IP マルチキャスト ルーティングを使用すると、ホスト(送信元)は 1 つのマルチキャスト アドレスにデータのコピーを送信できます。このデータは、IP マルチキャスト グループ アドレスという特殊な IP アドレスを使用して、受信者のグループに配信されます。マルチキャスト環境では、グループのメンバーかどうかに関係なく、任意のホストがグループにデータを送信できます。ただし、グループに送信されたパケットを受信できるのは、そのグループのメンバーだけです。

NSX は、Internet Group Management Protocol (IGMPv2) と Protocol Independent Multicast (PIM) の 2 つのマルチキャスト ルーティング プロトコルを使用します。PIM スパース モードがサポートされます (PIM-SM)。PIM は、ESG で使用されますが、分散論理ルーターでは使用されません。

NSX でのマルチキャスト サポートの詳細については、 マルチキャスト ルーティングのサポート、制限、およびトポロジーを参照してください。
注目: マルチキャストのレシーバとなる仮想マシンを vMotion で移行中に、1 ~ 2 秒間マルチキャスト トラフィックが失われることがあります。

前提条件

トランスポート ゾーンには、マルチキャスト アドレス範囲を設定する必要があります。『NSX インストール ガイド』で「セグメント ID プールとマルチキャスト アドレス範囲の割り当て」を参照してください。

IGMP 設定は、Edge Services Gateway と分散論理ルーター間で同じにする必要があります。

VXLAN に参加しているホストが接続している L2 スイッチで IGMP スヌーピングを有効にします。IGMP スヌーピングが L2 で有効になっている場合は、マルチキャスト対応のネットワークと接続しているルーター または L3 スイッチ上で IGMP クエリアを有効にする必要があります。「論理スイッチの追加」を参照してください。

手順

  1. vSphere Client で、[ネットワークとセキュリティ] > [NSX Edge] の順に移動します。
  2. 分散論理ルーターをクリックします。
  3. [ルーティング] > [マルチキャスト] の順にクリックします。
  4. マルチキャストを有効にします。
    バージョン 手順
    NSX 6.4.2 から 6.4.4

    [設定 (Configuration)] で、切り替えスイッチをクリックして、マルチキャストを有効にします。

    NSX 6.4.5 以降
    1. [設定 (Configuration)] の横にある [編集 (Edit)] をクリックします。
    2. [ステータス (Status)] で、切り替えスイッチをクリックして、マルチキャストを有効にします。
  5. レプリケーションのマルチキャスト範囲を入力します。
    バージョン 手順
    NSX 6.4.2 から 6.4.4

    [レプリケーションのマルチキャスト範囲 (Replication Multicast Range)] で、マルチキャスト グループ アドレスの範囲を CIDR 形式で入力します。

    NSX 6.4.5 以降
    1. [設定 (Configuration)] の横にある [編集 (Edit)] をクリックします。
    2. [レプリケーションのマルチキャスト範囲 (Replication Multicast Range)] で、マルチキャスト グループ アドレスの範囲を CIDR 形式で入力します。
    レプリケーションのマルチキャスト範囲は、ワークロード/テナントのマルチキャスト グループのアドレス(VXLAN 内部の宛先の IP アドレス)に使用するマルチキャスト グループのアドレス(VXLAN 外部の宛先の IP アドレス)の範囲です。レプリケーションのマルチキャスト範囲の IP アドレスは、マルチキャスト アドレス範囲と重ならないように設定する必要があります。設定を行うには、 [ネットワークとセキュリティ (Networking & Security)][インストールとアップグレード (Installation and Upgrade)][論理ネットワークの設定 (Logical Network Settings)] の順に移動します。詳細については、『 NSX インストール ガイド』で「 セグメント ID プールとマルチキャスト アドレス範囲の割り当て」を参照してください。
  6. IGMP パラメータを構成します。IGMP メッセージは主にマルチキャスト ホストによって、特定のマルチキャスト グループへの参加を通知をしたり、グループ トラフィックの受信を開始するために使用されます。分散論理ルーターの IGMP パラメータは、ESG で設定されているパラメータと一致し、ESG と分散論理ルーターにグローバルで設定する必要があります。
    IGMP パラメータ 説明
    クエリ 任意。指定したルーターが IGMP ホスト クエリ メッセージを送信する間隔を設定します。デフォルトは 30 秒です。最大値は 3,744 秒です。
    クエリの最大応答時間(秒) 任意。クエリ実行ルーターがホスト クエリ メッセージを送信してからホストからの応答を受信するまでの時間に最大量を設定します。デフォルトは 10 秒です。最大値は 25 秒です。
    ラスト メンバーのクエリ間隔(秒)

    任意。ルーターが IGMP グループ固有のクエリ メッセージを送信する間隔を設定します。デフォルトは 1 秒です。最大値は 25 秒です。

    信頼性変数 任意。デフォルト値は 2 です。最大値は 255 です。
  7. [有効なインターフェイス (Enabled Interfaces)] で、[インターフェイスの設定 (Configure Interfaces)] をクリックして、アップリンク インターフェイスと内部インターフェイスでマルチキャストを有効にします。
    注:
    • IPv4 マルチキャスト パケットを受信するすべての分散論理ルーターで、マルチキャストを有効にする必要があります。
    • 分散論理ルーターでは、1 つのアップリンク インターフェイスと複数の内部インターフェイスでマルチキャストがサポートされます。
  8. [発行 (Publish)] をクリックして、変更を有効にします。

結果

特定のホストと分散論理ルーターのマルチキャスト ルーティング構成を確認するには、CLI コマンド show logical-router host <host ID> dlr <DLR instance> mrouting-domain を実行します。

次の出力例で、ホストは host-19、分散論理ルーター インスタンスは edge-1 です。

cli>show logical-router host host-19 dlr edge-1 mrouting-domain
VDR Mcast Routing Domain configurations:
Vdr Name: edge-1
Vdr ID: 0x00002328
Multicast Routing Doman: Enabled
Replication Mcst Grp Start IP: 237.0.0.0
Replciation Mcast Grp Mask: 255.255.255.0
Control VNI: 9008
Uplink VNI: 9007
IGMP Query Interval: 30 sec
IGMP Query Response Interval: 10 sec
IGMP Robustness Variable: 2
Group membership Interval: 70 se