ベンダーによって提供されたインストーラを実行し、vSphere 環境の I/O フィルタのインストール、アンインストール、またはアップグレードを実行できます。

I/O フィルタの処理では、次のことを考慮する必要があります。

  • vCenter Server は、ESX Agent Manager (EAM) を使用して I/O フィルタのインストールとアンインストールを行う。管理者は、vCenter Server が作成または使用する EAM エージェンシーのために EAM API を直接呼び出してはならない。I/O フィルタ関連の操作はすべて VIM API を通して行う必要がある。vCenter Server によって作成された EAM エージェンシーを誤って変更した場合は、その変更を取り消す必要がある。I/O フィルタが使用する EAM エージェンシーを誤って壊した場合は、Vim.IoFilterManager#uninstallIoFilter を呼び出し、影響を受けた I/O フィルタをアンインストールする必要がある。アンインストール後、フレッシュ再インストールを実行する。
  • I/O フィルタを持つクラスタに新しいホストが加わるときには、そのクラスタにインストールされているフィルタがそのホストにデプロイされる。vCenter Server によって、そのホストの I/O フィルタ ストレージ プロバイダが登録される。クラスタに何か変更があった場合には、vSphere Client の仮想マシン ストレージ ポリシーのインターフェイスでその変更を確認できる。
  • クラスタ外へホストを移動したりホストを vCenter Server から削除したりすると、そのホストから I/O フィルタがアンインストールされる。vCenter Server によって I/O フィルタ ストレージ プロバイダの登録が解除される。
  • ステートレス ESXi ホストを使用すると、再起動中に I/O フィルタ VIB が失われる可能性があります。vCenter Server は、再起動後、ホストにインストールされたバンドルをチェックし、必要に応じて I/O フィルタ VIB をホストにプッシュします。

vSphere 環境での I/O フィルタの設定

I/O フィルタが仮想マシン用に提供するデータ サービスを設定にするには、いくつかの手順を実行します。

前提条件

  • 少なくとも 1 つの ESXiホストが含まれるクラスタを作成します。
  • サードパーティによって提供された I/O フィルタの詳細については、ベンダーまたは VMware の担当者にお問い合わせください。

クラスタでの I/O フィルタのインストール

サード パーティによって提供された I/O フィルタを使用する場合、その I/O フィルタを ESXi ホスト クラスタにインストールします。

VMware パートナーは、vSphere APIs for I/O Filtering (VAIO) 開発者プログラムを通じて I/O フィルタを作成します。

フィルタ パッケージは、I/O フィルタ デーモン、I/O フィルタ ライブラリ、CIM プロバイダ、およびその他の関連コンポーネントが含まれている、ソリューション バンドルの ZIP パッケージとして配布されます。

通常、フィルタをデプロイするには、ベンダーによって提供されたインストーラを実行します。インストールは ESXi クラスタ レベルで実行されます。選択したホストにフィルタを直接インストールすることはできません。

前提条件

  • 必要な権限:Host.Configuration.Query パッチ
  • I/O フィルタ ソリューションが VMware によって認定されていることを確認します。

手順

  • ベンダーから提供されたインストーラを実行します。
    インストーラにより、適切な I/O フィルタ拡張機能が vCenter Server にデプロイされ、フィルタ コンポーネントがクラスタ内のすべてのホストにデプロイされます。

    クラスタ内の ESXi ホストごとに、ストレージ プロバイダ(VASA プロバイダとも呼ばれる)が自動的に登録されます。I/O フィルタ ストレージ プロバイダの自動登録が正常に完了した場合は、ホスト レベルでイベントがトリガされます。ストレージ プロバイダが自動登録に失敗すると、システムはホストでアラームを発生させます。

I/O フィルタとストレージ プロバイダの表示

vSphere Client を使用して、環境で使用できる I/O フィルタを確認し、I/O フィルタ プロバイダが想定どおりに表示され、アクティブな状態であることを確認できます。

サードパーティの I/O フィルタをインストールすると、クラスタ内の ESXi ホストごとに、ストレージ プロバイダ(VASA プロバイダとも呼ばれる)が自動的に登録されます。I/O フィルタ ストレージ プロバイダの自動登録が正常に完了した場合は、ホスト レベルでイベントがトリガされます。ストレージ プロバイダが自動登録に失敗すると、システムはホストでアラームを発生させます。

手順

  1. I/O フィルタ ストレージ プロバイダが想定どおりに表示され、アクティブな状態であることを確認します。
    1. vCenter Server に移動します。
    2. [構成] タブをクリックし、[ストレージ プロバイダ] をクリックします。
    3. I/O フィルタのストレージ プロバイダを確認します。
    I/O フィルタ プロバイダが適切に登録されると、フィルタが提供する機能とデータ サービスが仮想マシン ストレージ ポリシー インターフェイスに表示されます。
  2. I/O フィルタ コンポーネントのリストがクラスタおよび ESXi ホストに表示されていることを確認します。
    オプション 操作
    クラスタの I/O フィルタの表示
    1. クラスタに移動します。
    2. [設定] タブをクリックします。
    3. [設定][I/O フィルタ] をクリックして、クラスタにインストールされているフィルタを確認します。
    ホストの I/O フィルタの表示
    1. ホストに移動します。
    2. [構成] タブをクリックします。
    3. [ストレージ][I/O フィルタ] をクリックして、ホストにインストールされているフィルタを確認します。

I/O フィルタ インストール失敗の処理

一般に、クラスタ内のすべての ESXi ホストには、同じ I/O フィルタ セットがインストールされています。インストール中にエラーが発生することがあります。

ホスト上で I/O フィルタのインストールに失敗すると、その失敗をレポートするイベントが生成されます。さらに、ホストのアラームで失敗の原因が示されます。失敗例として、次のようなものがあります。
  • ホストから VIB URL にアクセスできない。
  • VIB の形式が無効である。
  • VIB で、アップグレードまたはアンインストールのためにホストをメンテナンス モードにする必要がある。
  • VIB では、インストールまたはアンインストール後にホストを再起動する必要がある。
  • 仮想マシンをホストから退避できないため、ホストをメンテナンス モードにしようとして失敗した。
  • VIB の手動インストールまたはアンインストールが必要である。

vCenter Server は、一部の失敗を解決できます。他の失敗については、ユーザーの介入が必要になる場合があります。たとえば、VIB URL を編集したり、仮想マシンを手動で退避またはパワーオフしたり、VIB を手動でインストールまたはアンインストールする必要があります。

単一の ESXiホストへの I/O フィルタのインストール

トラブルシューティング目的のために、I/O フィルタの ESXiコンポーネント(VIB ファイルとしてパッケージ化されている)をダウンロードして、ESXi ホストにインストールできます。esxcliコマンドを使用して、VIB ファイルをインストールします。

前提条件

ESXCLI をインストールします。ESXCLI スタート ガイドを参照してください。トラブルシューティングするには、ESXi Shellesxcli コマンドを実行します。

手順

  1. 次のコマンドを実行して VIB をインストールします。
    esxcli software vib install --depot path_to_VMware_vib_ZIP_file

    installコマンドのオプションを使用して、ドライ ラン、特定の VIB の指定、許容レベル検証のバイパスなどを行うことができます。本番システムでは検証をバイパスしないでください。『ESXCLI のリファレンス』ドキュメントを参照してください。

  2. VIB が ESXi ホストにインストールされていることを確認します。
    esxcli software vib list

クラスタからの I/O フィルタのアンインストール

ESXi ホスト クラスタにデプロイされている I/O フィルタをアンインストールできます。

前提条件

  • 必要な権限:ホスト.構成.パッチ

手順

  1. ベンダーが提供するインストーラを実行し、I/O フィルタをアンインストールします。
    アンインストール中に、サードパーティの I/O フィルタ インストーラによってホストが自動的にメンテナンス モードになります。
    アンインストールが正常に実行されると、フィルタと関連コンポーネントがすべてホストから削除されます。
  2. ESXi ホストから I/O フィルタ コンポーネントが適切にアンインストールされたことを確認します。次のいずれかの方法を使用します。
    アンインストールしたフィルタは今後リストに表示されなくなります。

クラスタでの I/O フィルタのアップグレード

ESXi ホストをアップグレードした後は、I/O フィルタ ベンダーから提供されたインストーラを使用して、ESXi ホスト クラスタにデプロイされている I/O フィルタをアップグレードします。

アップグレードは、古いフィルタ コンポーネントのアンインストールと、新しいフィルタ コンポーネントとの置き換えで構成されています。インストールがアップグレードであるかどうかを判断するために、vCenter Server により、既存のフィルタの名前とバージョンがチェックされます。既存のフィルタ名が新しいフィルタ名と一致するが、バージョンが異なる場合、インストールがアップグレードだとみなされます。

前提条件

  • 必要な権限:ホスト.構成.パッチ
  • ホストを ESXi 8.0 にアップグレードします。アップグレードに vSphere Lifecycle Manager を使用する場合は、『ホストとクラスタのライフサイクルの管理』のドキュメントを参照してください。

手順

  1. フィルタをアップグレードするには、ベンダーが提供するインストーラを実行します。

    アップグレード中に、サードパーティの I/O フィルタ インストーラによってホストが自動的にメンテナンス モードになります。

    インストーラにより、新しいフィルタ コンポーネントのインストール前に既存のフィルタ コンポーネントが識別されて削除されます。
  2. ESXi ホスト上の I/O フィルタ コンポーネントが適切にアップグレードされていることを確認します。次のいずれかの方法を使用します。

結果

アップグレード後、システムによりホストが操作モードに戻ります。