vSphere Standard Switch から vSphere Distributed Switch に移行し、Network I/O Control を使用できます。これにより vSAN トラフィックに QoS (Quality of Service) の優先順位を設定できます。

注意: ESXi ホストへのアクセスをお勧めしますが、必要でない場合もあります。問題が発生した場合は、ESXi ホストのコンソールにアクセスできます。

元の vSwitch 設定をメモしておきます。特に、ソースのロード バランシングと NIC チーミングの設定は必ず記録してください。ターゲットの構成がソースと一致していることを確認します。

Distributed Switch の作成

Distributed vSwitch を作成し、名前を付けます。
  1. [vSphere Client ホストおよびクラスタ] ビューで、データセンターを右クリックし、[新しい Distributed Switch ] メニューを選択します。
  2. 名前を入力します。
  3. vSphere Distributed Switch のバージョンを選択します。この例では、移行にバージョン 6.6.0 が使用されています。
  4. 設定を追加します。現在ネットワークで使用しているアップリンクの数を確認します。この例では、管理、vMotion、仮想マシンに 6 個、vSAN(LAG 構成)に 3 個使用されています。アップリンクの数として 6 と入力します。実際の環境はこれと異なる場合があります。この値は後で編集できます。

    この時点で、デフォルトのポート グループを作成できますが、追加のポート グループが必要になります。

  5. Distributed vSwitch の設定を完了します。

次に、追加のポート グループを設定して作成します。

Distributed Switch の構成

ポート グループの作成

管理ネットワークに 1 つのデフォルト ポート グループが作成されました。このポート グループを編集して、VLAN、NIC チーミング、フェイルオーバー設定など、標準 vSwitch の管理ポート グループのすべての特性を設定します。

Distributed Switch のポート グループの構成

管理ポート グループを設定します。

  1. vSphere Client の [ネットワーク] ビューで、分散ポート グループを選択して [編集] をクリックします。
  2. ポート グループによっては、VLAN の変更が必要になります。VLAN 51 が管理 VLAN であるため、それに応じて分散ポート グループにタグを付けます。
  3. [OK] をクリックします。
vMotion、仮想マシン ネットワーク、 vSAN ネットワークの分散ポート グループを作成します。
  1. vSphere Distributed Switch を右クリックして、[分散ポート グループ] > [新しい分散ポート グループ] を選択します。
  2. この例では、vMotion ネットワークにポート グループを作成します。

Distributed vSwitch で分散ポート グループをすべて作成します。次に、アップリンク、VMkernal ネットワーク、仮想マシン ネットワークを Distributed vSwitch と関連する分散ポート グループに移行します。

注意: 作業をスムーズかつ慎重に行うため、アップリンクとネットワークを段階的に移行します。

管理ネットワークの移行

管理ネットワーク (vmk0) および関連するアップリンク (vmnic0) を標準スイッチから Distributed vSwitch (vDS) に移行します。
  1. ホストを vDS に追加します。
    1. vDS を右クリックし、[ホストの追加と管理] メニューを選択します。
    2. ホストを vDS に追加します。緑色の追加アイコン (+) をクリックし、クラスタからすべてのホストを追加します。
  2. 物理アダプタと VMkernel アダプタを構成します。
    1. [物理アダプタの管理] をクリックして、物理アダプタと VMkernel アダプタ(vmnic0 と vmk0)を vDS に移行します。
    2. vDS で物理アダプタ vmnic0 に適切なアップリンクを選択します。この例では、Uplink1 を使用します。物理アダプタが選択され、アップリンクが選択されます。
  3. vmk0 上の管理ネットワークを標準 vSwitch から Distributed vSwitch に移行します。各ホストで次の手順を実行します。
    1. vmk0 を選択し、[ポート グループの割り当て] をクリックします。
    2. 前に管理ネットワーク用に作成した分散ポート グループを割り当てます。
  4. 構成を完了します。
    1. 変更を確認します。4 つのアップリンク(各ホストの vmnic0)と 4 つの VMkernel アダプタ(各ホストの vmk0)が追加されていることを確認します。
    2. [終了] をクリックします。

各ホストのネットワーク構成については、スイッチの設定を確認します。各ホストに 1 つのアップリンク (vmnic0) と vmk0 管理ポートがあることを確認します。

このプロセスを他のネットワークに繰り返します。

Distributed Switch にホストを追加

vMotion の移行

vMotion ネットワークを移行するには、管理ネットワークの場合と同じ手順を実行します。

開始する前に、vMotion ネットワークの分散ポート グループの属性が標準 vSwitch のポート グループと同じであることを確認します。次に、vMotion (vmnic1) に使用されているアップリンクを VMkernel アダプタ (vmk1) と一緒に移行します。

vSAN ネットワークの移行

vSAN ネットワークにアップリンクが 1 つしかない場合は、前と同じプロセスを使用します。ただし、複数のアップリンクを使用している場合は、追加の手順を行います。

vSAN ネットワークがリンク集約 (LACP) を使用している場合、または他の VMkernel ネットワークと異なる VLAN にある場合は、特定の VMkernel アダプタで一部のアップリンクを未使用状態にします。

たとえば、VMkernel アダプタ vmk2 は vSAN に使用されています。ただし、アップリンク vmnic3、4、5 は vSAN に使用され、LACP を構成しています。したがって、vmk2 の場合、他のすべての vmnic(0、1、2)は未使用状態にする必要があります。同様に、管理アダプタ (vmk0) と vMotion アダプタ (vmk0) の場合は、vSAN アップリンク/vmnic を未使用状態にします。

分散ポート グループの設定を変更し、パス ポリシーとフェイルオーバーの設定を変更します。[ 物理ネットワーク アダプタの管理] ページで、複数のアダプタに操作を行います。

vSAN の分散ポート グループに vSAN VMkernel アダプタ (vmk2) を割り当てます。

注: vSAN ネットワークのアップリンクを移行中の場合は、移行が完了するまで分散ポート グループの設定を変更できないことがあります。この間、 vSAN で通信の問題が発生する可能性があります。移行後、分散ポート グループの設定に移動し、すべてのポリシー変更を行い、すべてのアップリンクを未使用としてマークします。このタスクを終了すると、 vSAN ネットワークが通常の状態に戻ります。 vSAN 健全性サービスで、すべてが正常に機能していることを確認します。
Distributed Switch の VMkernel アダプタを構成

仮想マシン ネットワークの移行

標準 vSwitch から Distributed vSwitch にネットワークを移行するための最後のタスクは、仮想マシン ネットワークの移行です。

ホスト ネットワークを管理します。
  1. vDS を右クリックし、[ホストの追加と管理] メニューを選択します。
  2. クラスタ内のすべてのホストを選択し、すべてのホストの仮想マシン ネットワークを Distributed vSwitch に移行します。

    アップリンクは移行しないでください。ただし、ホストの仮想マシン ネットワークが別のアップリンクを使用していた場合は、標準 vSwitch からアップリンクを移行します。

  3. 標準 vSwitch の仮想マシン ネットワークから Distributed vSwitch の仮想マシン分散ポート グループに移行する仮想マシンを選択します。[ポート グループの割り当て] をクリックし、分散ポート グループを選択します。
  4. 変更内容を確認して、[終了] をクリックします。この例では、仮想マシンに移動します。元の標準 vSwitch の仮想マシン ネットワークを使用しているテンプレートは、仮想マシンに変換し、編集する必要があります。仮想マシンの新しい分散ポート グループをネットワークとして選択する必要があります。この手順を移行ウィザードで行うことはできません。

標準 vSwitch にアップリンクまたはポート グループがなくなったため、vSwitch を安全に削除できます。

これで、vSphere Standard Switch から vSphere Distributed Switch への移行は完了です。