vCenter Server は、vCenter Server アプライアンス GUI インストーラを使用して ESXi ホストまたは vCenter Server インスタンスにリストアすることができます。リストア手順には、2 つの段階があります。第 1 段階では、新しい vCenter Server アプライアンスをデプロイします。第 2 段階では、ファイルベースのバックアップで保存したデータを新しくデプロイした vCenter Server に入力します。

図 1. vCenter Server リストア ワークフロー
リストア ワークフロー

前提条件

  • システムがソフトウェアおよびハードウェアの最小要件を満たしていることを確認します。vCenter Server アプライアンスのシステム要件を参照してください。
  • vCenter Server インスタンスが vCenter High Availability クラスタの構成要素である場合、vCenter Server をリストアする前に、クラスタのアクティブ ノード、パッシブ ノード、監視ノードをパワーオフしておく必要があります。

ステージ 1 - 新しいアプライアンスをデプロイ

リストア プロセスのステージ 1 では、OVA ファイル(vCenter Server の GUI インストーラに含まれる)をデプロイします。

リストアの第 1 ステージで GUI インストーラを使用する代わりに、vSphere Client を使用して、新しい vCenter Server Appliance の OVA ファイルをデプロイすることもできます。OVA デプロイの後は、新しくデプロイしたアプライアンスの vCenter Server 管理インターフェイスにログインし、リストア プロセスの第 2 ステージを続行する必要があります。vSphere Client を使用した OVA ファイルのデプロイについては、『vSphere の仮想マシン管理vSphere 仮想マシン管理』の「OVF または OVA テンプレートのデプロイ」を参照してください。

前提条件

  • vCenter Server インストーラをダウンロードしてマウントします。vCenter Server インストーラのダウンロードおよびマウントを参照してください。
    注: vCenter Server 製品パッチが適用されている製品からバックアップをリストアする場合は、この特定のパッチの ISO 全体をダウンロードする必要があります。 VMware vSphere のダウンロードを参照してください。
  • ESXi ホストで vCenter Server をリストアする場合は、ターゲットの ESXi ホストがロックダウン、メンテナンス モード、完全に自動化された DRS クラスタの一部ではないことを確認します。
  • vCenter Server インベントリの DRS クラスタの vCenter Server をリストアする場合は、クラスタに、ロックダウンまたはメンテナンス モードでない ESXi ホストが少なくとも 1 台含まれていることを確認します。
  • アプライアンスに固定 IP アドレスを割り当てる場合は、IP アドレス用に DNS レコードの正引きおよび逆引きが設定されていることを確認します。
  • まだ実行中の vCenter Server インスタンスをリストアする場合は、バックアップ済みの vCenter Server をパワーオフしてからリストア操作を開始してください。

手順

  1. vCenter Server インストーラで、vcsa-ui-installer ディレクトリから該当するオペレーティング システムのサブディレクトリに移動し、インストール実行ファイルを実行します。
    • Windows OS の場合は、win32 サブディレクトリに移動して installer.exe ファイルを実行します。
    • Linux OS の場合は、lin64 サブディレクトリに移動して installer ファイルを実行します。
    • Mac OS の場合は、mac サブディレクトリに移動して Installer.app ファイルを実行します。
  2. ホーム画面で、[リストア] をクリックします。
  3. [概要] ページを確認してリストアのプロセスを理解し、[次へ] をクリックします。
  4. 使用許諾契約書を読んで同意し、[次へ] をクリックします。
  5. [バックアップの詳細を入力] ページで、リストアするバックアップ ファイルの詳細を入力し、[次へ] をクリックします。
    オプション 説明
    バックアップの場所 バックアップ ファイルの格納先サーバのアドレスとバックアップ フォルダを入力します。バックアップ サーバの IP アドレスまたはホスト名を入力し、バックアップ フォルダの場所を参照することもできます。ご使用のバックアップ サーバからバックアップを取得するためのプロトコルを指定します。FTP、FTPS、HTTP、HTTPS、SFTP、NFS、SMB のいずれかを選択してください。次に例を示します。
    ftp://<server_IP_address>/tmp/vCenter/hostname_vcenter.com/<backup_filename>
    ユーザー名 バックアップ サーバの読み取り権限を持つユーザーのユーザー名を入力します。
    パスワード バックアップ サーバの読み取り権限を持つユーザーのパスワードを入力します。
  6. バックアップの情報を確認し、[次へ] をクリックします。
  7. リストア操作で使用する vCenter Server アプライアンスをデプロイする ESXi ホストまたは vCenter Server に接続します。
    オプション 手順
    リストア操作で使用するアプライアンスをデプロイする ESXi ホストに接続できます。
    1. ESXi ホストの完全修飾ドメイン名 (FQDN) のアドレスまたは IP アドレスを入力します。
    2. ESXi ホストの HTTPS ポートを入力します。
    3. ESXi ホストの管理者権限を持つユーザー(たとえば、root ユーザー)のユーザー名とパスワードを入力します。
    4. [次へ] をクリックします。
    5. 証明書の警告にターゲットの ESXi ホストにインストールされた SSL 証明書の SHA1 サムプリントが表示されていることを確認し、[はい] をクリックして証明書サムプリントを受け入れます。
    vCenter Server インスタンスに接続してインベントリを参照し、リストア操作で使用するアプライアンスをデプロイする ESXi ホストまたは DRS クラスタを選択することができます。
    1. vCenter Server インスタンスの FQDN アドレスまたは IP アドレスを入力します。
    2. vCenter Server インスタンスの HTTPS ポートを入力します。
    3. vCenter Server インスタンス上の vCenter Single Sign-On 管理者権限を持つユーザー(例:administrator@your_domain_name ユーザー)のユーザー名とパスワードを入力します。
    4. [次へ] をクリックします。
    5. 証明書の警告にターゲットの vCenter Server インスタンスにインストールされた SSL 証明書の SHA1 サムプリントが表示されていることを確認し、[はい] をクリックしてこれを受け入れます。
    6. アプライアンスをデプロイする ESXi ホストまたは DRS クラスタが含まれているデータセンターまたはデータセンター フォルダを選択し、[次へ] をクリックします。
      注: ロックダウン モードまたはメンテナンス モードでない ESXi ホストが 1 つ以上含まれるデータセンターまたはデータセンター フォルダを選択する必要があります。
    7. アプライアンスをデプロイする ESXi ホストまたは DRS クラスタを選択し、[次へ] をクリックします。
  8. 証明書の警告を受け入れます。
  9. vCenter Server Appliance の名前を入力し、root ユーザーのパスワードを設定して、[次へ] をクリックします。
  10. ご使用の vSphere インベントリのサイズに応じて新しい vCenter Server Appliance のデプロイ サイズを選択します。
    デプロイ サイズのオプション 説明
    極小 2 個の vCPU と 14 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 10 台、仮想マシンの数が 100 台までの環境に適しています。

    4 個の vCPU と 21 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 100 台、仮想マシンの数が 1,000 台までの環境に適しています。

    8 個の vCPU と 30 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 400 台、仮想マシンの数が 4,000 台までの環境に適しています。

    16 個の vCPU と 39 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 1,000 台、仮想マシンの数が 10,000 台までの環境に適しています。

    特大 24 個の vCPU と 58 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 2,500 台、仮想マシンの数が 45,000 台までの環境に適しています。

  11. 新しい vCenter Server Appliance のストレージ サイズを選択し、[次へ] をクリックします。
    重要: リストアするアプライアンスのストレージ サイズを検討する必要があります。
    ストレージ サイズのオプション 極小規模のデプロイ サイズの説明 小規模のデプロイ サイズの説明 中規模のデプロイ サイズの説明 大規模のデプロイ サイズの説明 特大規模のデプロイ サイズの説明
    [デフォルト] ストレージが 579 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 694 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 908 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 1358 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2283 GB のアプライアンスをデプロイします。
    [大] ストレージが 2019 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2044 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2208 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2258 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2383 GB のアプライアンスをデプロイします。
    [特大] ストレージが 4279 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4304 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4468 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4518 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4643 GB のアプライアンスをデプロイします。
  12. 利用可能なデータストアのリストから、仮想マシンのすべての構成ファイルと仮想ディスクが格納される場所を選択します。また必要に応じて、[シン ディスク モードを有効にする] を選択して、シン プロビジョニングを有効にします。
  13. [ネットワーク設定の構成] ページで、vCenter Server のバックアップ ファイルから入力された設定を確認します。
  14. (オプション) vCenter Server のリストア先となる現在のネットワーク環境に合わせてネットワーク構成を編集します。
  15. [ステージ 1 の設定の確認] ページで、リストアされた vCenter Server アプライアンスのデプロイ設定を確認し、[完了] をクリックして OVA デプロイ プロセスを開始します。
  16. OVA のデプロイが終了するまで待ってから、[続行] をクリックしてリストア プロセスのステージ 2 を続行し、デプロイされた新しいアプライアンスにサービスを転送します。
    注: [閉じる] をクリックしてウィザードを終了した場合は、 vCenter Server 管理インターフェイスにログインしてデータを転送する必要があります。

結果

新しくデプロイされた vCenter Server Appliance は、ターゲット サーバで実行されますが、バックアップ場所からデータがコピーされていません。

ステージ 2 - 新しくデプロイされたアプライアンスにデータを転送

OVA デプロイが完了すると、リストア プロセスのステージ 2 にリダイレクトされ、バックアップ場所にあるデータが、新しくデプロイされた vCenter ServerAppliance にコピーされます。

手順

  1. リストア プロセスのステージ 2 の概要を確認し、[次へ] をクリックします。
  2. バックアップの詳細を確認し、[次へ] をクリックします。
  3. vCenter ServerAppliance の拡張リンク モードがサポートされたノードをリストアする場合は、Single Sign-On の認証情報の提供を求められます。Single Sign-On のユーザー名とパスワードを入力し、[検証およびリカバリ] をクリックします。
  4. [設定の確認] ページの情報を確認して [終了] をクリックし、[OK] をクリックして、リストア プロセスのステージ 2 を完了します。
    リストア プロセスによって vCenter Server管理サービスが再起動されます。再起動中に vCenter ServerManagement API にアクセスすることはできません。
    重要: vCenter ServerAppliance 仮想マシンのリストア操作が失敗した場合、部分的にリストアされた仮想マシンをパワーオフして、削除する必要があります。その後、仮想マシンのリストアを再試行できます。
  5. (オプション) リストア プロセスが終了したら、[https://vcenter_server_appliance_fqdn/ui] をクリックして vSphere Client に進み、vCenter Server インスタンスにログインするか、[https://vcenter_server_appliance_fqdn:443] をクリックして vCenter Server の [はじめに] ページに移動します。
  6. [閉じる] をクリックして、ウィザードを終了します。
    vCenter Server の [はじめに] のページにリダイレクトされます。
  7. バックアップした vCenter ノードが vCenter High Availability クラスタの構成要素である場合は、リストア操作が正常に完了した後で最後のノードを再構成する必要があります。
    バックアップ操作とリストア操作の方法については、『 vSphere Availability』を参照してください。

次のタスク

リストア操作が正常に完了した後、すべてのストレージおよびサーバの完全損失が生じ、すべての物理ハードウェアまたはハードウェア内のデータが失われた場合は、VMware のナレッジベースの記事 ( http://kb.vmware.com/kb/76585) の手順に従って、バックアップの実行時にシステムをリストア前の状態にリカバリします。