マルチキャストを使用すると、送信元はデータのコピーを 1 つのマルチキャスト アドレスに送信します。その後、このアドレスからグループまたは受信者にデータが配信されます。

NSX は、Internet Group Management Protocol (IGMPv2) と Protocol Independent Multicast (PIM) の 2 つのマルチキャスト ルーティング プロトコルを使用します。PIM スパース モードがサポートされます (PIM-SM)。PIM は、ESG で使用されますが、分散論理ルーターでは使用されません。

注目: マルチキャストのレシーバとなる仮想マシンを vMotion で移行中に、1 ~ 2 秒間マルチキャスト トラフィックが失われることがあります。
NSX でのマルチキャスト サポートの詳細については、 マルチキャスト ルーティングのサポート、制限、およびトポロジーを参照してください。

ESG が 6.4.4 以前の場合は、Edge の 1 つのアップリンク インターフェイスで PIM がサポートされます。NSX Data Center 6.4.5 以降では、PIM は ESG の 2 つのアップリンク インターフェイスでサポートされます。

また、NSX 6.4.7 以降では、各 ESG に対して 1 つの GRE 仮想トンネル インターフェイス (VTI) で PIM がサポートされます。PIM は、ESG のアップリンク インターフェイス(最大 2 つまで)または 1 つの GRE トンネル インターフェイスで有効にできます。ただし、GRE 仮想トンネル インターフェイスと Edge アップリンク インターフェイスで PIM を同時に有効にすることはできません。

GRE トンネル インターフェイスで PIM を有効にするには、最初に NSX API を使用して ESG の GRE トンネルを設定する必要があります。GRE トンネルの設定方法については、『NSX API ガイド』を参照してください。ESG で GRE トンネルを設定した後、vSphere Client UI で GRE トンネルのリストを表示できます。

GRE 仮想トンネル インターフェイスは、IPv4 アドレス、IPv6 アドレス、またはその両方を使用して設定できます。ただし、GRE トンネル インターフェイスで PIM を有効にするには、トンネル インターフェイスに IPv4 アドレスが割り当てられている必要があります。GRE 仮想トンネル インターフェイスに IPv6 アドレスのみが設定されている場合、この GRE トンネル インターフェイスを PIM インターフェイスとして有効にすることはできません。

GRE トンネル インターフェイスで PIM が有効になっている場合、ネクスト ホップの IP アドレスとして GRE 仮想トンネル エンドポイントの IP アドレスを使用して、スタティック ルートを追加する必要があります。NSX ネットワークの外部にあるマルチキャストの送信元、受信者、ランデブー ポイント (RP) にアクセスするには、スタティック ルートが必要です。

手順

  1. vSphere Client で、[ネットワークとセキュリティ] > [NSX Edge] の順に移動します。
  2. NSX Edge をクリックします。
  3. [ルーティング] > [マルチキャスト] の順にクリックします。
  4. マルチキャストを有効にします。
    バージョン 手順
    NSX 6.4.2 から 6.4.4

    [設定 (Configuration)] で、切り替えスイッチをクリックして、マルチキャストを有効にします。

    NSX 6.4.5 以降
    1. [設定 (Configuration)] の横にある [編集 (Edit)] をクリックします。
    2. [ステータス (Status)] で、切り替えスイッチをクリックして、マルチキャストを有効にします。
  5. IGMP パラメータを構成します。IGMP メッセージは主にマルチキャスト ホストによって、特定のマルチキャスト グループへの参加を通知をしたり、グループ トラフィックの受信を開始するために使用されます。分散論理ルーターの IGMP パラメータは、ESG で設定されているパラメータと一致し、ESG と分散論理ルーターにグローバルで設定する必要があります。
    IGMP パラメータ 説明
    クエリ 任意。指定したルーターが IGMP ホスト クエリ メッセージを送信する間隔を設定します。デフォルトは 30 秒です。最大値は 3,744 秒です。
    クエリの最大応答時間(秒) 任意。クエリ実行ルーターがホスト クエリ メッセージを送信してからホストからの応答を受信するまでの時間に最大量を設定します。デフォルトは 10 秒です。最大値は 25 秒です。
    ラスト メンバーのクエリ間隔(秒)

    任意。ルーターが IGMP グループ固有のクエリ メッセージを送信する間隔を設定します。デフォルトは 1 秒です。最大値は 25 秒です。

    信頼性変数 任意。デフォルト値は 2 です。最大値は 255 です。
  6. (オプション) [PIM スパース モード パラメータ (PIM Sparse Mode Parameters)] (PIM-SM) で、[ランデブー ポイントの静的アドレス (Static Rendezvous Point Address)] を入力します。ランデブー ポイント (RP) は、マルチキャスト ネットワーク ドメインのルーターで、マルチキャスト共有ツリーのルートとして機能します。アップストリーム ソースからのパケットとダウンストリーム ルーターからの参加メッセージがこのコア ルーターで「ランデブー」します。RP は、ブートストラップ ルーター (BR) を使用して静的または動的に設定できます。静的ランデブー ポイントが設定されている場合、このランデブー ポイントはすべてのマルチキャスト グループに適用されます。

    ESG は、ランデブー ポイントやブートストラップ候補ルーターにすることはできません。PIM SM 設定は、Edge ごとの PIM グローバルレベルで行われます。

  7. [有効なインターフェイス (Enabled Interfaces)] で、[インターフェイスの設定] をクリックして、インターフェイスで PIM を有効にします。
    次のインターフェイスで PIM を有効にできます。
    • ESG のアップリンク インターフェイス(最大 2 つまで)と ESG の 1 つの GRE 仮想トンネル インターフェイスの両方で同時に有効にすることはできません。
    • ESG の 1 つの内部インターフェイス。
  8. [発行 (Publish)] をクリックして、変更を有効にします。

次のタスク

GRE 仮想トンネル インターフェイスで PIM を有効にしている場合、NSX ネットワークの外部にあるマルチキャストの送信元、受信者、RP にアクセスするために、スタティック ルートが必要になります。ネクスト ホップの IP アドレスとして GRE 仮想トンネル エンドポイントの IP アドレスを使用して、スタティック ルートを設定する必要があります。

スタティック ルートの設定方法については、スタティック ルートの追加を参照してください。