:7.0 U1 a、7.0 U1 sa、7.0 b、7.0 sb

基本イメージはホストされ、VMware オンライン デポで利用できます。また、ESXi インストーラの ISO ファイルと、ESXi バージョンを含むオフラインバンドル(ZIP ファイル)を my.vmware.com からダウンロードすることもできます。

ベンダー アドオン

OEM は、1 つまたは複数のコンポーネントをアドオンと呼ばれる単位にパックします。ベンダー アドオンを使用して、OEM コンテンツおよびドライバで ESXi イメージをカスタマイズします。

アドオンはコンポーネントの集合であり、完全で起動可能なイメージを表すものではありません。ベンダー アドオンを単独で使用することはできません。ESXi リリースをカスタマイズするには、ESXi 基本イメージにベンダー アドオンを追加する必要があります。ベンダー アドオンと ESXi 基本イメージの組み合わせは、実際には OEM 提供のカスタム イメージと同一です。

ESXi 基本イメージと組み合わせると、アドオンは ESXi 基本イメージの一部であるコンポーネントを追加、更新、または削除できます。vSphere Client では、デポで利用可能なアドオンごとに、ESXi 基本イメージに追加するコンポーネントのリストを表示できます。同様に、基本イメージから削除されたコンポーネントに関する情報を表示できます。

VSphere 7.0 以降では、カスタム ISO イメージおよびオフライン バンドルに加えて、ベンダー アドオンのみを含む ZIP ファイル、つまりカスタム イメージと ESXi 基本イメージ間の差分が OEM によってリリースされます。OEM は、そのようなアドオンの ZIP ファイルを自分の判断でリリースすることができます。アドオンの概念の導入により、OEM のリリース サイクルが VMware のリリース サイクルから分離されます。その結果、ホストの ESXi バージョンの更新とは関係なく、ベンダー アドオンを更新できます。また、ベンダー アドオンでは OEM のカスタマイズが VMware のストック イメージから分離されます。その結果、ソフトウェア コンポーネントを組み合わせる際の自由度が向上します。

vSphere Lifecycle Manager デポの通知とコンポーネント

vSphere Lifecycle Manager では、通知とコンポーネントの両方を使用できます。

ベースラインおよびベースライン グループを使用してホストとクラスタを管理する場合、vSphere Lifecycle Manager は、vSphere Lifecycle Manager デポで利用可能なソフトウェア アップデートを通知として読み取り、リストします。利用可能な通知のリストは、vSphere Lifecycle Manager ホーム ビューの [更新] タブで確認できます。

vSphere Lifecycle Manager イメージを使用してホストおよびクラスタを管理する場合は、コンポーネントと、アドオンおよび基本イメージの関連する概念のみを操作できます。コンポーネント、アドオン、および ESXi 基本イメージのリストは、vSphere Lifecycle Manager ホーム ビューの [デポのイメージ] タブで確認できます。