Network I/O Control のバージョン 3 では、個々の仮想マシンのバンド幅要件を構成できます。また、仮想マシン トラフィックの集約された予約からバンド幅を割り当てることができるネットワーク リソース プールを使用して、プールのバンド幅を個々の仮想マシンに割り当てることもできます。
仮想マシンにバンド幅を割り当てる方法
Network I/O Control は、2 つのモデルを使用して仮想マシンにバンド幅を割り当てます。1 つは、ネットワーク リソース プールに基づく vSphere Distributed Switch 全体への割り当てで、もう 1 つは、仮想マシンのトラフィックを転送する物理アダプタへの割り当てです。
ネットワーク リソース プール
ネットワーク リソース プールは、Distributed Switch に接続されたすべての物理アダプタ上の仮想マシン システム トラフィック用に予約される集約バンド幅の一部です。
たとえば、10 個の 10 GbE アップリンクを持つ Distributed Switch 上で、アップリンクごとに 0.5 Gpbs が仮想マシン システム トラフィック用に予約される場合は、このスイッチの仮想マシン予約で利用できる合計集約バンド幅は 5 Gbps になります。各ネットワーク リソース プールは、この 5 Gbps のキャパシティの割り当てを予約できます。
ネットワーク リソース プール専用のバンド幅割り当ては、そのプールに関連付けられている分散ポート グループ間で共有されます。仮想マシンには、その仮想マシンが接続されている分散ポート グループを介して、プールからバンド幅が割り当てられます。
デフォルトでは、スイッチ上の分散ポート グループは、割り当てが構成されていないデフォルトと呼ばれるネットワーク リソース プールに割り当てられています。
仮想マシンのバンド幅要件の定義
CPU やメモリ リソースの割り当てと同様に、バンド幅を個々の仮想マシンに割り当てます。Network I/O Control バージョン 3 は、仮想マシン ハードウェア設定のネットワーク アダプタに対して定義されているシェア、予約、および制限に応じて、バンド幅を仮想マシンにプロビジョニングします。予約により、仮想マシンからのトラフィックが、最低でも指定されたバンド幅を消費できることが保証されます。より多いキャパシティが物理アダプタにある場合、仮想マシンは指定されたシェアと制限に応じて追加のバンド幅を使用できます。
ホスト上の仮想マシンへのバンド幅のプロビジョニング
バンド幅を確保するため、Network I/O Control には、仮想マシンにバンド幅予約が構成されている場合にアクティブになる、トラフィック配置エンジンが実装されています。Distributed Switch は、仮想マシン ネットワーク アダプタからのトラフィックを、必要なバンド幅を提供し有効なチーミング ポリシーに適合している物理アダプタに配置しようとします。
ホスト上の仮想マシンのハンド幅予約の合計は、仮想マシン システム トラフィックに対して構成されている予約済みのバンド幅を超過することはできません。
実際の制限と予約は、アダプタが接続されている分散ポート グループのトラフィック シェーピング ポリシーにも依存します。たとえば、仮想マシン ネットワーク アダプタが最大 200 Mbps を要求し、トラフィック シェーピング ポリシーで構成された平均バンド幅が 100 Mbps である場合、実質的な制限は 100 Mbps になります。
Network I/O Control での仮想マシンに対するバンド幅予約は、仮想マシンからのトラフィックを送信する物理アダプタ上の仮想マシン システム トラフィックの予約を基に確保されます。
仮想マシン トラフィックのバンド幅割り当てパラメータ
Network I/O Control バージョン 3 は、仮想マシン ハードウェアの設定でネットワーク アダプタに対して構成されているシェア、予約、および制限に基づいて、個々の仮想マシンにバンド幅を割り当てます。
バンド幅割り当てのパラメータ | 説明 |
---|---|
シェア | 仮想マシン トラフィックをネットワークに転送している物理アダプタのキャパシティに応じた、この仮想マシン ネットワーク アダプタを通過するトラフィックの相対的な優先順位(1 から 100)。 |
予約 | 仮想ネットワーク アダプタが物理アダプタ上で使用できる必要がある最小バンド幅 (Mbps)。 |
制限 | 同一または別のホスト上の別の仮想マシンへのトラフィックに対応する、仮想マシン ネットワーク アダプタ上の最大バンド幅。 |
仮想マシン バンド幅のアドミッション コントロール
仮想マシンが十分なバンド幅を確実に利用できるようにするため、vSphere では、バンド幅予約とチーミング ポリシーに基づいて、ホストおよびクラスタ レベルでアドミッション コントロールを実装します。
vSphere Distributed Switch のバンド幅のアドミッション コントロール
仮想マシンをパワーオンすると、Distributed Switch の Network I/O Control 機能が、ホストで次の条件が満たされていることを確認します。
- ホスト上の物理アダプタが、チーミング ポリシーと予約に従って、仮想マシン ネットワーク アダプタに最小限のバンド幅を提供できる。
- 仮想マシン ネットワーク アダプタ用の予約が、ネットワーク リソース プール内の空き割り当てより小さい。
実行中の仮想マシンのネットワーク アダプタ用の予約を変更すると、Network I/O Control は、関連するネットワーク リソース プールが新しい予約に対応できるかどうかを再度確認します。プール内の空き割り当てが不足している場合は、変更は適用されません。
vSphere Distributed Switch でアドミッション コントロールを使用するには、次のタスクを実行します。
- Distributed Switch 上の仮想マシン システム トラフィックに対して、バンド幅割り当てを構成します。
- 仮想マシン システム トラフィックに対して構成されたバンド幅の予約割り当てを、ネットワーク リソース プールに構成します。
- ネットワーク リソース プールを、仮想マシンをスイッチに接続する分散ポート グループに関連付けます。
- ポート グループに接続された仮想マシンのバンド幅要件を構成します。
vSphere DRS のバンド幅のアドミッション コントロール
クラスタ内の仮想マシンをパワーオンすると、vSphere DRS はアクティブなチーミング ポリシーに従って、その仮想マシン用に予約されたバンド幅が確保されるキャパシティを持つホストに、その仮想マシンを配置します。
次のような場合、vSphere DRS は、仮想マシンのバンド幅予約に対応するため、仮想マシンを別のホストに移行します。
- 予約は、元のホストが対応できなくなる値に変更される。
- 仮想マシンからのトラフィックを転送する物理アダプタがオフラインである。
vSphere DRS でアドミッション コントロールを使用するには、次のタスクを実行します。
- Distributed Switch 上の仮想マシン システム トラフィックに対して、バンド幅割り当てを構成します。
- Distributed Switch に接続された仮想マシンのバンド幅要件を構成します。
仮想マシンのバンド幅要件に基づくリソース管理の詳細については、ドキュメント『vSphere のリソース管理』を参照してください。
vSphere HA のバンド幅のアドミッション コントロール
ホストでエラーが発生するかホストが隔離されると、vSphere HA は、バンド幅予約とチーミング ポリシーに基づいて、クラスタ内の別のホスト上の仮想マシンをパワーオンします。
vSphere HA でアドミッション コントロールを使用するには、次のタスクを実行します。
- 仮想マシン システム トラフィック用のバンド幅を割り当てます。
- Distributed Switch に接続された仮想マシンのバンド幅要件を構成します。
仮想マシンのバンド幅要件に基づく vSphere HA によるフェイルオーバー機能の提供については、ドキュメント『vSphere の可用性』を参照してください。
ネットワーク リソース プールの作成
vSphere Distributed Switch にネットワーク リソース プールを作成して、一連の仮想マシンのバンド幅を予約します。
ネットワーク リソース プールは、仮想マシンに予約割り当てを提供します。割り当ては、Distributed Switch に接続された物理アダプタ上の仮想マシン システム トラフィック用に予約されるバンド幅の一部です。プールに関連付けられている仮想マシン用の割り当てから、バンド幅を確保できます。プールに関連付けられパワーオンされている仮想マシンのネットワーク アダプタの予約は、プールの割り当てを超過することはできません。仮想マシンにバンド幅を割り当てる方法 を参照してください。
前提条件
-
vSphere Distributed Switch のバージョンが 6.5.0 以降であることを確認します。
- スイッチの Network I/O Control がバージョン 3 であることを確認します。
- Network I/O Control が有効になっていることを確認します。vSphere Distributed Switch での Network I/O Control の有効化を参照してください。
- 仮想マシン システムのトラフィックに、構成された帯域幅予約があることを確認します。システム トラフィックへのバンド幅の割り当て方法を参照してください。
手順
次のタスク
1 つ以上の分散ポート グループをネットワーク リソース プールに追加して、そのプールの割り当てから、個々の仮想マシンにバンド幅を割り当てることができます。ネットワーク リソース プールへの分散ポート グループの追加 を参照してください。
ネットワーク リソース プールへの分散ポート グループの追加
分散ポート グループをネットワーク リソース プールに追加して、ポート グループに接続されている仮想マシンにバンド幅を割り当てることができるようにします。
ネットワーク リソース プールを複数の分散ポート グループに一度に割り当てるには、[分散ポート グループの管理] ウィザードで、リソース割り当てポリシーを使用できます。分散スイッチ上にある複数のポート グループのポリシーの管理を参照してください。
Network I/O Control は、Distributed Switch で機能している Network I/O Control バージョンに実装されたモデルに応じて、分散ポート グループに関連付けられた仮想マシンにバンド幅を割り当てます。vSphere Network I/O Controlについてを参照してください。
前提条件
- Network I/O Control が有効になっていることを確認します。vSphere Distributed Switch での Network I/O Control の有効化を参照してください。
手順
仮想マシンのバンド幅割り当ての構成
分散ポート グループに接続されている各仮想マシンへのバンド幅割り当てを構成できます。バンド幅の設定には、共有設定、予約設定、制限設定があります。
前提条件
-
vSphere Distributed Switch のバージョンが 6.5.0 以降であることを確認します。
- スイッチの Network I/O Control がバージョン 3 であることを確認します。
- Network I/O Control が有効になっていることを確認します。vSphere Distributed Switch での Network I/O Control の有効化を参照してください。
- 仮想マシン システムのトラフィックに、構成された帯域幅予約があることを確認します。システム トラフィックへのバンド幅の割り当て方法を参照してください。
手順
結果
I/O Control によって、ネットワーク リソース プールの予約割り当てから仮想マシンのネットワークアダプタ用に予約されたバンド幅が割り当てられます。
複数の仮想マシン上のバンド幅割り当ての構成
たとえば Network I/O Control をバージョン 3 にアップグレードした後などに、特定のネットワーク リソース プールに接続されている複数の仮想マシン上のバンド幅割り当てを、1 つの操作で構成します。
前提条件
-
vSphere Distributed Switch のバージョンが 6.5.0 以降であることを確認します。
- スイッチの Network I/O Control がバージョン 3 であることを確認します。
- Network I/O Control が有効になっていることを確認します。vSphere Distributed Switch での Network I/O Control の有効化を参照してください。
- 仮想マシン システムのトラフィックに、構成された帯域幅予約があることを確認します。システム トラフィックへのバンド幅の割り当て方法を参照してください。
- 接続された分散ポート グループ経由で仮想マシンが特定のネットワーク リソース プールに関連付けられていることを確認します。ネットワーク リソース プールへの分散ポート グループの追加 を参照してください。
手順
ネットワーク リソース プールの割り当ての変更
一連の分散ポート グループに接続されている仮想マシンのために予約できるバンド幅割り当てを変更する方法について説明します。
前提条件
-
vSphere Distributed Switch のバージョンが 6.5.0 以降であることを確認します。
- スイッチの Network I/O Control がバージョン 3 であることを確認します。
- Network I/O Control が有効になっていることを確認します。vSphere Distributed Switch での Network I/O Control の有効化を参照してください。
- 仮想マシン システムのトラフィックに、構成された帯域幅予約があることを確認します。システム トラフィックへのバンド幅の割り当て方法を参照してください。
手順
- vSphere Client のホーム画面で、[ネットワーク] をクリックし、Distributed Switch に移動します。
- [構成] タブの [リソース割り当て] を展開します。
- [ネットワーク リソース プール] をクリックします。
- リストからネットワーク リソース プールを選択し、[編集] をクリックします。
- [予約割り当て] テキスト ボックスに、スイッチのすべての物理アダプタの仮想マシン システム トラフィックのために予約されている、集約された空きバンド幅からの仮想マシンのバンド幅割り当てを入力します。
- [OK] をクリックします。
ネットワーク リソース プールからの分散ポート グループの削除
ネットワーク リソース プールの予約割り当てからの、仮想マシンへのバンド幅の割り当てを停止するには、仮想マシンが接続されているポート グループとプールとの間の関連付けを削除します。
手順
- vSphere Client で分散ポート グループを探します。
- Distributed Switch を選択し、[ネットワーク] タブをクリックします。
- [分散ポート グループ] をクリックします。
- 分散ポート グループを右クリックし、[設定の編集] を選択します。
- ポート グループの [設定の編集] ダイアログ ボックスで、[全般] をクリックします。
- [ネットワーク リソース プール] ドロップダウン メニューから、[(デフォルト)] を選択して、[OK] をクリックします。
結果
分散ポート グループが、デフォルトの仮想マシン ネットワーク リソース プールに関連付けられます。
ネットワーク リソース プールの削除
使用しなくなったネットワーク リソース プールを削除します。
前提条件
関連するすべての分散ポート グループから、ネットワーク リソース プールを開放します。ネットワーク リソース プールからの分散ポート グループの削除を参照してください。
手順
- vSphere Client のホーム画面で、[ネットワーク] をクリックし、Distributed Switch に移動します。
- [構成] タブの [リソース割り当て] を展開します。
- [ネットワーク リソース プール] をクリックします。
- ネットワーク リソース プールを選択して、[削除] をクリックします。
- [OK] をクリックしてリソース プールを削除します。