NSX Edge ロード バランサはネットワーク トラフィックを複数のサーバに分散することにより、リソースの最適な使用、冗長性を実現し、リソースを分散して使用できるようにします。

NSX ロード バランサは、レイヤー 4 およびレイヤー 7 のロード バランシング エンジンをサポートします。レイヤー 4 のロード バランサは接続ベースで高速パス処理を行います。一方、レイヤー 7 ロード バランサは HTTP ソケット ベースです。バックエンド サービスで高度なトラフィック処理を実現し、DDoS を緩和します。

接続ベースのロード バランシングは、TCP および UDP レイヤーに実装されます。接続ベースのロード バランシングは、接続の停止や要求全体のバッファの作成は行わず、パケット処理後に選択されたサーバに直接パケットを送信します。TCP および UDP セッションはロード バランサで維持され、これによって単一セッションのパケットが同一サーバに送信されます。接続ベースのロード バランシングは、アクセラレーションが無効になっている TCP と UDP の仮想 IP アドレスか、アクセラレーションが有効になっている TCP の仮想 IP アドレスによって実行されます。

ソケット ベースのロード バランシングは、ソケット インターフェイスの上位に実装されます。1 つの要求について、クライアント方向とサーバ方向の 2 つの接続が確立されます。サーバ方向の接続は、サーバを選択した後に確立されます。HTTP ソケット ベースの実装では、オプションの L7 処理を使用して選択されたサーバに送信される前に、すべての要求が受信されます。HTTPS ソケット ベースの実装については、クライアント方向の接続またはサーバ方向の接続のいずれかで、認証情報が交換されます。ソケット ベースのロード バランシングは、TCP、HTTP、および HTTPS 仮想サーバのデフォルトのモードです。

NSX ロード バランサの重要な概念は次のとおりです。

仮想サーバ
アプリケーション サービスを抽象化したもので、IP アドレス、ポート、プロトコル、およびアプリケーション プロファイル(TCP、UDP など)の一意の組み合わせで表されます。
サーバ プール
バックエンド サーバのグループです。
サーバ プール メンバー
プール内のメンバーとしてのバックエンド サーバです。
サービス モニター
バックエンド サーバの健全性ステータスの検証方法を定義します。
アプリケーション プロファイル
特定のアプリケーションの TCP、UDP、セッション維持、および証明書設定が含まれます。

バックエンド サーバを効率的に管理および共有するため、ロード バランサにグローバル オプションを設定して、バックエンド サーバ メンバーのサーバ プールを作成し、サービス モニターとプールを関連付けます。

次に、アプリケーション プロファイルを作成して、クライアント SSL、サーバ SSL、x-forwarded-for、セッション維持など、アプリケーションの共通の動作をロード バランサに定義します。セッション維持を設定すると、送信元の IP アドレスや Cookie などの特性が類似する後続の要求は、ロード バランシング アルゴリズムを実行せずに、同じプール メンバーに送信されます。アプリケーション プロファイルは、仮想サーバ全体で再利用できます。

次に、オプションのアプリケーション ルールを作成して、アプリケーション固有のトラフィック処理を設定します。たとえば、特定の URL やホスト名との一致により、異なる要求を異なるプールで処理するように定義します。次に、アプリケーション固有のサービス モニターを作成するか、以前に作成したサービス モニターを使用します。

必要に応じて、L7 仮想サーバの高度な機能をサポートするアプリケーション ルールを作成することもできます。アプリケーション ルールは、コンテンツの切り替え、ヘッダの操作、セキュリティ ルール、DOS 保護などに使用できます。

最後に、サーバ プール、アプリケーション プロファイル、あらゆる潜在的なアプリケーション ルールを関連付ける仮想サーバを作成します。

仮想サーバが要求を受信するとき、ロード バランシング アルゴリズムではプール メンバーの設定とランタイム ステータスが考慮されます。次に、アルゴリズムは適切なプールを計算して、1 つ以上のメンバーにトラフィックを分散します。プール メンバーの設定には、重み、最大接続数、状態ステータスなどの設定が含まれます。ランタイム ステータスには、現在の接続、応答時間、健全性チェックのステータス情報などが含まれます。計算方法としては、ラウンド ロビン、重み付きラウンド ロビン、最小接続数、ソース IP アドレス ハッシュ、重み付き最小接続数、URL、URI、HTTP ヘッダを使用できます。

各プールは、関連付けられたサービス モニターで監視されます。ロード バランサがプール メンバーの問題を検出すると、メンバーの状態は「切断」とマークされます。サーバ プールからプール メンバーを選択するときには、状態が「接続中」のサーバのみが選択されます。サーバ プールにサービス モニターが設定されていない場合は、すべてのメンバーが「接続中」であるとみなされます。

注:

ロード バランサのトラブルシューティング情報については、『NSX トラブルシューティング ガイド』を参照してください。