vCenter Single Sign-On または組み込みの Platform Services Controller を使用する High Availability (HA) クラスタの vCenter Server Appliance 6.7 または 7.0 を vCenter Server Appliance 8.0 に、GUI インストーラを使用してインタラクティブにアップグレードできます。GUI アップグレードは、アップグレード対象のアプライアンスと同じネットワークにある Windows、Linux、または Macintosh コンピュータから実行する必要があります。

バージョン 8.0vCenter Server アプライアンスは、ESXi 6.7 以降を実行しているホスト、および vCenter Server インスタンス 6.7 以降にデプロイすることができます。

vCenter HA クラスタは、アクティブ ノード、パッシブ ノード、および監視ノードとして機能する 3 台の vCenter Server Appliance で構成されています。アクティブな vCenter HA ノードをアップグレードするには、既存の構成を維持しながら移行ベースのアップグレードを行います。

前提条件

ステージ 1 - 新しい vCenter High Availability クラスタの OVA ファイルのデプロイ

アップグレード プロセスの最初のステージでは、新しい vCenter Server Appliance の OVA ファイルをデプロイします。

前提条件

使用環境が vCenter HA クラスタをアップグレードするための前提条件を満たしていることを確認します。vCenter Server High Availability 環境をアップグレードするための前提条件を参照してください。

手順

  1. vCenter Server インストーラで、vcsa-ui-installer ディレクトリから該当するオペレーティング システムのサブディレクトリに移動し、インストール実行ファイルを実行します。
    • Windows OS の場合は、win32 サブディレクトリに移動して installer.exe ファイルを実行します。
    • Linux OS の場合は、lin64 サブディレクトリに移動して installer ファイルを実行します。
    • Mac OS の場合は、mac サブディレクトリに移動して Installer.app ファイルを実行します。
  2. ホーム画面で、[アップグレード] をクリックします。
  3. [概要] ページを確認してアップグレード プロセスを理解し、[次へ] をクリックします。
  4. アップグレードするソース アプライアンスに接続します。このアプライアンスは、アクティブな vCenter HA ノードです。
    1. アップグレードするソース vCenter Server アプライアンスに関する情報を入力し、[ソースに接続] をクリックします。
      オプション 操作
      アプライアンスの FQDN または IP アドレス アップグレードするアクティブな vCenter HA ノードの IP アドレスまたは FQDN を入力します。
      アプライアンスの HTTPS ポート

      デフォルト値 (443) が表示され、編集できません。

    2. vCenter Single Sign-On の管理者と root ユーザーについての情報を入力します。
      オプション 操作
      SSO ユーザー名

      vCenter Single Sign-On 管理者のユーザー名を入力します。

      重要: ユーザーは、administrator@ your_domain_name である必要があります。
      SSO パスワード vCenter Single Sign-On 管理者のパスワードを入力します。
      アプライアンス (OS) の root パスワード root ユーザーのパスワードを入力します。
    3. アップグレードする vCenter Server Appliance が配置されているソース vCenter Server インスタンスに関する情報を入力して、[次へ] をクリックします。
      オプション 説明
      ソース サーバまたはホスト名 アクティブ ノードの IP アドレスまたは FQDN。アクティブ ノードが vCenter HA ノードとして構成されている。
      HTTPS ポート

      vCenter Server インスタンスがカスタムの HTTPS ポートを使用する場合は、デフォルト値を変更します。

      デフォルト値は 443 です。

      ユーザー名 ESXi ホストまたは vCenter Server インスタンスの管理者権限を持つユーザーの名前。
      パスワード ESXi ホストまたは vCenter Server インスタンスの管理者権限を持つユーザーのパスワード。
  5. 証明書の警告メッセージに、ソース アプライアンスとそのソース サーバにインストールされている SSL 証明書の SHA1 サムプリントが表示されていることを確認し、[はい] をクリックしてて、その証明書のサムプリントを承認します。
  6. vCenter HA が正常に検出された場合は、ターゲット アプライアンスがソース アプライアンスのマネージャに設定されます。[OK] をクリックします。
    アプライアンスのデプロイ ターゲット情報が入力されます。
  7. [ターゲット アプライアンス仮想マシンの設定] 画面で、ターゲットの vCenter Server Appliance の名前を入力し、root ユーザーのパスワードを設定して、[次へ] をクリックします。
    パスワードの長さは 8 文字以上とし、1 つ以上の数字、大文字と小文字、1 つ以上の特殊文字(感嘆符 (!)、ハッシュ キー (#)、アット記号 (@)、丸括弧 (()) など)が含まれている必要があります。
    注: ソースの root パスワードはターゲット アプライアンスに転送されません。
  8. vSphere インベントリの新しい vCenter Server Appliance のデプロイ サイズを選択します。
    デプロイ サイズのオプション 説明
    極小 2 個の vCPU と 14 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 10 台、仮想マシンの数が 100 台までの環境に適しています。

    4 個の vCPU と 21 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 100 台、仮想マシンの数が 1,000 台までの環境に適しています。

    8 個の vCPU と 30 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 400 台、仮想マシンの数が 4,000 台までの環境に適しています。

    16 個の vCPU と 39 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 1,000 台、仮想マシンの数が 10,000 台までの環境に適しています。

    特大 24 個の vCPU と 58 GB のメモリが搭載されたアプライアンスをデプロイします。

    ホストの数が 2,500 台、仮想マシンの数が 45,000 台までの環境に適しています。

  9. 新しい vCenter Server Appliance のストレージ サイズを選択し、[次へ] をクリックします。
    重要: 外部の場合は、アップグレードするアプライアンスのストレージ サイズとデータベース サイズを検討する必要があります。
    ストレージ サイズのオプション 極小規模のデプロイ サイズの説明 小規模のデプロイ サイズの説明 中規模のデプロイ サイズの説明 大規模のデプロイ サイズの説明 特大規模のデプロイ サイズの説明
    [デフォルト] ストレージが 579 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 694 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 908 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 1358 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2283 GB のアプライアンスをデプロイします。
    [大] ストレージが 2019 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2044 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2208 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2258 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 2383 GB のアプライアンスをデプロイします。
    [特大] ストレージが 4279 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4304 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4468 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4518 GB のアプライアンスをデプロイします。 ストレージが 4643 GB のアプライアンスをデプロイします。
  10. 利用可能なデータストアのリストから、仮想マシン (VM) の構成ファイルと仮想ディスクが格納される場所を選択します。また必要に応じて、[シン ディスク モードの有効化] を選択して、シン プロビジョニングを有効にします。NFS データストアは、デフォルトでシン プロビジョニングされます。
    注: 複数のデータストアにディスクが配置されている vCenter Server に vCenter HA をセットアップすることはできない。
  11. アップグレードする vCenter Server アプライアンスと新しい vCenter Server アプライアンス間の通信のための一時ネットワークを設定し、[次へ] をクリックします。
    オプション 操作
    [ネットワークの選択] 新しいアプライアンスを一時的に接続するネットワークを選択します。

    ドロップダウン メニューに表示されるネットワークは、ターゲット サーバのネットワーク設定によって異なります。アプライアンスを ESXi ホストに直接デプロイする場合は、短期のポートバインド以外の設定をしている分散仮想ポート グループはサポートされないため、ドロップダウン メニューに表示されません。

    重要: DHCP の割り当て機能を使用して一時的な IPv4 アドレスを割り当てる場合は、MAC アドレスの変更を受け入れるポート グループに関連付けられたネットワークを選択する必要があります。
    [IP アドレス ファミリ] 新しいアプライアンスの一時的な IP アドレスのバージョンを選択します。

    IPv4 または IPv6 のどちらかを選択します。

    [ネットワーク タイプ] アプライアンスの一時的な IP アドレスの割り当て方法を選択します。
    • [固定]

      一時 IP アドレス、サブネット マスク(またはプリフィックス長)、デフォルト ゲートウェイ、DNS サーバを入力するようにウィザードから求められます。

    • [DHCP]

      一時的な IP アドレスの割り当てには、DHCP サーバが使用されます。環境内で DHCP サーバを使用できる場合にのみ、このオプションを選択します。ご利用の環境にDDNS サーバがあれば、必要に応じて一時システム名(FQDN)を指定することもできます。

  12. [ステージ 1 の設定の確認] ページで、新しい vCenter Server アプライアンスのデプロイ設定を確認し、[完了] をクリックして OVA デプロイ プロセスを開始します。
  13. OVA デプロイ プロセスが終了するまで待機し、[続行] をクリックしてアップグレード プロセスのステージ 2 を続行し、古いアプライアンスからデータを転送して新しいアプライアンスのサービスを開始します。
    注: [閉じる] をクリックしてウィザードを終了した場合は、新しくデプロイした vCenter Server アプライアンスの vCenter Server 管理インターフェイスにログインし、古いアプライアンスからデータを転送してサービスを設定する必要があります。

結果

新しくデプロイされた vCenter Server アプライアンス 8.0 は、ターゲット サーバで実行されますが、設定されていません。

重要: 古いアプライアンスからのデータは転送されず、新しいアプライアンスのサービスは起動されません。

ステージ 2 - データの転送および新しくデプロイされた vCenter High Availability クラスタのセットアップ

OVA デプロイが完了すると、アップグレード プロセスのステージ 2 にリダイレクトされます。ここでは、古いアプライアンスのデータを転送して、新しくデプロイされた vCenter Server Appliance のサービスを開始します。デプロイが完了すると、vCenter Server に高可用性の保護が適用されます。

前提条件

組み込みの PostgreSQL データベースを使用する vCenter Server Appliance にアップグレードまたは移行するときに使用できるデータ移行オプションについて理解します。vCenter Server をデプロイして起動した後に、履歴データおよびその他のタイプのデータをバックグラウンドで移行することができます。既存の vCenter Server Appliance からのデータ転送を参照してください。

手順

  1. デプロイ プロセスのステージ 2 の概要を確認し、[次へ] をクリックします。
  2. アップグレード前チェックの完了を待ち、結果が返されたらその内容を確認します。
    • アップグレード前チェックの結果にエラー メッセージが含まれている場合は、そのメッセージを確認して [ログ] をクリックし、トラブルシューティングに必要なサポート バンドルをエクスポートしてダウンロードします。

      エラーを修正するまでは、アップグレードを再開できません。

      重要: ソース アプライアンスについてステージ 1 で指定した vCenter Single Sign-On ユーザー名とパスワードに誤りがあった場合、アップグレード前チェックが認証エラーで失敗します。
    • アップグレード前チェックの結果に警告メッセージが含まれている場合はメッセージを確認し、[閉じる] をクリックします。

      警告メッセージに書かれている要件をご利用のシステムが満たしていることを確認したら、アップグレードを再開してください。

  3. [[移行データの選択]] ページで、古いアプライアンスからアップグレードされた新しいアプライアンスに転送するデータの種類を選択します。
    データの量が多いほど、新しいアプライアンスへの転送に時間がかかります。新しいアプライアンスのアップグレード時間とストレージ要件を最小限に抑えるために、設定データのみを転送するように選択します。外部の Oracle データベースを使用している場合は、新しい vCenter Server アプライアンスをデプロイして開始した後で、履歴およびパフォーマンスのメトリック データをバックグラウンドで移行するよう選択することもできます。
  4. [VMware カスタマ エクスペリエンス改善プログラム (CEIP)] ページを参照し、プログラムへの参加を希望するかどうかを選択します。
    CEIP の詳細については、『 vCenter Server およびホストの管理』の「カスタマー エクスペリエンス向上プログラムの設定」セクションを参照してください。
  5. [設定の確認] ページで、アップグレードの設定を確認し、バックアップの確認事項に同意して、[終了] をクリックします。
  6. シャットダウン警告メッセージを読んで [OK] をクリックします。
  7. データ転送とセットアップ プロセスが終了するまで待機し、[OK] をクリックして vCenter Server の [はじめに] ページに移動します。

結果

vCenter Server アプライアンスがアップグレードされます。古い vCenter Server アプライアンスはパワーオフされ、新しいアプライアンスが起動します。

アクティブ ノードをアップグレードすると、Auto Deployment によって、新しいパッシブ ノードと監視ノードがクローン作成操作を使用して自動的に作成されます。手動デプロイを行った場合、ノードは自動的に作成されません。パッシブ仮想マシンおよび監視仮想マシンのクローンを作成し、クラスタ モードを [有効] に設定する必要があります。

デプロイが完了すると、vCenter Server に高可用性の保護が適用されます。[編集] をクリックして、[メンテナンス モード]、[無効化]、または [vCenter HA の削除] に切り替えることができます。vCenter HA フェイルオーバーを開始することもできます。

次のタスク

vCenter HA の構成および管理の詳細については、『vSphere 可用性』を参照してください。